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【花蝕外伝】 第四話 


  基本情報 ↑ 名前ラズィーズ 魔力・幻惑 専攻・薬学 弓使い 女性型のくせに、女性型悪魔にモテるらしい ( ̄~ ̄lll)


注意・この物語はフィクションです。
登場する人物・事柄は全てARCHMASTERです。
また、悪魔の階級、魔界の設定等、全てこの物語の中だけのものです。
ご了承くださいませ。



【シュラーフの独り言】

天然のラズィーズに対し、突っ込むワルド、おもしろがるロワゾー、叱ったり宥めたりするのは私、
そして、静かに笑っているだけに見えて、実はよく見ているルィツアリ…。
そんな立ち位置が出来上がっていた。なにしろ予科から、もう長い付き合いだ。

なのに今回は、どういう訳かワルドが叱り役をかって出ている。
千里眼のワルド、もしかして… 何か良くない 『先』 が見えているのか !?

そこにラズが教授の使いに出たまま戻らない… というイヤな話が飛び込んできた。
こんな時に限って、ワルドもロワゾーもいつもの場所にいない。
いったい何が起きているんだろう。


◆ トラブルメーカー 第四話 ◆◆◆

まさかイキナリ眠らされる… という事態になるとは夢にも思わなかった。

犯人はマダム・ダヴリューだが、シュラに比べると初歩的で雑で、大して修行をしているとは思えない魔力だ。
そう長く眠っていた感じは無い… っていうか、眠りがひどく中途半端で… 頭が痛い。
が、幸い、怪我をしている様子は感じられなかった。

背中は、何かクッション性のある軟らかさを感じる。車のリアシートにでも転がされているんだろうか。
目を閉じたまま周囲の様子を伺うと、男性型・女性型の会話をしているらしい声が聞こえてきた。
女はたぶんマダム・ダヴリューだが、男の声は… 夫君にしては若い、というか年季が感じられない気がする。
だが、家族のように親し気だ。夫君じゃなかったら、誰だろう。

「転がしておけば、死霊が片付けてくれるさ」
「早くあのコを車から出して逃げましょう」

なにやら物騒な話… 死霊に片付けられるのは、もしや私ですかっ !? 冗談じゃないっ!
薄目を開けると男がこちらに背を向け、ゾンビを実体化させていた。

マズイ マズイ マズイ!

死霊使いなんて…、どちらかというとノーマル・レアな魔力、実際に見たのは初めてだった。
ナーシャ様に差し出したら、なかなかにオモシロい材料を持ってきたなと、
褒めてもらえるかもしれないと頭の隅で余計なことを考えつつ、
急いで幻惑の魔力を使いって男女を幻惑の檻に閉じ込め、さらに厳重に封印を重ね…。
ひとまずゾンビの量産を食い止めたが。

起き上がってみれば、すでに七体 ( ̄~ ̄lll)

術者を封印したら、ゾンビも消えてくれる… なんて都合のいいことは起きてくれなかったらしい。
ついでに、ゾンビらも幻惑の檻に閉じ込めてしまえ! と思ったが。
ゾンビは幻惑の魔力には掛かってくれなかった。
ま、そりゃそうだな、ゾンビそのものが幻みたいなモンだし、
それはそれで理にかなっているような気もするけど…。いずれにしても、ピンチ継続中。

それにしても、ここはいったいどこだろう !? と翼を広げ、いったん上空へ逃れると、
眼下には広大な森が広がっていた。
王都の少し先に、死者の森と呼ばれる森がある。
行き場のない魂が集い彷徨うとの噂が絶えない場所で、森を浮遊する魂を見た者も少なくないと聞く。
たぶん、そこだろう、という想像は容易についた。

このまま飛んで逃げたら、どうなるだろうか !? とゾンビの行動を眺めていると、
そのうちの一体が、背から翼を出すような動きをしている。えええっ、そんなことまで出来るんですかっ!
別の一体は、マダム・ダヴリューを封じ込めた幻惑の檻に向かって進んでいる。

ゾンビを放置して王都に向かれたら、非常にヤバい。たぶん、反省室で始末書… レベルでは済まないだろう。
そして、万が一、幻惑の檻を無効化され、マダム・ダヴリューをゾンビに殺されたら、
私の立場が… なんかヤバくなるような気がする。
そもそも事情を説明し、私が被害者であると証明してくれる悪魔がいなくなるのはマズイ。
とはいえ短剣一本でなんとかなるとも思いにくいし。

