垓下歌
- カテゴリ:日記
- 2017/03/01 16:23:25
垓下歌
力拔山兮氣蓋世 力山を拔き 氣は世を蓋ふ
時不利兮騅不逝 時に利あらず 騅逝かず
騅不逝兮可奈何 騅の逝かざるを奈何すべき
虞兮虞兮奈若何 虞や虞や 若を奈何すべき
山を抜くような力と世を蓋う気概をもった項羽もついに観念するときが来た。愛馬騅にももはや駆け上がる気力はない。思い残すのは愛人の虞である。汝のことが気がかりだといいつつ、項羽は騅にまたがって敵前突破していくのである。
詩中に歌われている虞とは虞美人のこと。西施、楊貴妃とならんで中国歴史上の三大美人とされ、運命の薄幸さが人びとの同情を呼んできた。その虞美人が項羽に応えて作ったとされる歌も残されている。
虞美人作
漢兵已略地 漢兵已に地を略し
四方楚歌聲 四方楚歌の聲
大王意氣盡 大王意氣盡きぬ
賤妾何樂生 賤妾何ぞ生を樂しまん
漢兵が已に地を略して、四方楚歌の聲に囲まれてしまいました。大王様の息が消沈された今、わたくしも生きていく気力を失いましたと歌う、悲しい歌である。「四方楚歌」はまた、「四面楚歌」の言葉となって、中国の歴史に長く残ることとなった。