Nicotto Town


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【石物語】 紙飛行機。 



なにげなく窓に目を向けると、どこから飛んで来たのか…
窓から紙飛行機が飛び込んできて、窓際のテーブルの端に ふわりと着地した。

紙飛行機に近づいてみると 『 ma chérie 』 という文字が透けて見える。

… 手紙だろうか !?

手紙を紙飛行機にしてしまうということは… 届けるつもりがあるのか、ないのか。
どちらにしても、誰かの、誰かに対する思いが綴られているんだろう。

どれほどの距離を旅してきたのだろうか !? と、窓から空を見上げた。

雲ひとつない快晴、空気に緊張はなく、風には気まぐれを起こすほどのやる気も感じられない。
もしかして、どこか遠くから根性で自力飛行をしてきたのだろうか。

紙飛行機の自力飛行… あり得ないようなことだが、あってもいいようにも思えた。

せっかくお客様が来たのだから、お茶でも出しましょう、とキッチンでお湯を沸かし、
昨日買ったばかりの茘枝紅茶を開封したら…
勢いあまって、茶葉の半分ほどが宙を舞い、床に散り伏す。力を入れ過ぎたのかしら !?

少しガッカリした気持ちで床を眺めていると、ふと別の思いつきが頭の隅をかすめ、
紙飛行機が着地したテーブルを振り返る。

いったい私は… 何人分のお茶を淹れたらいいんだろう。

お客様は、紙飛行機、ただ一機。
だが、紙飛行機を動かしているのが、書いた人の思いだとすると、
ひとり分では… ダメなように思えた。

床に散った茶葉を踏まないよう、慎重に茘枝紅茶を入れ、
お客様二人分を紙飛行機の前に、自分の分を手前に置くと、わずかに空気が揺れ、
茘枝の甘い香りが立ち上るとともに、紙飛行機がカサリと音を立てて動く。
カップに近づいているようにも見え、逆に遠ざかったようにも見え、何かを訴えているようにも見える。

二人分じゃダメなのかしら !?

心の中で そうつぶやくと、再び、キッチンへ戻り、
床の茶葉を踏まないように、そーっと棚に手を伸ばし、もう一人分の茘枝紅茶を入れて供すると、
いつもは私ひとりしか使わない小さなテーブルが、カップでいっぱいになった。
紙飛行機は動かない。動くスペースも無くなった。

私は、自分の茘枝紅茶にふたくちほど口をつけ、そのままほおづえをついて向かい合う紙飛行機を眺め、
三人分のカップを眺め、もう一人分は、誰のためだろう !? と考える。

手紙に込められた思い、差出人は、二人なのかもしれない。
最後の一人分はもしかしたら、手紙の受け取り手の分なのかもしれない。
これを書いた人は、どんな思いで、手紙を、紙飛行機にしたんだろう。

午後の強い光が紙飛行機を照らし、茘枝紅茶を照らし、沈みかけた紅茶の色を鮮やかに蘇らせる。
気づくと、紙飛行機がいたはずのテーブルの端には、誰も何も無くなっていた。

置き去りにされた三人分のカップを窓辺に置き替え、私は席へ戻り窓を見ていた。

紙飛行機は、目的地を探して、迷子になっていたのだろうか。
茘枝紅茶で英気を養い、迷いながらも まだ旅を続けるんだろうか。
それとも、どこか途中でチカラ尽きるんだろうか。

チカラ尽きるとしたら、どこで何によって、だろう。
街か、草原か、川か、森か、海か。雨か、雷か、それとも人だろうか。

あてどなく彷徨う思考にピリオドを打ち、私は、自分のカップだけを下げるつもりでキッチンへ戻る。

… 床に散った茘枝紅茶は、まだ、そこにいた。
かすかに甘い香りを漂わせて、己れの存在を主張していた。

これは… どうすればいいんだろうか。やっぱり 片付けるとか捨てるとか しないといけないんだろうか。
このままにして置いたら、どうなるんだろう !?

窓を開け放したままの私の部屋に、冷えた風が吹き込んできた。


~心をもつ宝石たちの軌跡をえがく物語群~
サークル幻想断片 創作企画

  石物語 Les Histoires des Pierres

石物語 第二期 公式サイト
http://cherspierres.blogspot.jp/



(*≧m≦*) ぷぷっ ← この顔文字、昨日の朝に 沙羅さんちから貰って来たw 可愛い

踏まないように気を付けるよりも、火傷しないように気を付けるほうが優先です。
そして早くホウキで掃きなさい (-"-怒)

神の記憶と想念のカケラから生まれた宝石・カーネリアン (蛇の紅玉髄) のコルナリーヌ。
ロワゾーさんが 紙飛行機をネタに使った掌編を書いていたので、
それに便乗して書いてみましたwww

せっかくだからイベ特典・ピアニカが作った風にのる紙ヒコーキ を着せてみようかとも思ったが…。
あの脚は、白肌しか合わない。ポーズ付き全身服は、どれも濃肌には使えない。
仕方ないので諦めて、Cショップで小さな紙飛行機を買いました。

.

