金狼の重圧 『エデン編』第2部…5
- カテゴリ:自作小説
- 2016/06/11 21:42:19
オアシスシティの刈谷パーキングエリア、初対面の2人は声を失っていた。
1人は端末の画像を食い入るように見て衝撃を受け、もう1人はその衝撃が収まるのを待っていた。
画像に小さく映っていたのはまぎれもなくウルフである。髪はいつも通りの金髪。
ユウジはこれがごく最近写されたものだと知り、嬉しさがこみ上げてきていた。復活は幻ではなかったのだと、またEMに乗っているのだと。安堵の心はユウジの体すべてを覆いつくした。
本来の被写体は見知らぬ男二人、エデンの友人であろう。その後ろをウルフが通った瞬間に偶然写ったのだ。少しだけボケてはいたが表情は分かる。かつての飄々とした表情ではない、少し寂しげな印象。
「写っている二人は僕の友人です。知り合いにこの画像を見せたところ、その二人には食いつかずに後ろの見知らぬ男に釘づけになったんです」
「……うん」
「それでどうしたの?と聞いてみると、伝説の男ウルフだと…」
「この写真、転送してくれないか?」
「もしウルフの知り合いに会えばそう仰るだろうと思い…」
エデンはポケットから写真を取り出しユウジに手渡した。その写真はウルフを中心として引き延ばされていた。
ユウジは写真を見ながらしみじみ思う。俺よりもこのエデンという男の方がウルフへと近づいてる。俺たちの方が心情的に近いはずだったのに、この見知らぬ男の方が一歩も二歩も歩みを進めている。なぜだ?
「君はなぜにウルフを探しているんだ?」
見知らぬ男がウルフへと近づいているその不可思議な現象の答えが、ウルフを探している理由にあると思っていた。ユウジは答え次第でウルフの捜索を彼に任せようとまで考えていた。
「…………僕はEM乗りです…もちろん、勝負してみたいということです」
答えには少し間があった。
エデンは核心を吐露していない、そう感じたユウジ。ただレースしたいと言うだけの理由ではない、少しの間はそう告げている。だが、それ以上の詮索はしなかった。
「なるほど…君なら見つけられると思うよ。写真、ありがとう」
そう言うとユウジはエデンから離れて行った。
「…あの?」
後ろ髪を引かれながらもユウジは振り向かなかった。エデンと言う男ならウルフを見つけることができると信じたからだった。それともう一つ…エデンという懐かしい響き、自分の記憶を確かめなければと思っていた。
彼は過去にウルフや俺たちと繋がっているはずだと…
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- パン
- 2016/10/23 01:22
- ここから読み直し^^
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- ミチクサ
- 2016/06/18 00:12
- どこで繋がっていたのか展開が楽しみです。
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