基本情報 ↑ 名前ラズィーズ　魔力･幻惑　専攻･薬学　弓使い　女性型のくせに、女性型悪魔にモテるらしい (￣～￣lll)


注意･この物語はフィクションです。
登場する人物･事柄は全てARCHMASTERです。
また、悪魔の階級、魔界の設定等、全てこの物語の中だけのものです。
ご了承くださいませ。



【マダム･ラガーフェルドの独り言】

ラズィーズ、あのコはオモシロいわ。女性型だから愛人には向かないけど…。

愛人になって安易に生きていこうとする頭の悪いコと違って、何を言っても、何をさせてもカンがいい。
研究者としても、まずまずの伸びしろを持っていそうだわ。
ウチの開発部門にスカウトしたいところだけど、あのコはいずれ局に行って研究に没頭するでしょう。
多少の恩を売って、先行き楽しみな、将来の局へのコネクションのひとつにでもなれば儲けもの。

だからダヴリュー夫妻の揉め事に巻き込まれてもらっては困るのよ…。
そろそろ少しばかり情報を耳にいれてあげる時期かしら。
その情報をどう処理するか、どう活用するか、じっくり見せてもらうわね。

あら… 珍しい。ラズィーズからのメールだわ。まだ研究費用が足りないのかしら !?
それとも、なにか… 気になることがあったのかしら。


◆ トラブルメーカー 第三話 ◆◆◆

お貴族様に自分から連絡をするというのは、かなり気が引けたが、背に腹は代えられない… というヤツだ。
ちょうど買い物がしたかったからいいわよ… とマダム･ラガーフェルドは、快く応じてくれた。

指定されたのは、王室御用達の菓子司の特別室。
マダム･ダヴリューから三日後の予約が入ったこと、今までとパターンが違うこと、
さらには先日の警告が気になっていることなどを告げると、壮絶とも思える鮮やかな笑みを浮かべ言った。

マダム･ダヴリューのご夫君の会社の財務状態が悪化しているようよ。
今この瞬間にも倒産しそうなほどに。後に現金化できそうな高価なモノを買うだけ買って、
支払いを先送りして逃げ出しそうな、そんな状態なの。

バイト代はそのつど頂戴していると言うと、その程度のものはどうにでもなるのだと言う。

「逃げるタイミングを昨日から三日後？ つまり明後日ね。その日に決めたのかしらね」

話ながら、マダムはやけに楽しそうだ。他人の不幸はオモシロいのかもしれないが。
どうする !? と聞かれたので、お誘いをお断りしようと思う、と言うと、それがいちばんね、と言いつつも。
なにやら… まだ含みのありそうな微笑みがキレイで、怖い。

結局その日は、買い物ヤメるわ… の一言でお役御免となり、バイト代はもらえなかった。
少しは話を聞けたし、パフェもおごってもらえたので、まあ、いいけど。

「細胞ちゃーん、ガンバレ～～～」

士官学校に戻り、細胞ちゃんの棲み処であるシャーレを目の前にしても、イマイチ集中できなかった。

マダム･ダヴリューが買い物に出て、その足で行方をくらます… として…私の役割は何だ !?
せいぜい… 屋敷を出る言い訳か !? そんなの、意味あるのかなぁ。

研究を理由に、丁重にお断りのお電話を差し上げた時も、声は不機嫌だったけど、あ、そう… で終わったし。

この話は私としては断った時点で終わり… で、いいんだよね… と思いつつも、
もやっとした気持ちの悪さは、どうにも消えてくれなかった。

こういう時は、身体を動かすに限る。
ロワゾーに倣って、剣の稽古にでも没頭してみようかとレッスン室に向かったら、
当のロワゾーがまた稽古をしていた。なんて熱心なヤツだ…。
せっかくだから、ヤツを手本にさせてもらっちゃおう♪ と、後に立ち、ロワゾーの型をマネる。
突く、払う、止める、腕を返して弾く… その動きは滑らかで徐々にスピードを増していく。
目に見えない仮想の相手が、本当に実在しているかのようで、ロワゾーが本気で集中していうのが解る。

これはマネるにも限度がありそうだ ^^; と、ロワゾーの動きを私の仮想の相手に見立て、
少し離れた場所で、必死に対抗する動くを繰り返し…。
気付くと、時間を忘れ、稽古であることすら忘れ、没頭していたらしかった。

「珍しいな。ラズがこんなに熱心に剣の稽古をしている姿、久しぶりに見た気がする」

ロワゾーの声にハッと我に返ると、全身汗だくで、おかげで頭の中もスッキリ爽快。
そのせいか、それがさ～… とここ数日の もやっとした話をレッスン室の床に座り込みながら捲し立てていた。
断ったものの、釈然とせずに気分が悪い… というところまで。

「ワルドに聞かせたら、また怒り出しそうだな」
「だよねｗｗｗ お叱り長時間コースが待っていそうだよ。でも動いたらサッパリした」
「明後日は校内から出ないほうが良さそうだな」
「そのつもり。明日は教授に頼まれた本を受け取りに行かないといけないんだけど」
「寄り道はするなよ、アイスとかパフェとか」

しっかり見透かされている。校内のカフェで我慢するよ… と答えたら、また笑われた。

そして翌日、私は校内を出て本屋に向かう途中で… 拉致された。

（第四話に続く）


◆ 悪魔シリーズ著作者・ゆうなさんの本編と今までのシリーズ （目次）
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◆ ARCHMASTER のみなさまが執筆、現在連載中の外伝シリーズ （目次）
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