Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


なぜ、林はひんやりしていたのだろう


わたしの暑さ対策…。
いがいとむずかしいお題。
エアコンをつける、では
あまりに情緒がないし。
でも、家にいるときはそうかな。
扇風機とエアコン。

外にいるときは、
暑さ対策というより、
熱中症予防というか、
日焼け対策というか。
帽子と長そで、そして飲物が必需品。

なんだか、どちらも、情緒がないなあ。

むかしは、林の中にはいるのが好きだった。
小学生から中学生ぐらい。
家の近所の林。自転車で15分ぐらいかな。
そこにいくと、空気がひんやりする。
それを感じるのがすきだった。

大人になってから、その場所から
離れたということもあるんだけど
あのひんやりを感じることがなくなった。
都会と郊外のちがいだろうか。
都会の緑は、少しは涼しいけれど
あれほどは。

今いる場所は、どちらかといえば郊外だけれど
やはり、林にはいっても、
あれほどひんやりはしない。
面積もあるのかもしれない。
エアコンもほとんどつかっていない時だったし
夏もいまよりも暑くなかったのかも。
それとも思い出だからだろうか。
いや、林のなかで、涼しさを
めいいっぱい感じた心地よい感触を
おぼえている。
どうして、こんなにひんやりとして、
きもちがいいんだろう?
林の中でわたしは殆ど幸せだった。

今の時期だと、なにが咲いていただろう。
林の入口ではつりがねにんじん。
キツネノカミソリなんかもさいていたかも。
水引、アザミ。そして茸たち。
もうすぐ秋がはじまる頃だ。
アキノキリンソウ、フジバカマ。
林に行く途中で、ヨウシュヤマゴボウ、ヘクソカズラが咲いていたのをおぼえている。
そして、ながらく名前をしらなかった
オレンジのつぶつぶとした花の…。
いまは名前をしっているヤブガラシ。
ブロック塀がくずれたあたりに咲いていた。
民家がまばらになり、畑があって、それをすぎると林になる。
ほこりっぽい道に、真っ赤なカンナがはえていた。
そして、そこをすぎると、
すんだ空気の
やさしい林だ。
しめっているのに、湿気ではない。
露をふくんだような、日陰。
けれども、木漏れ日がちらめく場所もあって。

ひとりでも遊びにいっていたけれど
父ともでかけていた。
父は植物をとっていた。
家で育てるために、ひとかぶ、ふたかぶ。
シュンラン、キンラン、ギンラン、イチヤクソウ。
ツリガネニンジン、ツルボ、あとなんだったけ。
野の花の切り花ももってかえったことがあったっけ。
いまは、その林、どうなっているかしらない。
それに、いまは、おそらく、あんなふうに植物をとっていい場所
というのは、あまりないだろう。
でも、むかしは、そんな規制がなかったと思う。
国有林とかじゃなかったし。
タンポポをとるようなものだ。

家に林近辺でとれた花束がかざられて。
あるいは植木鉢にうわっていて。
林がとても身近だった。

そうか、だから、いまも、林をみると
つい、寄りみちしてしまうのだな。
どこか、憧憬のような想いがわきあがるのも
そのせいか。

暑さ対策…でかきはじめて、
そんなことがわかって、よかった。

ところで、あの林のひんやり。
いま、それに似たのを感じる場所といえば
高原とか、箱根とかだ。
箱根のどこだったかしら、夏のある日、
ついたとき、あのひんやりとした空気に、
かつての林のつめたい温もりを感じたことがあったっけ…。




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