7段飾りの思い出
- カテゴリ:人生
- 2017/03/03 01:37:04
3月3日はひな祭りですね。
私のひな人形は祖母にお金を出してもらったもので、
なかなか立派な7段飾りです。
部屋にものが増えてしまったので、
置き場所が無く、もう何年も飾っておりませんが……
たまに飾りたいなと思うことがあります。
そう、「眺めたい」、ではなく、
「飾りたい」という気持ちでして、
ひな壇の組み立てから人形や家具、小物のセットまでの
一連の過程が好きで、ときどき思い出します。
はじめてひとりで組み立てたのは小学校高学年の頃だったでしょうか。
何本もの金属の棒と棚板と蝶ねじを前に、
組み立ての説明図とにらめっこしながら骨組みを作っていきました。
分かりやすそうなところから組んでいったら、
重くて倒してしまったり、上下が逆だったり……
最初のうちは悪戦苦闘していましたが、
年齢を重ねるにつれて
骨組みを安定して立たせるための順番とか、
後回しでも良いパーツが分かるようになってきたので、
「成長したな!自分!」と感じられて嬉しかったです。
骨組みが出来たら緋もうせんを敷いてピンで留め、
いよいよ道具のセッティング。
まずは人形を載せる四角い台を置いておよその位置を設定してから、
おまちかねの家具や飾りの配置です。
タンスや鏡台、牛車などは小さくとも精巧に作られていて、
引き出しや引き戸が実際に動かせるのも楽しく、
わくわくしながら飾っていました。
いちばん好きだったのは橘と桜の木の飾りで、
特に橘は緑と橙の色合いや、小さな実も付いているところが
とてもお気に入りでした。
「大きな木がこんな小さくて綺麗な模型になって飾れる!」
ということに憧れていたのかもしれません。
今でも家具や日用品のミニチュアの食玩に惹かれるのは、
このあたりで培われたのかも……
道具を置いていく順番にもコツがあると思われますが、
種類が多いので、結局収納箱から出てきた順に
設置していたかと思います。
ただ、それも「どれがどこの場所である」と
ある程度分かっていないと難しいので、
慣れるまではやはり説明書を片手に悩んでおりました。
しかも、私のひな飾りは説明書の例と微妙に道具が違っていたので、
「これで良いのか? これはどこに置くの??」
とかなり考え込んでいた記憶があります。
当時はネットで調べることもできなかったですし、
子どもだったので「見本の通りでないといけない!」と
融通がきかなかったのだと思われます。
どうにかこうにか道具が配置できると、
最後に人形の準備にかかります。
三人官女や五人囃子に持たせる道具は
手の形やポーズで判断していたのですが、
これもなかなか似ていて難しかった!
長柄の銚子が手に合わなくて銚子を曲げちゃったのも思い出。
(ペンチで直しました)
あと、仕丁の頭にかぶせる帽子が
(月代で)ツルツル滑って泣きが入ったり、
結んだ紐の長さがどうしても左右対象にならなくて、
ハサミで切って長さを揃えたり(翌年困る)と、
結構無茶苦茶をやらかしてしまったのは今でも反省しています。
幼かったのもありますが、
元来、手先が不器用で短気なんですよねえ。
その後、帽子を諦めてかぶせないという
逃げというか、手抜きを覚えて飾るようになりました。
そんな具合に人形より家具や道具が好きな子どもでしたが、
それでも良い顔をした人形だなあと感じていました。
祖母は結構な額を援助してくれたのだと思います……
◇
もしかすると、もう飾ることは無いかもしれませんが、
2月の寒い時期に寒さを忘れて体が冷え切るくらい
無心にひな人形を飾っていたこと、
成長したところ、変わっていないところなどなど、
こうして忘れずに思い出せたら良いです。
書きながら昔のことを色々思い出しました。
大事にしたいです。
目に浮かぶ様々な柄や、道具や、表情と相まって、雅で温かな文章でした。
ぜひ春巻きさんの子どもへと、伝えていってください!