困った、困ったなぁ…。

と思いつつ、群れから外れ、マダムのほうに興味を示しているらしいゾンビに向かって、
頭上から思いっきり短剣を振り下ろした。まずは一体。

そのゾンビの持つ剣を頂いて、もう一体… と思ったが、振り下ろした剣が砂のように崩れ…。
危うくバッサリと切られるところを後ろに飛んで逃れたが。
腕に痛みが走る、切っ先が掠めたらしく、わずかに血が腕を伝うのが解った。

ゾンビ残り六体… どいつも大した剣者ではないらしいのが救いではあったが。

右から左から向かってくるゾンビの剣をかわし、時に短剣でいなし、時に飛んで位置を変え、
のらりくらりと時間を稼いでチャンスを伺うが、このままではジリ貧。

ゾンビの体力がどれほどのものかは知らないが、私の体力は有限なのだ。
頭も腕も痛いので、あまり派手には動きたくないしなぁ。
と、ゾンビの動きを伺っていた、その時。

ゾンビ数体を取り囲むように無数の、細かい氷のようなつぶてが一斉に地面から上空へと舞いあがった。

その一粒一粒が真昼のオレンジの月に照らされ、キラキラとした光を放ち、
あまりの眩しさに、目の前が真っ白になった。

(第五話に続く)


ゆうな様の最初の悪魔シリーズ 『粛清』 を読んだ時から、死者の森には惚れ込んでおりました。
こんな美味しい舞台は… 見逃せなかった ( ̄m ̄*)

今日 (5/21 日曜) じゅうに もう一話 (第五話) を公開して、来週、エピローグで 〆 の予定です。


◆ 悪魔シリーズ著作者・ゆうなさんの本編と今までのシリーズ (目次)
https://goo.gl/sGPglp
◆ ARCHMASTER のみなさまが執筆、現在連載中の外伝シリーズ (目次)
https://goo.gl/dikvCf

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アバター
2017/05/23 12:28
生け捕りにはしましたが、残念ながら刑務庁に横取りされました (*´-ω-`)・・・

大丈夫! ピンチを乗り切らずとも … が派手に助けにきてくれますw

ゾンビ、飛ぶかどうか解りませんが ( ̄~ ̄lll)
過去の記憶 (身体に染み付いたものも含め) で動いているであろうと想像しました。
相手が飛んだら、追いかけるために翼くらい出すかも !? と…。
アバター
2017/05/22 18:23
しかも生け捕りなら大喜びします
アバター
2017/05/21 16:48
ゾンビだ!
ピンチを乗り切れ!ラズ^^
それにしても、危険を呼び込むね。ラズw

マダム・ダヴリューは、ラズを使って何をするつもりだったのだろう?
ワクワクの冒険、たのしいです^^


アバター
2017/05/21 12:49
ふぉ!ゾンビ飛ぶんですかΣ(・ω・ノ)ノ!
ラズィーズ様ピーンチ!
ってとこで、何やら助けが。あ〜続きが気になりまする。
5話目も楽しみにお待ちしております(❀◡‿◡)
アバター
2017/05/21 11:33
幻惑が効かないゾンビ、敵としてはサイコーです (((o≧▽≦)ノ彡

妙にリアルな描写をありがとうございます ( ̄~ ̄lll)
そういえばマスター、ゾンビを斬りまくってましたよねw

その答えは、次でw
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2017/05/21 11:31
゚ღゆうなღ゚ 様に 『マニア第一号』 認定を頂戴しました (((o≧▽≦)ノ彡
アバター
2017/05/21 09:29
ゾンビが出てきた~~!w

マダム・ダヴリュー、なんでラズ様を拉致ったんだ?
この男性型悪魔は、マダム・ダヴリューの愛人?
気になる~w
アバター
2017/05/21 02:00
飛び散る肉塊、斬ればどろりと流れ出し腐臭を放つ濁った血
汚濁にまみれて必死で剣を振るうラズちゃんか いいね+
体力が底をつき、限界を感じるも軽快さを失わない気丈さを併せ持つ
激しい頭痛に見舞われながらも逃れようと足掻いて危機感にそそけ立つ
読み手としてはたまらない設定だね♪

アバター
2017/05/21 00:50
うはー ゾンビ登場
幻惑の魔力(。・ω・。)ノ♡

死者の森(*´-ω-)ノ"Ωチーン

手に汗握る
すばらしい展開ですね(๑•̀ㅂ•́)و✧



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