鬼を名乗りて⑤
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- 2016/02/03 00:38:40
今年も二月がやってきた。
立春ともなれば鬼たちも目を覚ます。
となれば恒例のあの企画も目を覚まさぬ道理はない!
年に一度の企画 鬼を名乗りても5回目を数えた。
今年もとっておきの鬼を届けるとしよう
今年の大河は真田丸。
ならば今年は、真田中興の祖とも言うべき
鬼弾正 真田幸隆では!
と予想された方も多いでしょう。
しかし、あんまりこの人好きじゃないので
武田繋がりで……。
今年はこの人! 二代目鬼美濃さんこと馬場信春だ!
鬼の継承という事例があったのをご存知だろうか?
鬼と渾名された者は、本来当代限りである。
しかしながら、唯一その名乗りが引き継がれた例がある。
鬼美濃と呼ばれた原虎胤は自らの最期に際して
鬼の名を継ぐのはお前しかいないと馬場信春に鬼美濃を継承させたのだ。
武田四名臣のひとりに数えられ
一国の太守になれるほどの器量人と評され
そして不死身と呼ばれた男
鬼美濃とはいかなる人物であったのか!?
鬼の伝承を紐解いていこう。
宝物と鬼美濃
桃太郎は言うに及ばず、昔話の鬼は何故だか大概財宝を集めている。
正直離れ小島にいる鬼が金貨を持っていてもなんの役にも立たないきがするが…。
この鬼にも財宝絡みのエピソードがある。
桶狭間で今川義元が討ち死にすると
好機とばかり、武田は今川領へと侵攻した。
鬼美濃さんは先鋒で活躍し、とうとう本拠地の駿河城へと攻め寄せた。
そんな中、配下の一人が鬼美濃さんに近づいてきたのだった。
「信春様、お耳に入れたいことがございます」
「ん? どうした? 申してみよ」
「どうも兵の一部が略奪行為を行っている模様、今川の宝物を運び出している一団があります」
「ふぅむ、そいつは穏やかじゃないね 現場へ案内してもらおうか」
「はっ」
すぐに現場へと向かった鬼美濃さん、一団に追いつくと事情を聞いた。
「すると殿の命令で、財宝を運び出したってことなんだね?」
「はい」
「よしわかった、その任はこの鬼美濃が引き受けよう
運び出した宝物は一旦ここに全て集めてくれ
っと、そこの君は少し冷え込んできたようだから、火をおこしてくれないかい」
そうして焚き火の前に持ち出された全ての財宝が集められた。
「持ち出した宝物は、これで全てだね?」
「はい」
「それはご苦労だったね」
そう言うと鬼美濃さんは、並べられた財宝を片っ端から火の中へと放り込んだ。
当然運んできた兵士たちは慌てた。
「鬼美濃様! やめてくださいオラたちの首が飛んでしまいます」
「心配するな 鬼美濃が引き受けたといったろう 悪いようにはせんよ
それよりお前らも火にあたれ 一国が買えるほどの炎
そうそうお目にはかかれんぞ はっはっは」
鬼美濃さんは周囲が止めるのを聞かずに、財宝を全て炎の中に投げ込んでしまった。
後日、信玄に呼び出された鬼美濃さん
「お前さ、財宝全部燃やしたって言うじゃん! なんでそんな勿体ないことしたわけ?」
それに対して鬼美濃さんは
「我々は合戦で多くの命を奪いました。これは戦だから止む得ぬこと
けれどこの上財宝まで奪ってしまっては
貪欲な略奪者として、後世に汚名を残すこととなります
そのような悪役になるのは御免なんですよ」
「さすがは信春 お主の言うこともっともである! さすがは7歳年長だな」
信玄も自分の狭量を恥じ入り、鬼美濃さんの独断はすべて許されたのでした。
強いだけではなく器量も広いぞ鬼美濃さん!
でも燃やさなくてもいいんじゃないですかね?
芋虫と鬼美濃
信玄さんと言えば、勇猛果敢で恐れるものがない!
という感じですが、彼にも怖いものがあった。
それは、毛虫や芋虫。
子供の頃から大嫌いで、大人になってもそれは治らなかった。
とはいえ、芋虫を見るたびキャーなんて叫んでいたら、
一国の主として治まるものも治まらない
そこで鬼美濃さんは、事あるごとにそれを治そうとしていた。
手のひらに芋虫を乗せ信玄にみせて
「まさか男なのに芋虫が触れないような臆病者なんて、いるわけないですよね?」ニヤニヤ
と何度も挑発。
ついには信玄も そんなことを言われたままでは男の沽券に関わると!
