Nicotto Town


なんとなく猫まみれ


国会前とスリッパと熱病と



中学生の頃、全校生徒が出席する生徒総会の場で
その年度の予算案の報告の時だったか
誰かが「来客用スリッパ」への支出が無駄なのではないか、と指摘した。
来客用スリッパは、基本的には学校を訪れた人が履くためのものだったが
時折自分の上履きを忘れた生徒が一時的に履いたりしていた事もあって
「そんな生徒のために新しいスリッパを買うのは如何なものか」と
そんな指摘だったかと思う。

それに対する生徒会側の説明があまり上手ではなかったせいもあって
気付けば総会の場は「スリッパ反対!!」の空気一色になってしまった。
あまりの紛糾ぶりに、恐らく教職員の側から
 数を減らすとか折衷案も出たはずなのだが
場の空気に飲み込まれた私達には、もはやそんな声は届かなかった。
「とにかく反対!何が何でも反対!!」
それはまるで大きな祭か何かの様な、異様な興奮と一体感に包まれた不思議な場と化していた。

散々双方の意見を激しくぶつけ合った末、(それは話し合いというよりは意見の言い合いだったが)
 結局生徒たちによる多数決で決める事となり
 スリッパ予算は無事却下されて、自分達一般生徒も何か大きな事を成し遂げた様な
妙な達成感を味わったりもしたのだが
今思うとあれはあんなに反対するほどの事だったのだろうか、とも思う。
例えば、校外からの来客用に少量のスリッパを新調して
上履き忘れの子達には使い古しを使ってもらう様に分ける、とか
もっとちゃんと考えたり、相手の言い分にも耳を傾けたり
「買うか買わないか」ではない、もっと良い解決の仕方があったのではないだろうか?
当時の自分を思うと、わたしはわたし自身の事をとても恥ずかしく思う。
その場に呑まれ、大勢に呑まれ自分自身の頭でものを考える事を止めてしまった。
わっしょいわっしょいと一心不乱に神輿を担ぐ様に、熱に浮かされた様に
周りの大勢に巻き込まれて大きなうねりに飲み込まれてしまった。
そしてそんな自分自身に疑問を感じる事もなかった。

そんなわたしが今、
ニュース映像等で国会前の光景を見て
ああ、あれも一種のお祭りなのだろうと思う。
ああなってしまった人達に、何をどう説明しても何も届かないのだ。
どんなに言葉を尽くして話しても、今の彼らに通じる事は決してないだろう。
だって「相手の話も聞こう」という耳を持っていないのだから。
今は熱病の中にいて、自然に熱が冷めるまで放っておくしかないのだから。
あの時の私達のように。

中学生の時、体験したあれは
確かに民主主義の一つの形ではあったと思う。
それはわたしにとっては民主主義の素晴らしさと言うよりは、
民主主義の恐ろしさや負の部分を強烈に印象付けた出来事であったと思う。
人は群れると思考を失う。
人は群れると先鋭化する。
人は群れると理性を失う。
人は群れると暴力的になる。
それが若者であればなおさらの事だ。
わたしはそれが恐ろしい。群れた人が恐ろしくてたまらないのだ。

この国の方向性を間違った方向へ大きく変えてしまった事件がいくつがあったが
わたしのざっくりした知識では青年将校達によるものだったと思う。
そういう狂信的とも言える信念と情熱を、
国会前のあの人達の中に嗅ぎ取ってしまった。
もちろん主張している事は(今は)180度違うのだが
根底には「自分だけが正しい」と言う、同じ”嫌な臭い”がするのだ。

何年かして彼らがもう少し大人になった時に
2015年の自分自身を省みてどういう感想をもつのだろうか。
ああ、若気の至りで熱病にかかっちゃったなぁ、と
そんな風に思える大人であってくれるといいのだが。。。
(若い頃学生運動に参加して、今また参加してるような大人にだけはならないで欲しいものだと思う。 )


