「されど、死にゆくのはいつも他人」
- カテゴリ:人生
- 2015/09/07 13:59:30
昨日、昼過ぎになって、ひょっこりお客様が来られました。
小型ボートで海に繰り出すにしては、時合を逸しておられるし、
小雨が降る中、ボートの修理もできないのに、
どうしたのかなあと思っていましたら・・・
「いや、なに、ちょっとね。」と浮かない顔でした。
去年の健康診断で、大腸にポリープがあるとは言われていたが、
仕事も忙しいし、そのまま放っていたら、癌化してしまったのだと。
「手術入院が決まったので、ちょっと来れなくなるから・・・」と、
わざわざ時間を作って、会いに来てくださいました。
まだまだ見た目は、お元気そのものですが、
ポリプを見つけて1年放置していたことが、事を大きくしたようで、
ご本人は、心因的にはかなり参っておられるようでした。
「わたしたちも、おっつけ参りますから」というと、
「え、それ死ぬって言うこと?」と狼狽されました。
(何じゃ、その挨拶に来たのではないのか。)
いままで、死なない人間を見たことがないので。
わたしの知っている限り、いつかは、みんな、あちら側の世界に行くようです。
ちょっと早いか、うまく難を逃れて、若干遅いかのどちらかです。
わたしも鈴ちゃんと結婚する少し前に、
腎臓が腐りはて、移植手術があるからと言われたことがあり、
人様の大事なものを貰ってまで長生きしなくていいので、
観念してまな板(手術台)の上に乗る用意をしていたことがあります。
成功率の低い手術だったので、「後は頼む」と鈴ちゃんと籍を入れました。
手術予定の2日前に検査入院したら、なんのことはない、
腎臓は奇跡が起きたかのように、「新品」に変わっていて、
医者が、「頼むから開けて見せてくれ」というのを、
「アホなことを言うな」と、さっさと帰ってきました。
若輩者ですが、あのときは「死を覚悟」出来ていたと思います。
なんの悟りも開いていませんが、
やりたいことは、みんなし尽した!という気持ちです。
やり残したというものはありませんでしたし、
これを食べるまでは、死ねない!というものもありませんでした。
このお客様は、「まだまだやりたいことがいっぱいあった」と言っておられます。
もう少しで、2度目の定年を迎えるところだったし、
次は、自分の好きな商売でもしようと思っていた。
好きな釣りも、思い存分やりたかったし、
ちょっと金をかけた旅行にも、奥さんと行こうと思っていた・・・。
「息子さんと、仲直りをしておかないと」
「それは、嫌です」
(この方、良い息子さんをお持ちなのに頑固おやじでケンカばかり)
「なんという迷惑千万な親!」
「カカ(奥さん)には、息子には言うなと言うてある」
なんとまあ。
うちへ挨拶に来る前に、
息子や奥さんと、過ごさなければならない時間があるでしょうに。
「それじゃあ、まだまだ死ねませんなあ」というと、
「そうか!?まだ死ねへんか!♪」と喜んでお帰りになりました。
うちに引導を取りに来たのでもあるまいに、
なんという立ち直りの速さでしょう。
まあ、腹腔鏡下手術ということですから、
Stage0か1、大腸がんの初期だと思いますので、
無事、お帰りにはなると思いますけど、
これを機会に、息子さんと仲直りはして置いたほうが、
「オトナ」だと思うんですけどねえ~。
それとも、死ななきゃ治らない別の病も併発しておられるのかも・・・。
一緒に嘆き、不安な心に寄り添って励まして欲しいところが、「おっつけ参ります」は愉快でしたね。
ククク。さすがはなちゃん。
本当に、身内が揉めるとこじれにこじれますねぇ。お互いに際限なくわがままになってしまうからかしら・・・。我が母の姉たちも、音信不通で生きているのやら死んでしまったのやら。残り少ない時間、姉妹仲良く、とはいかなかった寂しい例だなぁと、見つめています。死んでしまっては手遅れなのに。
うちのは、娘1号も2号も総領も そしてニョーボも
喧嘩どころか ただ齧られっぱなしで
先行き心配で心配で・・・
関係を修復するチャンスってないもの。
踏ん切りをつけるために、はなこさんに背中を
押してもらいたかったのかもねー。実家の父君も
弟君たち(私の叔父さんにあたる)と絶好状態でさー。
もーそろそろ仲直りしてもらいたいんだけど(笑)
何かをはなこさんに感じたんですかねえ・・・
>「わたしたちも、おっつけ参りますから」というと、
>「え、それ死ぬって言うこと?」と狼狽されました。
という箇所は少し笑いました
話ができるならまだ大丈夫でしょう
メメントモリ