意を決して芋虫に触り、ついには克服したのだとか…
ん~鬼といえば鬼なのか? この話はw
不死身の鬼美濃
武田三代に仕え四十数年の間に、七十を超える合戦に参加したが
なんと彼は死ぬ寸前まで、かすり傷ひとつ負ったことがなかったという
まさに鬼の名に相応しい屈強っぷりである。
ある時、友人が鬼美濃さんの元を訪ねこう尋ねた。
「しかし不思議だ。
最前線に出て敵将を討ち取るような活躍をするものは
誰しもが少しくらいの傷を負うもの
御主は誰よりも戦場に赴き、誰よりも武勲を立てておる
なのに何故かすり傷一つ負わんのだ?」
すると鬼美濃さんは、真面目な顔をして
「別に何も不思議なことなどない
初陣の時に言われた事を、ただ守ってるだけの話
敵よりも味方を良く見ろ そうすれば犬死することはないってね
攻める時は仲間の中の巧いやつとよく相談し慎重に慎重を重ねた上で攻める
守る時は、敵から眼を離さずにその動きをじっくりと見定める
簡単に言ったらこの2つだけのことよ
あとは、そうだな~
味方が士気旺盛な時ほど、控えめに冷静に
逆に士気が落ちているときは、周りを鼓舞してまわる
他になーんもない ね簡単でしょ?」
友人は「それで無傷なのは鬼美濃さんだけですよ!」と言いかけた言葉を必死に飲み込んだという。
なんていうかこういう人たまにいますよね
さも簡単そうに言うんだけど、それが出来たら苦労しないよ!って人
鬼美濃さんもそういうタイプだったのかな~?
最期の鬼美濃
信玄亡き後は、子勝頼に仕えた鬼美濃さん
ですが次第に武田家には暗雲が立ち込めていった。
長篠においては、
包囲をされこれ以上の戦いは無意味であるとし決戦を避け兵を引くよう進言しますが
聞き入れられず、結局合戦となった。
合戦に際して鬼美濃さんは
「此度の戦は死ぬ戦である、が死ぬ戦いは我ら老将が引き受ける!
お前たちは必ず生きて甲斐に帰るように」
と激を飛ばした。
武田軍の右翼に配置された鬼美濃さんの部隊は
その務めを果たし武田軍の中では唯一徳川勢を破った。
激闘にもかかわらず相変わらず無傷な鬼美濃さんであったのですが、
味方は敵陣を突破できず次第に崩壊して行きます。
「俺たちだけが勝ったところで、戦には勝てんよな」
鬼美濃さんのつぶやきに副官は何も答えません。
すると鬼美濃さんは、にっこりと笑い
「退却するしかあるまい」と言い。部隊をまとめるように指示を出した。
鬼美濃さんの部隊は崩れ行く本陣の殿軍を受け持ち、脱出時間を稼ぐことが使命となった。
大将の勝頼が戦線を離脱するのを確認すると
鬼美濃さんは踵を返し、ただ一騎で敵陣へ向かって行った。
「殿!一体なにを!」
部下たちの悲痛な声が響いた。
「お前たちも下がれ! 俺は今一時、時を稼いでくる」
彼はそういい残すと寄せてくる織田の大群の前に出てその身を踊らせた。
少し小高い丘で馬から下りると鬼美濃さんは大声で織田の軍勢に向かって叫んだ。
「鬼美濃を知っているか? 織田の兵士たちよ俺を討って手柄にしろ!」
そしてそのままその場に座し、抵抗せずに首を差し出した。
織田の兵士たちが大将首欲しさに大挙して押し寄せたため
部隊に混乱が生じ、結果多くの武田の兵士が逃げることが出来たのです。
敵大将の信長からも「馬場美濃守生前の働き比類なし」と賞賛され
鬼美濃さんは、その生涯を終えたのでした。
ん~痺れるような活躍ですね。
最期までかっこいいなんて流石は鬼美濃さんです。
鬼美濃さんのかっこよさが伝わって嬉しい限りです。
戦国時代、綺羅星のように輝いた武将は数多くいるのに
特に逸話もないような人ばかりが有名なのは寂しい限りです。
鬼美濃さんは本当にかっこいいのですよ~
現代でも美徳とされる生き方だと思うのですが、なかなかこう生きれる人は今では出てこないでしょうね。
この間の小学生へのアンケートで「いい大学を出て、お金を一杯儲けることだけが幸せだと思いますか?」
で9割近い子供がそうだと答えたと聞いてびっくりしました。
結構時代物書いてます。鬼を名乗りてシリーズの他には、日本妖刀列伝というのもあるので
是非そちらも読んでみてください。 カテゴリーはレシピです!
現代にはこういう方はいないのですかね・・・
でも、こんな詳しい話は知らなかった。
楽しく読ませてもらったよ^^
つか、恭介さんのコ-デ、かっちょえええええええええええ!!
とおても、お似合いだよ。
何気にセクシ-だし?ww
惚れちゃうじゃないかあああああああああ(笑)
オニコジ編:http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=226561&aid=36776454
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