アバター
2017/06/01 09:06
意味と言えば (。-`ω´-)ンー

カーネリアンという石の 「あるべき熱を引き出す」 チカラをもらいに
紙飛行機がコルナリーヌに所にわざわざ立ち寄った… という可能性も、少しは考えたんですが…。

そんな可能性に、コルナリーヌが気づかなくともいいかなあ、という気がして
スルーしたんですよねwww
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2017/05/31 23:56
撒き散らされた紅茶の葉。
それにも何か意味があったのかも・・・???
(微笑)
様々な偶然が重なって今がある。。紙飛行機が来たのも、そう・・。
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2017/05/31 23:10
バカンスの時間のようなゆったりとした空気の中で心を行き過ぎるあれこれを感じるままに綴る
そんなムードある世界観が素敵^^
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2017/05/30 14:40
か、可愛い・・・・!(≧m≦)ノ
思考が可愛い!すっごく可愛い~~!!ぎゅーしたくなっちゃいます(≧ ≦)ノ

根性で自力飛行とか・・・お茶は何人分!?とか・・・二人分じゃダメなのかしら!?とか・・・
いや、羅列したら多くなってしまうんでここでやめておきますが^^;

可愛過ぎる!
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2017/05/29 23:14
うん。お茶の葉片付けようね〜♡(。→ˇ艸←)
うっかり蹴り散らかしちゃうかもだしねww

紙飛行機にお茶出してあげるとこなんか可愛いなぁ〜
ゆったりした時間が流れてそうでよいなぁw
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2017/05/29 20:56
ラズの天然とはまた少し違うけどwww

コルナリーヌの場合は ちょっと見た目をキレイに作り過ぎたので、
ツッコミどころが欲しかったんですよー、私が!
で、書いてみたら、こんなそんなになってます~~~ (((o≧▽≦)ノ彡
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2017/05/29 20:55
私のイメージするコルナリーヌは、
石が人の姿で動いているんだから… 紙飛行機が自力飛行したっていいんじゃね !?
的な感覚を持っているような気がします。
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2017/05/29 20:51
散らばった茶葉をホウキで掃き、それをゴミ箱に放り込む…
というトコロに頭がいく… までに時間かかるかも… コイツの場合 (*´-ω-`)・・・
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2017/05/29 20:48
中身を読むってことは、お客様を解体することなので、
コイツにそういう発想があるとは 思えなかったんですよねーwww
アバター
2017/05/29 20:15
こぼれたお茶の葉の香りを楽しむ
そんな余裕が大好きだなぁ(´ω`*)。o○

紙飛行機にお茶を淹れてあげようという発想も
オシャレでステキ(´∀`*)ポッ
アバター
2017/05/29 20:04
ww
手紙の行き先はどこかな?
きっと、寄り道したんだね^^

とりあえず、おちゃっぱを片付けよう^^
かわいいお話ですね^^
アバター
2017/05/29 15:11
え~~っと、とりあえず、床に散らばった分を集めて片付けましょうw

あとがきの顔文字、うちからなのねw
( ⓛฺ m ⓛฺ ) クスッ
壁]ω・)ニヤニヤ
( ´艸`)ムププ
こんなのもあるよw
アバター
2017/05/29 09:26
中身は読まないのですね。
そして床は放置(*≧m≦*)プププw
紙飛行機のお客様になら根性で拾った茶葉を拾い集めて使う
がさつな人間です。
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2017/05/29 00:39
ラズィーズといい、コリン(あだ名つけるw)といい、なにゆえこうも天然で可愛い
アバター
2017/05/29 00:23
根性で飛んできたのかと考えたり、床に茶葉をぶちまけてしまったり、
風変わりなお客さんに出す紅茶の数で悩んだり……。
本人はいたって真剣なんでしょうねぇ。
眺めているこちらとしては微笑ましいやら、少々心配やら。
詩的な風景と、独特の感性、ちょっぴりのユーモアに満ちた素敵な話でした。

ああ、寝なきゃならないのに読み耽ってしまったw



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