来なかったクリスマス
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/12/07 13:11:06
季節外れの花が咲いた
咲く時期を間違えたように
風に吹かれて漂う姿
でも寒いんじゃないかと思う
だって今は冬なんだもの
クリスマスを待つように
買ったポインセチアの花に
約束をする
今年こそは枯れさせないと
あなたに約束をするように
赤と白が鮮やかな花
暗闇と明るさを繰り返して
やがてきれいな花弁になる
それを誰に見せようというのか
たった一人ではさびしすぎる
あなたと去年買ったそれは
枯らしてしまったけれど
恋まで枯らすとは思わなかった
冬の風が今日は暖かで
でもよみがえらないあの日々
ディナーを避けるように
小さな店でのクリスマス
キャンドルの明かりが震えていた
ベリーメリークリスマス
もうそんな日など忘れたい
キャフェテラスのガラスの外には
幸せな笑顔が流れて行く
でもその内の心の中は分からない
見透かそうというのか
そんな事は無駄に決まっている
二度目のクリスマスは来なかった
プレゼントだけが宙に浮く
欲しかったのはあなただけなのに
それさえももう消えていて
抱きよせるのはただの幻
風に吹かれて歩いて行こう
どんなに背中を震わせても
あなたはもう戻って来ない
ならば一人を過ごしていこう
やがて春が来ることを祈りながら