Nicotto Town


✪マークは作り話でし


潜水

ぼんやりとバスの窓から外を見ていると、
不思議と別の世界に見える時がある。
私はテレビ塔の展望台の上、
冷たい雨にけむる街を見下ろす。
凍りついたビルディングは水のなかに消えて、
燈のともる数えきれないほどの窓が魚群のようにゆらいだ。
展望室はそのまま深海の涯てへと潜る船。
モノレールは海蛇、アドバルーンはクラゲみたいだ。
あのクレーン車はタカアシ蟹だょ。
私はポケットからオペラグラスをだして覗き込み、
胸に抱いた子犬に話しかけた。
子犬は黒い瞳でふりそそぐ雨水を見ている、
「ついてるな、ナポレオン・フィッシュだ」
私が指差した先にはゆっくりと飛んでいる旅客機。
点滅するパイロットランプに合わせ、
子犬の目が瞬きする。
ひげを動かし、耳を少し動かした。
海底2万哩、「ほら、マリンスノーが降っているょ」。
いつしか雨から雪に変わり、
魚の群れはまばらになった。
バスの扉が開き、私は日常に降り立った。

アバター
2015/03/16 14:20
絵が描けそうな世界です(^_^)
アバター
2015/03/14 22:58
読んでいて浮かんだのが

天空の城ラピュタ。

あの中に水に沈む街が出てきました。

神秘的でとても鮮明に覚えています。
アバター
2015/03/14 22:48
想像力に欠ける日常です。
子どもの頃に戻れたらいいのになぁ・・・
アバター
2015/03/14 21:11
ブラボーさんの世界ですね^^

そんな風に景色を眺めてみたいです^^

残念ながら、そんな才能がない><



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