Nicotto Town


フリージア


金狼の重圧 『エデン編』第2部…8

「後は任せたぞ」
「はい」
責任者はそそくさと出ていった。
細身の男は奥で話を聞いていたのだろう、エデンには目もくれずに作業に取り掛かった。前輪のブレーキの効きを確かめ調整に入る。EMを前後に動かしブレーキをかけ、何かしら判ったのであろううなずた。
作業はスムーズだった。EMのことを知り尽くしているような感じを受け、何も会話のない居心地の決して良くない空間でも安心して見ていられた。
話しかけるなよという雰囲気を醸し出している男はあっという間にブレーキの調整を終了し、また無言でエデンに確かめるように促した。
エデンもEMを前後に動かし効きを確かめる。確かに良い効きだ。
それにしても愛想のない作業員だなぁ…エデンはそう思った。

「ありがとうございます、おいくらですか?」
「…これくらいで料金はいらねえよ」
それでもお金を払おうと思ったエデンだったが、細身の男の気迫にそれ以上自分の気持ちを押し切ることはできなかった。
「…はい、すいません」
「それよりも…」
「?」
「その金色のEMに乗っている理由を聞かせてくれよ」
「え?」
直感的に思う、この男はウルフのことを知っている。先ほどからのプレッシャーがようやく理解できた。そう言えば、さっきからずっとEMばかりを見ている。それは作業をするという以上の執着した目であった。
「もしかしてあなたは…ウルフのことを?」
「知っていたら、どうなんだよ?」
男のプレッシャーはより強いものになった。目は鋭く、敵意に満ちたように感じられる。
エデンは少しだけ後ずさりした。それほど、男のプレッシャーは異様なものとなっていた。

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2016/10/18 09:37
又ウルフ絡みの人物登場ですね
どんな過去があったのか展開楽しみにしています。



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