αシリーズのメモ【キメラ】
- カテゴリ:自作小説
- 2016/01/02 01:40:26
αシリーズ開発責任者 薬師神鏡子の手記の一部
個体別にギリシャ文字の記号を当てはめたキメラである
αから順に製作予定だったが変更
2種の有蹄類+1種の肉食獣、または新たな動物の配合
愛玩用、観賞用に開発予定?←肉食獣を配合する必要性?
2種の有蹄類と1部の少女の遺伝子は高い親和性を見せた
ただし、限られた少女のみである
その特徴は未だ分かっていない
×月×日 雨天
雨だ。色盲になってから数日だが、雨が降ると視界が悪い。
そろそろ眼鏡の替え時かもしれない。
×月×日 雷雨
雨が止まない。南国特有の荒れた気候には慣れたつもりだったが
雷は苦手だ。もし停電でもしたら……(文字が掠れている)
×月×日 嵐
今日は一段と酷い。研究室の窓ガラスが割れてしまった。
ρにひとまずダンボールで塞がせておいたがまたすぐにダメになってしまうだろう
この隠れ家はまだ誰にも見つかっていなかったが、早めに移動すべきだろうか
×月×日 晴天
ようやく嵐が去った。研究室の床は水浸しだ。
外も酷い有様だ。研究者時代なら皆と掃除でもしていたところだが
今は追われている。もっとも、誰に追われているわけでもないが
×月×日 ?(文字がかすれている)
新しい研究所を見つけた。
ここは凄い、まだ誰にも荒らされていないし電気も通っている。
φも呼んで掃除をしよう、ρの目を作ってやりたい
×月×日 曇り
わたしは愚かだ
もう少し早く気づいていれば
いや、最初から気づいていたのに
この島は(ページが破り取られている)
×月×日 雨
また雨だ。ρとφには仕事を頼んだ。
一人で退屈していたので仕方なく部屋の掃除をしていると、
研究室の奥に酒造を見つけた。誰かの趣味だったのだろうか。
酒なんて何年ぶりだろう。
酔った感じが懐かしかった。嫌なことを少し忘れられた
×月×日 雨
そう言えば、何に追われているのだろうと思い起こす
かつての同僚か
それとも吉塚壱斗か
他のキメラ達か
思えば誰からも恨みを買われる覚えがある。恐ろしいことだ
生きているだけでこんなにも恨まれるなんて
×月×日 ?(ここから全て天候が書き込まれていない)
またひと瓶ワインを開けてしまった。空き瓶はこっそり処分しているが
彼女らには見つかるだろうか
この島には娯楽が少なすぎる
×月×日 ?
(日付のみで、内容が書き込まれていない)
×月×日 ?
しまった。卓上カレンダーくらい、以前居た研究所から持って来れば良かった
日付も曜日も分からないし、唯一生きている液晶モニターには監視カメラの映像しか映らない
ここはクローズドサークルだ
もし彼女らに見捨てられたら、満足に歩けもしない私はすぐに死んでしまうだろう
しかし、これ以上生きたところで、島から出られる見込みはない
無駄なあがき
生きているのが無意味だと思うようになった
×月×日 ?
無気力だ。何もする気が起きない。
彼女らには島の探索を任せている。酒に溺れている姿を見られるのは嫌だと思えるうちは、まだ私はまともだと信じていたい
×月×日 ?
軍事転用なんて!
私に何をやらせるつもりだった?アイツらは
私は違う
私はキメラじゃない 私は人間だ私はわたしは
私は(ぐちゃぐちゃに黒く塗りつぶされており、解読不能)
×月×日 ?
家族。
島の外。
ρは覚えているらしい。私はいつこの島に連れてこられたのだろう
彼らに才能を買われ、彼女のようにキメラに改造されるのを免れた
神の悪戯にしては手が込んでいる。最初は玩具で遊んでいるようなつもりだったのだから
(ページが2、3枚まとめて破り取られている)
×月×日 晴天
頭痛が酷い。朝になっても疲れが抜けていないのがわかる。
いくら寝ても寝足りない。
けれど、何もせずに毎日を過ごしている
彼女らのおかげで島の全体像がようやく把握出来た
手書きの地図が完成した
今私たちが居るのは島の北北東だ
分厚い森が私たちの研究所を隠してくれている
×月×日 ?
して良いことと悪いこと
誰も教えてはくれなかった。それとも、人の子ならば知っていて当然だったのだろうか?
私は逃げているだけだと24にもなってようやく気付いた
言い訳がましく今も生命を貪っているが、そろそろ潮時かもな
×月×日 雨天
そうだ!私がしたいことをようやく思い出した
このまま、ソファで寝そべってばかりいられない
私にはしなくてはならないことがあったじゃないか
×月×日 雷雨
久しぶりの悪天候だ。窓が揺れている。
酒を飲むのは控えるようにした。φからの苦情が酷い
×月×日 雷雨
二日続けての悪天候だ。今の今まで、何をしたかったのか忘れていたと言ったら
私はφに殺されてしまうだろう
復讐だ
これからようやく始まる
私は極悪非道な研究者ではない
彼女らの味方なのだから
(日記はここで終わっている)
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オリチャ企画⇒櫛島キメラ研究所