【お話】魔女っぽい森の家
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- 2016/09/14 21:01:55
日課の水やりと草むしりをしようとした魔女は、おずおずと顔をのぞかせた少女に声をかけました。
「いらっしゃい。なんの御用かな?」
「あのう~……ガラスの靴をさがしているのですが。
作っていただけないでしょうか……」
魔女は、目をぱちくりとしました。
「いや、見たらわかると思うんだけど、
あたしの専門は、薬草を育てることなんだよ。
畑仕事なら得意なんだけど、靴を作ったりするのは、ちょいと専門外だね。
悪いんだが」
「そんな……どうしましょう」
少女は泣きそうだ。
「なんだい、そのガラスの靴がないと、お城に上がれないとか、そういうわけかい?」
「いいえ、お城にはもうあがりました。王子様ともダンスをして、楽しく過ごせました。
でも、靴の片方はなくしてしまって、もう片方はさっき、うっかり、落として割ってしまったの。
もう、お城に上がることなんてないだろうから、せめて、思い出に持っていようと思ったのに」
「ああ~……」
魔女は、遠いまなざしになりました。
「どっちにしても、あたしじゃ役には立たないねえ。壊れたものは、どうしようもないよ、きっぱりあきらめな。
ああ、泣くんじゃないよ。それより、足を見せてごらん。あ~、やっぱりだ。
靴擦れしてるじゃないか。
まずは、そっちの手当てだよ。自分の体を何だと思ってるんだい。
あんたの体は、あんたにつながるたくさんの人から贈られた、大切なものだろう。
あんたが知らなくとも、あんたにずうっとつながる、遠い先祖からの、贈り物なんだよ。
ていねいに扱ってやんな」
魔女は、得意の薬草術で、足の手当てをしてやりました。
ついでに、髪やお肌の手入れもしてやりました。
「あの? どうしてお肌にも薬草を塗るの? ですか?」
「そんな泣きはらした目と、手抜きでぼろぼろになった肌、ほうっておけないだろ。
ほれ。これがパック用の薬草。小麦粉と緑茶の粉末を混ぜてある。
目元を冷やすときは、ラベンダーやカモミールを使うと良い。
こっちの軟膏も持っていきな。
結婚式までには治しとかないとね」
「結婚式? だれの?」
「まあ、そのうちわかるさ」
少女は首をひねりながら、髪と肌のお手入れ一式セットを持って、帰ってゆきました。
魔女は、畑仕事に戻りました。
「ガラスの靴の片方が壊れたって言っても、
もう片方はもう、運命の相手の手に渡ってるじゃないか。
ハッピーエンドも時間の問題だね」
あたしの出る幕じゃあ、なかったんだけどねえ。
そう言いつつ、魔女は、今日も、薬草を育てています。
***
魔女っぽい森の家。もう少し、草木をモフモフさせたかったのですが、
48個ぎりぎりまで使ってしまったので、これで完成です。
ちなみに、これ、全部、無課金で作っています。
シンデレラが不法侵入してきたので、記念にお話を作ってみました。
ありがとうございます。いろいろ考えて、結局使わないものもありました(;^ω^)
お部屋職人さんが、写真をあげたりすると、見に行って、アイディアもらったり。
わたしのオリジナリティは、物語を考えて、それから物語に合わせてお部屋作ってるところかな。