ひとりの魔法騎士の物語/学園生編~入学式・上~
- カテゴリ:自作小説
- 2016/06/12 11:24:59
イトスギの月、魔法界では新年度を迎えた。
名門であるマジカル学園も新入生を迎える準備を整えていた。
ユーミン♪(以下、ユ♪)「マジカル学園の門をくぐることができるなんて……、夢みたい!」
私、ユーミン♪は、倍率10倍と言われる、マジカル学園高等部の魔法騎士科と魔女科の入学試験に合格し、
グランクラスの生徒として迎えられたのだった。
ユ♪「えっと、入学式はカテドラルでやるんだっけ……」
マジカル学園の礼拝堂、通称・カテドラルは学園の敷地の中心にある、レンガ造りの建物。
その内部は、魔法で変幻自在に変えられるようになっていて、
「幻師(うたかたのし)」と呼ばれる、魔法使いが管理を行っている。
ユ♪「ここ……かしら……?」
二つの高い塔がそびえる建物に入ることにした。
ユ♪「わぁ……!」
中は、美しく飾りつけがされており、
妖精が光の粉を降り注いでいた。
???「新入生ね?
ようこそ、聖ミチルヤ礼拝堂へ。」
ユ♪「あなたは……?」
ルクレツィア(以下、ル)「私は、聖ミチルヤ礼拝堂の「幻師」、ルクレツィア・スチュアート。
あなたは…?」
ユ♪「ユーミン♪といいます」
ル「ユーミン♪、あなた、とても良い目をしているわ。
ごらん、妖精たちもあなたのことを祝福しているわ」
その言葉が終わると同時に、自分の着ていた服が輝きだした。
ユ♪「まぶしっ……」
ル「ふふっ、すぐに収まるわ」
ルクレツィアの言葉通り、気づいたときには、輝きは消えていた。
ユ♪「服が変わってる……!」
ル「妖精たちに気に入られたようね。
この子たち、【精霊使い】の才能を持つ人にしか、光の粉を振りかけないのよ。
あとで、理事長に、あなたを【精霊使い科】にも在籍させるように話しておくわ」
ユ♪「【精霊使い科】なんてあるんですか?学園案内にも募集要項にも出てきませんでしたが……」
ル「精霊使いになるには、妖精たちと相性が大切なのよ。
だから、入試では選べないの」
言われてみれば、自分の周りに妖精たちがすりよっている。
ガラン……ガラン……
ル「鐘の音だわ……。他の生徒も集まって来たわね。私も持ち場につかなければならないわ。じゃあ、またね」