童話 原始の森の物語(8)
- カテゴリ:自作小説
- 2016/07/23 10:07:45
チコリとユリナの体は黒いフワフワのものに乗っかって持ち上げられました。
ぬるぬるした感覚でチコリは気がつきました。
「ほっほっほっーーー」
声が響きます。
見上げると恐竜ぐらいある大きなナマズに似た生き物の背中に乗って持ち上げられたのです。
「危ないところじゃったの。」
大ナマズは首をひょこっとあげ背中の方を見ました。
「あなたはどなたですか?」
チコリは聞いてみた。
「わしか。わしは虹の湖の主(ぬし)の滝太郎(タキタロウ)じゃ。かれこれ5000年生きておる。その間に人間の言葉を覚えたのじゃ。」
滝太郎は長いひげをピクッとふるわせました。
「お嬢さんは大丈夫かの。」
チコリはつかんでいたユリナの胸に耳をあてました。
チコリはドキッとしてふるえました。
ユリナは呼吸をしていませんでした。
チコリはユリナの体をゆすりましたが動きません、
あたりはすっかり暗くなり満天の星がきらめいています。
虹の湖の岸辺にきれいな虫の光が点滅しています。
その中で満月の光のスポットライトをあびたユリナは可愛らしく死んでいました。
その手の中には弟のゲンを助けるための熱さまし草をしっかりにぎっていました。
(お願い:他にも公開していない小説をたくさん書いていまして順次パブーなどでペンネーム☆千葉広明☆名義で電子書籍化販売予定なので、くれぐれもコピーはしないで下さい。作品の模倣、一部の複写等の行為はご容赦下さい。模倣、一部の複写などが確認された場合、図らずしも法的対象になりますのでご注意下さい。☆この作品の著作権は千葉広明プロダクションに帰属します。)