*コメントは受け付けますが法案の是非について議論をするつもりはありませんのでご了承ください。
 

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2015/09/22 12:09
あやめさん♪
いえいえ、わたしもそこまで詳しく書かなかったので><
民衆が声をあげたりする事は決して悪い事ではないと思うけど
集団化して理性をなくしてお祭りわっしょいした結果が
元よりもずっとずっとひどい事になってしまったのは
シリアやエジプト、ウクライナを見ても明らかですよね。

うふふ、お母様と似てますかー^^
直接言うのは恥ずかしいかもしれないけど
いつかあやめさんの気持ち、お母様に伝えてあげたら
きっと嬉しく思われると思います^^
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2015/09/21 08:51
(^^;そうでしたか・・・読み切れずにすみません。
ご丁寧なレスをありがとうございます。m(__)m

なるほど。そういう無気力生徒たちが、ふとした「キッカケ」で、
いきなりテンションあがってしまうって、(しかも集団で)(>_<)恐いデスね。
大事なことは、冷静な判断で決断してもらわないと!

姐さんの言うことは、ちゃんと筋が通ってますから!(^^ゞ
ペン(言葉)は剣より強し、って言葉もあるくらいだから、威力はありますよね。
でも、誰かが言わなきゃいけないこともあると思います。
自分が傷つくのをわかっていて言ってくれる人は貴重だと思います。
私は、その姐さんに、救われた方の人間ですので・・・゚.+:。(*´ェ`*)゚.+:。

実は、うちの母が、姐さんみたいな人なんですよ。(^^;(笑)
確かに、敵も多くつくっちゃう人でしたが、
(私も母に反抗した時期もありましたが。。。笑)
なんか、まっすぐさが、やはり魅力的で好きなんですよね。(//▽//)あはは・・・
羨ましかったんデス。
母には直接言わないけど・・・(笑)
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2015/09/19 11:26
あやめさん♪
違うんですー、いつもの総会はやっぱりあやめさんと同じで
だらだら〜〜っとしたものだったと思うんです。
たまたまこの時だけ、きっかけがあって空気が変わったら
普段は無気力無関心だった生徒達があんな風に...今の状況と似てるでしょ?
あの時はスリッパという、正直どうでも良いような事で祭りになってただけだから良いけど
こと国の方向性を決めるって時に「お祭りわっしょい!」はアブナイ気がしました。

あやめさんはいつも、わたしのハッキリした物言いを褒めてくれるけど
嬉しいような恥ずかしいような気持ちです^^;
ハッキリ物を言うって、諸刃の剣だからねー。
わたしの言葉で、誰かが深く傷付いたりする事があることも十分わかってるんです。
でもどーしても我慢出来ないのよねー。
若い頃はそれで随分悩んだりしてみたけど、もうこういう生き方しかできないしーと開き直る事にしましたw
なので集団に属して生活する事にかけては全く向いてません!(キッパリw)
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2015/09/19 09:56
姐さんのお話は、いろいろ奥が深い。考えさせられます。(-。-)

スリッパの是非はともかく、
少なくとも、姐さんの時代は、生徒たちが、活気があったんですね。
ちょっと、そこもびっくりな要因で・・・(^^;
私らは、生徒総会なんか、半分以上、みんな寝てたような?(苦笑)
さっさと終われ~、という無気力さが勝ってたような?
かかわってるだけ、エライと思ってしまいました。(^^;

ただ、集団ってのは、確かに怖いデスね。
なにより「人の話を聞かなくなる」というのは、よろしくないデス。
(>最初から聞かない人も増えてるけど~(笑)

それが、正しくない方向にいくことだけは、避けたいですね・・・(>_<)
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2015/09/18 18:07
ラムセス2世さん♪
そうそう、今はビョーキなので放っておくしかないんですよねー。
それにしても、マスコミや何かにいとも簡単に扇動されてしまう人が多いのが
戦前良いように丸め込まれて戦争万歳!になった人達と共通するようで
とても憂慮しています;;
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2015/09/18 17:50
若気の至りと気づければ良いんですが、熱気の中にいるうちは無理なんですよね(>_<)
扇動したい人にとっては熱気に包まれている人達って、
実に都合が良いんです(^_^;)

どういう結論を出すにしてもやはり自分の頭でじっくり考えないとなぁ・・・




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