ヴァレンタインは改心しなければならぬ。
- カテゴリ:小説/詩
- 2016/02/13 20:39:11
O・ヘンリーの短編でどれが好きか。嫌いというものはないが、贔屓はある。
以前書いた「アラカルトの春」、江戸の人情話みたいな「心と手」……あ、バレンタインデーだよな。
それじゃあ「よみがえった改心」を紹介せねばならぬ。
腕利きの金庫破りが出所、彼を長年追う刑事に付きまとわれる。
相変わらずの暮らしを送るうち、運命の女性に出会い、スッ堅気に大変身。
彼の名前がジミー・ヴァレンタインなのです。
だからヴァレンタインというのはカッコイイ男だとの思い込みがある。
私がウイスキーではバランタインを好むのもそのためだ。単純である。
「ヴァ」と表記せねばならぬ。色男はバではイカン。
え、何が改心か、ですと? うーん、あと少しだけ紹介しますね。
ジミーは真面目に働き、みごと銀行家の娘である彼女を射止めます。
ある日、彼女の祖父(か父)が、タイマー付の難攻不落の金庫をジミーに見せ……。
こ、これ以上は書けません、いや書きません。あえて分かりにくく書きました。
「あなたのバラを一輪もらえますか?」というジミーの台詞がクライマックスにあり、
これがある決意の隠喩として、映像的にも格好良いんです。あー、バラン飲みたい。
そうそう男性諸氏、ホワイトデーに、この話の入った短編集をお返しにしてはいかが?
古き良きアメリカ文化ってヤツがあちこちに出てきまして、結構好まれるかも。
コニーアイランドに連れていけとせがまれたら、とても素敵ですなー。
オチが分かると残念かもしれませんが、この話は訳文の文体にも味があるので、ぜひご一読を。
現代人から見れば古風な言い回し、逐語訳的な固さ……アメリカ文学の印象に大きく影響してます。
こなれた訳だと、英米文学を読んだって充実感が薄くなるのは私の偏見でしょうか。
wikiであらすじを読んでしまった・・・
新潮社文庫版、探してみまっす!
新訳が数々出ていますが、1巻物に収録されているかは分かりません。
昔なつかし新潮文庫版の全3巻なら、古本屋で高くても一冊100円。
かなり小さな明朝体に味があり、逐語訳にも良さがあるので、私はこちらをオススメします。