橙緑赤と青白黒
- カテゴリ:アート/デザイン
- 2017/03/04 08:44:29
色だけの商標登録ってのが認められましたね、コンビニと消しゴム。
30年以上積極的に使いシェア・認知度が高いことが決め手とのお話。
ドメインと違い、トーシロが勝手に登録して金儲けとはいかないようです。
うーむ。ジングルやPCの起動音の件でも同じことを感じたのですが、
何でもかんでも利権とカネが絡む時代なんだなー。何か違和感あるなー。
数年後、カメラ首から下げて散歩する私が繁華街で2人の役人サマに捕まる。
「少々宜しいですか。貴方の色商標侵害についてお話したいのですが」
え? えええ? 拉致される宇宙人のように両脇を固められ人気の無いトコへ。
「バンダナが橙、革ジャンが緑、スニーカーは赤。お分かりですね」
はいはいはい? わ、分かりましぇん。なんかマズイことでも?
「大手コンビニの商標を侵害していますね。意図的なのですか」
おいおい、無茶も大概にしてよ。色味も違うし、たまたま一致しただけだ。
「無自覚は罪です。良識ある社会の一員として無責任極まりないですな」
「色味が問題なのではありません。想起『できる』ことが問題なのです」
「貴方を見た人間はコンビニが侮蔑されたと感じる可能性があります」
「コンビニの受ける風評被害は潜在的に測り知れぬものです」
待て待てー! 潜在的に測り知れぬ、って当然だろ。被害妄想に限界はない。
やや、一人がタブレットに何か入力し始めた。なんだなんだ?
「こちらに10分間の動画が記録されていますのでご確認ください」
……怪しい古本屋を覗き、廃屋みたいなドブ板長屋の二階の写真を数枚撮り、
安酒場の店頭に灰皿が置かれているのを見て少々ほくそ笑む私の映像。
「いかがわしき書籍を覗く貴方の姿、盗撮ととられかねない不適切行為、」
「受動喫煙の被害者への配慮に欠ける白痴的な反応、これらは全て、」
「大手コンビニの築き上げた社会的信用を貶める行為ですね」
一人が画面に指を滑らせる。なんか交通違反切符の電子版みたいのが出たぞ。
「こちらにサインを。支払用紙が届いたら一週間以内にお振り込みください」
……抗弁する気力なし。ようやく解放されて大通りに出る。気を取り直す。
あ、こんなトコにコスプレ喫茶が。覗きこもうとするとまた両脇ガシリ。
「カメラのストラップの青、レンズの白、黒ボディについて少々お話を……」
イヤー! 老体に鞭打って逃げる。手配書が回る。捜査網が敷かれる。
善良な市民どもがツイッターで私の所在を共有する。回りは全て敵だ。
ちくしょう、何でモノクロフィルムのカメラ使ってるのにこんな目に……。
……なかなかドタバタSF的な近未来です。これはこれで楽しいかもしれない。
しかし、色彩の魔術師みたいな偉大な画家たちはどう思ってるのかしら。
俺達が活動してた時代にそういう制度があったら……とボヤいてるのかな。
ハハハ、そういう意図せぬ事態と遭遇することって増えるんでしょうね、今後は。
そのうち繁華街に「貴方のために1分間、コーディネートさせてください」などと宣う輩が現れ、
服飾についてグダグダ説教したあとに「救いはここにある」と書かれた冊子など手渡す。ありそうです。
今回は特例として認められたようですが、他にも企業や商品ロゴで不可分の組み合わせがありますよね。
こういうのが少しずつ認められていく。おそらくデザイナーの手柄になるのでしょうけれど、
古今東西、平面に色を塗ることに生涯を捧げた先人たちへの敬意、ってのが欠けてる感がありますね。
「な、ナンマンダブナンマンダブ……」
「ここに我等が教えを騙る者がいるぞー!!」
今にユースケさんの予想通りの世界になるかもしれません。
色彩の魔術師たちはあの世から呆れ果ててることでしょう( ̄◇ ̄;)