日本妖刀列伝:七
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- 2015/03/15 18:31:33
日本刀を持った武士が鬼を退治する。
割と物語ではありそうなお話だ。
だが実際に鬼を斬ったことから
鬼の名を冠した刀が二振り存在するのをご存知だろうか?
『鬼切り』は、一条戻り橋で渡辺綱が
茨木童子の腕を切り落としたことからその名を与えられた。
では『鬼丸』は
いかなる理由でその名を与えられたのだろうか?
伝承を紐解いていくとしよう
時は鎌倉
五代執権、北条時頼には悩みがあった。
彼は夜が来るのが恐ろしかった。
なぜなら毎晩夜になり、床に就くと
夢に鬼が現れるからだった。
「ヒャッハー!! 今晩は~呼ばれてないけど又来ちゃいました~
寝たい? ねぇ寝たい? ぐっすり寝たいよね?
でも寝かせませーん おら、野郎ども、太鼓を鳴らせ! 銅鑼を響かせろ!
今夜も苦しみやがれ!」
毎晩鬼たちは、こんな調子で夢に現れるため、時頼は安眠できずにいた。
日に日に衰弱していく時頼を見かねた家臣は、名医の診察受けるように勧めた。
天下に評判の医師が直ちに呼び寄せられた。
しかし原因がサッパリわからなかった。
「これはどうやら私の範疇ではないように思われます
物の怪の類に憑かれているのやも知れません」
なるほど物の怪か、
家臣の者はすぐに祈祷の準備をさせ、三日三晩の祈祷が行われた。
けれども、まるで効果はなく
相変わらず夜になると、鬼たちは騒ぎ出し
時頼の体は弱っていった。
ある夜、夢にちょっとした変化が現れた。
いつものように鬼が騒いでいると一人の老人が現れたのだ。
老人は鬼をギロリと睨むと
「居ね」と一喝した。
すると鬼は
「なんだよ、このジジイ…… なんか興を削がれちまったなぁ
今日の所はこれでカンベンしてやるけど。次はこうはいかないぜ」
と退散して行ったのである。
静かになったところで老人は語り始めた。
「わしの名は、太刀国綱という
不覚にも不浄な者の手で握られたため
錆びてしまい鞘から抜け出すことが出来なくなってしまった。
そこで相談なのだが
わしの錆を拭い去ってはくれぬかな?
さすればあのような鬼を切り捨てるのは造作もないこと
悪くない取引だと思うが、どうじゃな?」
こちらの返事を待つことなく
老人はそれだけ言うと消えてしまった。
時頼は夢での出来事を家臣に話すと、
宝物庫で眠っていた国綱はすぐに研ぎに出された。
刀身は輝きを取り戻し、妖しい魅力を湛えていた。
「折角、鞘から抜け出すことが出来たのだ
このままでいいだろう」
時頼は国綱を抜き身のまま、枕元に立て
そのまま床に就いた。
するとその晩は、鬼は現れずぐっすりと休むことが出来た。
明くる朝、国綱に感謝すべく刀の方に目をやった。
すると国綱は倒れており、近くにあった火鉢の足を斬っていた。
斬られた火鉢の足を良く見てみると
銀で作られており、宝石が二つ、目のように埋め込まれていた。
「これは、まるで鬼ではないか……」
以来、この刀は『鬼丸』と名づけられ大事に扱われたという。
鬼丸のお話いかがだったでしょうか?
先述の鬼切りもこの鬼丸も粟田口派の祖、国家の六男国綱の作品です。
鬼に因縁でもあったのでしょうかね?
この二本の鬼殺しの太刀を身につけて戦場を駆けた男が居ます。
その男の名は、新田義貞。
鎌倉幕府を滅ぼした男です。
鬼を斬った二振りの刀が鎌倉幕府を滅ぼした。
鬼たちのリベンジと言えるのかもしれません。
日本妖刀列伝:七 『鬼丸国綱』
最高の褒め言葉です!ありがとうございます。
なるべくわかりやすいように話を書いているので
楽しんでいただけて幸いです。 また次回のお話もがんばって書きます!
お読みいただきありがとうございます。
日本刀のお話ですが、なるべく読みやすいように書いたつもりです!
また次のお話で、お会いしましょうw
日本妖刀列伝は、刀にまつわる伝説を物語風に再構成して書き下ろしたお話です。
なので、実際の話とずれた創作の部分もありますが
読みやすくなっていると思います。 是非ほかのお話も読んでみてくださいね。
おもしろかったです
恭介さんが書いたものかと思った!
へぇ!これって?よくある色んな地方にある伝説のようなもの?
頭、弱いから難しいものは苦手なんだけど
何だか 最後まで気になって読んじゃったw
日本の昔話とか童謡とかも意味がわかると
「え!・・・そういう意味なわけ?・・・ゾクッ」
なんてのもよくあるものねぇ。
でも、鬼さんの「ヒャッハー!」はw
鬼さんに親しみを覚えてしまうんだけど^^