難破
- カテゴリ:恋愛
- 2016/11/22 22:06:06
仕事帰りに、ちょっと一杯飲みたくなることがある。
以前はおっさんばかりの居酒屋に寄っていたが、今はサイゼだ。
あそこで何か一品とワインを1杯か、小デカンタ。
30分もしないで席を立つのが自分の中のルールだ。
今日もそんな感じでふらっと入り、たまにはいいかなと小デカンタを頼んだ。
飲みつつつまみをつついていたら、自分のデカンタを持った爺さんがやってきて
「ちょっとだけ注がせていただけませんか」
と自分のデカンタを掲げて見せる。
ははあ、頼んだけどちょっとだけ多くてもったいないから他の飲兵衛に持ってきたわけか。
こういう爺さん、一杯飲み屋によくいたな。
ま、いいかと前の席に座るのを許したのだが、この爺さん、よくイタリアにいるタイプの奴だった。
どこにお住まいですか。
私はこの辺に住んでいるのでよく夕飯を食べにくるんですが、この店は便利ですね。
こうやってワインを飲みつつ食べることができる。
こんな風にあなたに会えることができた。
いや、あなたがあまりに美しいから話しかけたくなったんですよ。
こんな風に声をおかけするのはいけないとわかっているんですが、あなたは1人で楽しそうに飲んでいらっしゃるから。
そう、この爺さん、御年83歳でナンパをかけてきたのだ。
すげーよ爺さん。
私もこの年で美しいと言われるとは思っていなかったよ。
そうか、どんなに年を食っても、年長者にとっては私は若者だったのだな。
「もっと飲みませんか」
と言われたが
「必ず30分以内に帰る事にしているんですよ」
と笑いながら断ると
「それは残念。楽しい時間でした」
と別れの潔さも異国の時のようで、たまにはこんなハプニングも楽しいね、と思った。
お久しぶりです。
本当におもろい体験でした。
何しろ父より年上でしたが、なかなかにダンディで話も上手な爺さんで、この年代はすごいなと思いました。
正直、もしダンナに先だたれてもこんな風に新たな出会いを探せるほど瑞々しい情熱は持てないなあ、と。
私が持てるのは、旅への情熱くらいです。
なんでグリコさんにはこんな珍しい体験ができるのかな!?
なんか、腹立ってきたゾ!
……それくらい、小説の一場面のような、素敵なハプニングでしたね。^^b