コンサート
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/04/09 10:09:56
たった一人で行くコンサート
いつもは二人一緒で
乗り損ねた電車のホームで
二人で笑っちゃって
そのままホテルにお泊り
いつも笑わせてくれた
いつも明るかった
でも それに疲れたのか
言葉が少なくなっていって
笑顔も遠くなっていった
何が悪かったんだろう
何がいけなかったんだろう
自問してみるけど
今は何もわからなくて
でも 頼り過ぎていたのかもしれない
本心が知りたかった
二人の愛は何だったのか
片方だけじゃ立っていられない
そんな不自然だったのか
今はまだそう思いたくない
舞台の幕が上がって
やがてそれは下がって来て
静寂だけが座席に響く
そんなうつろな空間に投げ込まれたように
彷徨っていた二人
もう行けないと思っていた
一人きりのコンサート
二人の思い出が濃すぎて
目に映るものも幻のようで
耳に入る音も消えて行く
でも
たった一人のコンサート
思い出はもう遠くなっていくけど
この雰囲気だけは消せない
二人寄り添って座った座席が
まだ二人を呼んでいるようで