金狼の重圧 『エデン編』第2部…7
- カテゴリ:自作小説
- 2016/08/24 00:26:32
その日もエデンはオアシスをEMで流し、ウルフが来るのを待っていた。しかし、影も形も観ることはできなかった。
諦めることはできない、エデンの気持ちは決まっていた。
『これは…復讐なんだ』
この気持ちを推し量ることは無理である。エデン、そして電話をかけてきたミキという女性以外、ウルフへの執着を語ることはできない。エデンは誰にも喋らないと誓っていたわけではない。
しかるべき時が来れば、その時に話すことになるだろうと感じていた。
「…ん?」
高速から下道へと降り、自宅へと向かっていた時だった。エデンは前輪のブレーキに違和感を覚えた。少し効きが悪い。
整備を怠ったつもりはなかったが所詮機械いじりは素人。普段は見よう見まねで手直しするエデンであったが、近くに見えたバイクの整備屋に入ってみることにした。
作業スペースであるガレージには何台かのEMがある、修理途中なのであろう。しかし、もう営業も終わるころなのか?作業をしている人は見受けられない。
「あの~、すいません」
「はい」
奥から野太い声が響くと共に大柄で角刈り頭の中年、ここの責任者であろう男が出てきた。
「まだ、大丈夫ですか?」
「おお、いいよ」
見た目は怖そうな男だったが、気さくにエデンを迎え入れた。
「お~、ド派手なEMだなぁ、なんか問題かい?」
「はい、前輪のブレーキが少し違和感があって…効きが弱いと言うか…」
「なるほど、うーんそうだな」
すると男は奥に向かって叫んだ。
「おーい!」
大声が辺りに聞こえ奥の部屋から作業着姿の若者が出てくる。細身の男、これで力仕事ができるかな?という印象だった。
「あんちゃん、オレ今から組合の会合があって出かけるんだよ、後のことはあいつに話してくれや」
と、細身の男を指さした。
細身の男は奥から入口へゆっくりと歩み、エデンには目もくれず金色のEMをずっと見続けていた。
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- クルミ
- 2016/08/25 20:48
- まぁ((o(´∀`)o))ワクワク
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- ミチクサ
- 2016/08/24 03:27
- 次回の展開楽しみです^^
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