祈り
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/12/06 23:09:04
祈りは今日も裁かれ続ける
小さなお前には小さな祈り
木々の花よりやさしく空を見上げ
自分の未来を知らぬまま
お前は処刑された
寂しい祈りのかけらでできた
天使たちは痩せこけ
立ち並ぶバラックの教会から
今日も牧師が連行された
罪を裁くのは誰だ
開かれた1冊の聖書の中を
お前はどれほど遠くまで行けるのだろうか
汚れた聖書の頁の中に
お前の安住の地は約束されているのか
お前が処刑された杭には
明日も誰かが縛りつけられ
祈りを残して崩れ落ちていく
杭は祈りにあふれて
新しい処刑者を抱きしめる
ゆっくりとどこまでも曲がり続ける1本の道が現れては
お前にたどり着くと泣きながら消える
お前の汚れた膝小僧の眩しさにも
空に突き上げられた両手にも
祈りばかりがやってくる
お前は裁かれるに十分な罪人になっていた
お前は知っているのか
その腕から肩にかけて
だれも触れることのなかったやさしさを
聖書を不要とする
おそらくお前の知らない国で
それを広げてそのずっと奥を探している僕を