【石物語】 通り雨。
- カテゴリ:自作小説
- 2017/05/13 17:08:26
何をしようか、どこに行こうか。
だが、何かがしたい訳ではなく、どこかに行きたい訳でもない。
思いつかないまま石に戻ってジュエリーケースの中で眠り、しばらくの時をやり過ごし。
そうして後にふと、人のフリをして街に住んでみようか、と思い立った。
いまの部屋は、窓が大きくて気に入っている。その窓を大きく開け放つと、湿った空気が入ってきた。
雨が降っている。雨の日は、雨音だけがにぎやかだ。
それでも時折聞こえるイレギュラーな音が雨に溶け込み、雨のリズムを一瞬、個性豊かに変える。
だが今日の雨は単調で、ぼんやりと耳を傾けるには、ほど良い大きさだった。
ふと下を見下ろすと、男が向かい側のオープンカフェの、ひさしが伸びたギリギリの席で新聞を広げている。
同席者は、人形のように白く美しい、だが人形のように表情に乏しい娘。
もしかして… 本当に人形か !?
一瞬そうも考えたが、動きを見ていると、そうとは思えなかった。きっと人だろう。
やがて人形のような娘は、何か、小さな箱のようなものと引き換えに、別の男に連れられて、見えなくなる。
最後まで、人形のような娘の、その乏しい表情は何も語らなかった。
雨というのは… オモシロい。
この世界にまるで特殊なフィルターをかけたように、常とは異なる絵を見せてくれる。
時にはスローに、時には無機質に、時にはコミカルに、時には夢のような曖昧模糊としたものに…。
男が立ち去ったテーブルについて、そこから見える風景を見たいと思い立ち、部屋を出て、
一足ごとに木が軋む古びた階段を下りると、空気は一変する。
冷たくて湿っていて、それでいて自由な匂い。
街は洗い流され清々しく、木々や葉は生き生きとして、花は笑っているかのようだった。
雨のなか、濡れながら 4~5m ほど先の向かいのカフェに到着すると、
外の、あの席の横に立ち、
「チャイを。お砂糖はおおよそ 1cm四方くらいで」
と注文し、まずは新聞男が座っていた席を試す。
いったん目を閉じ、顔を真正面に向け、ゆっくりと目を開けると、
左右に石造りの建物が連なり、その中央を石畳が走っていた。先で左側にカーブしているため、
石畳は途中で見えなくなるが、先へと続いているであろうことは疑いの余地がない。
チャイが運ばれてきたのを期に、人形娘の席へ移ると、
こちらは少し先が T字路で、真正面にはドアと窓がついた石の壁が立ちはだかる。
通りが左右に走ってはいるものの、不思議なことに、こちらは世界の広がりを感じなかった。
その代わり、いくつもの窓に人がよぎる。
同じ場にありながら、全く異なる視界の風景に少し驚きつつ、ぼんやりと眺めていると、
雨の音が勢いを削がれ、雲の切れ間から、わずかに光が差し込んでいた。
雨が上がる。いつもそうだ。雨はずっとは続かない。
~心をもつ宝石たちの軌跡をえがく物語群~
サークル幻想断片 創作企画
石物語 Les Histoires des Pierres
石物語 第二期 公式サイト
http://cherspierres.blogspot.jp/
(*´-ω-`)・・・
神の記憶と想念のカケラから生まれた宝石・カーネリアン (蛇の紅玉髄) のコルナリーヌ。
せっかくキャラ設定を頂いたのに、私の頭のなかでコイツはまだ動かない。
雨の音を聞きながら、目的もなく言葉を打ち込んでみたが。
頭の中で思い描いたシーンを、なんとなく言葉ににしただけで終わってしまった。
そのうちまたリベンジしようと思う。
今日のところは、青ガチャ第31弾のコウモリシャツを使った… ということで良しとします。
.
いまさらながら読んでおります。
皆様の物語を読んでいるのですが
アプローチが様々なのですね。
いきなり輝石の館に行くところからの方もいらっしゃるし
コルナリーヌの様に単独で生活している方もいる。
シェーンの可哀そうな話が続いちゃいそうなので
さっさと輝石の館に行かせて 落ち着かせてから
過去を思い出させるってのもいいかもしれないと
いまさら思ったりして・・・
和.comさんのお話は映像が見えるようです。
描写が美しいわ❤
やはり人が感じる感覚とはちょっと違う感じで神秘的です。
瑞々しい文章ですね~。言葉の端にツヤがあります。。
雨が周囲の街並みを写しつつ、水溜りに飛散する・・、
そんな情景が浮かびあがってきます。
コーデも奇抜ながらも、ステキ!!
表参道のブティック街を、これで歩いても違和感ないと思います!!
なんか… あまり積極的に動くイメージを持たせにくいんですよねー。
この顔のせいか…。
なので、しばらくは周囲を眺めている… という状態が続きそうです。
まあ… 悪魔シリーズのラズも、私の頭の中で動くまで二カ月以上かかってますから ヾ(--;)ォィ
そのうちなんかを追いかけて走っているかもしれないし、
やっぱりこのまま、なんとな~く周囲を眺めるパターンが定着するかもしれないし、
ちょっと楽しみにしています ( ̄m ̄*)
コーデも切り取った映画のワンシーンみたいで
淡々としたお話とマッチしてて凄く素敵です^^
堪能いたしました。ありがとうございました~!^^
ホント和さんは無茶振りし甲斐があり過ぎw
次回もまた期待してます^^
とっても美しいです(●´ω`●)
なんだか無声映画の世界のようです。
美しい文字列にどっぷり浸ってしまいました^^
雨越しの風景が見えるようです。
これ、好きです。
無限の時間を過ごす自由な魂が誰かの心を覗きたくなった
その誰かは自分と同じようなものかもしれない
セットで堪能すべくまた参りますね。
ラストの終わり方が好きです(*^▽^*)
特に春先の雨はひんやりとしている気がします。
気になった二人が座っていた椅子を行ったり来たりしているコルナリーヌ、可愛いです。
雨に寄せる感性が綺麗と言うか鋭いと言うかすごいね^^
部屋の中から眺める、感じるフィルター越しの雨
外に出て感じる雨そのもの
宝石が自身を形成してるのかな?^^
和さんが作ったお話なの?
すごすぎる・・・和さんて作家?!
でもってこのオシャレなサイトはなに?!
もう・・ニココーデどころじゃないね。。。
????!!!な私になってますww
オシャレなコーデに舞台設定
物語もフランス映画のようにオシャレです(´∀`*)ポッ
雨は自由な匂い
和さんのこういうセンスが
大好きなんだよねぇ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
何をすればわからないのであれば、望みを、すなわち「欲求」を設定するのだ。
恋がしたい、誰かとかかわりたい、戦いたい、何かを見たい。
もっとも影響力あった所有者は、宝石にとって親のような存在であるのかもしれない。
その親が少し教えてくれることもある。