【お話】フェアリードクター2
- カテゴリ:コーデ広場
- 2016/10/01 09:28:48
妖精専門の少年探偵団。改
もらったステキコーデ♪:16
「ねえねえ、次はどこに行くの?」
小さなささやき声。ぼくのそばを飛び回っている小妖精たちだ。
いつからか、側にいる。何かあったら声をかけてくる。たまに、手伝いをしようとしてがんばってくれる。
ほかの人には姿が見えない、でもぼくの友達だ。
たまに、がんばりが変な方向に行ってたりするけど。
「図書館だよ。このあたりの伝承を調べなくちゃ」
「めんどう~」
「めんどう~」
ぶーぶー言う彼女たちに、甘いミルクをあげるから、と言ってなだめる。
「どうして図書館なの?」
「このあたりの人が忘れてしまった、妖精との約束が見つからないんだ。昔話にヒントがあるかもしれないから」
今度の依頼は、ちょっとやっかいだった。お屋敷の窓が、勝手にあいたり、物が壊れたり。不気味な声がしたり。
何があったんだと、人間側は震えあがっている。
フェアリードクターとして、お屋敷にいる妖精とも話をしてみたけど、
妖精側は、怒ってしまっていて、話にならない。
なにか、人間側が、やってはいけないことをやらかして、
昔の約束を破っちゃったみたいなんだ。
でも、その約束が、なんなのかわからない。忘れられちゃってるんだ。
「妖精は変わらないけど、人間は、世代が交代して行くからね。昔の約束が、伝わらなくて。破ったかたちになっちゃう。
図書館に何かあれば良いけど」
「あるのかな~」
「あれば良いわね~」
「なかったらどうするの?」
うーん、と言って、ぼくは首をかしげた。
「どうしようね? そしたら、地道に妖精たちをたずねてまわって、ひたすら話を聞いてあげて、
美味しいビスケットをたくさん渡せば、機嫌がなおるかな?」
「あたしたちにもちょうだい!」
「ビスケット! ビスケット!」
「はちみつ入りじゃないとイヤよ!」
きゃっきゃと喜ぶ、小妖精たち。
「人間側にも、約束をきっちり守るように、言って聞かせないとね~。これが一番、大変なんだけど」
ぼくの作る、ふっかふかのビスケット。妖精たちに人気なんだ。
ハーブや、花を練りこんで作るんだよ。ジャムやはちみつを添えて食べたら、最高!
はちみつは、ヘザーの花のにしようかな。ワイルドな味と香りが、妖精に人気なんだよね。
あと、バラの花を使ったお菓子なんかも……。
「あれ?」
不意に、バラの香りがした。
「どうしたの?」
「うん、バラの香りが? 気のせいかな」
「ふーん?」
見まわしたが、花はない。不思議に思いつつ、ぼくは図書館に向かった。まだ駆け出しで、おばあちゃんの跡をついだばっかりだけど。ぼくだって、フェアリードクターなんだから。
がんばらなくちゃ!
***
「気が付いてないね」
「ねー」
背後で、こそこそと小妖精たちが話し合う。
「バラの香りは、妖精の女王様のお気に入り」
「前に、お花を入れたビスケットを作ったの、あれ美味しかったよね」
「女王様が喜んだもんね」
「あれ以来、この子に小さな幸運の守護がつけられたの」
「あたしたちもお手伝いしなさいって言われたものね」
「でも気が付いてないの」
「ないの」
「うふふ」
「ふふふ」
「ビスケット、楽しみね」
「ラベンダーやタイムが入ってるかなあ」
「バラのお菓子もおねだりしようか」
「そうしよう」
「そうしよう」
今日も、妖精たちから愛される、小さなフェアリードクターが行く。
***
これが手に入るまで、同じ背景が何枚もやってきた(^^; 風船の背景、五枚ぐらいあるし、他のも三枚ずつある(^^;
青いズボンに合わせて、靴とアクセサリーも青でそろえています。
背後の赤バラは、チョッキの色に合わせました。
なお、ここで出したビスケットは、硬くて平べったいものではなく、
スコーンに似た、ふくらませたものです。
ただ、人は、そこにある、ありのままの自分の姿を見ることに耐えられない。
それが、人と人外が相いれない、理由のひとつじゃないかなとは思う。
純粋すぎるものは、鏡のように、自分を映してしまうから。
少しずつ、自分を見つめなおして、これも自分なんだ、ありなんだと、思うことで、
彼らを認めることが、できるようになっていく。こんな感じじゃないかな。
自分は深い闇持ってるんで近ずいてはくれないと思ってる