漂う煙
- カテゴリ:小説/詩
- 2015/02/04 09:18:56
煙草をくゆらせて
向かい合わせに座ったカフェ
本当は好きじゃなかったけど
煙の向こうの笑顔が
なによりも好きだった
甘い香りのする煙草
あなたのお気に入りのその銘柄を
いつもバッグに忍ばせていた
持っているそれがきれた時
あなたにそっと渡したかったから
そんなことさえもう過去で
バッグの煙草も取りだしたままで
でも捨てられなくて
引き出しの奥にしまっている
開ければ香りが染みついている
寒い日だった
別れの日が来たのは
もう忘れなきゃいけないのに
この1年は何だったのだろう
まだ後ろを向いたままで
しがみついていたいけれど
時は待ってはくれない
歯車を回し続けて
落ちて行く砂時計
その行方も告げずに
下にたまった砂をかき分けるように
面影を探してみる
そこには何も残っていない
なぜなの どこに行ったの
追い求める私がいる
きれいごとでは隠せない
付きつけられた現実の世界
辛いとか悲しいとかじゃなくて
空虚な心が叫んでいる
帰らない日々を抱えたままで
さよならの言葉が宙に浮いて
体を包み込んで行く
それはまるで煙草の煙のように
漂いながら
去ったあなたを求める気持ち
もう忘れよう
砂時計が言っている
そっと煙草に火をつけてみる
吸えないそれを私は
いつになったら捨てられるだろうか
コメント、ありがとうございます。
「好きじゃなかった」のは、煙草の煙。
彼の事じゃなく。
漂う煙と共に消えて行った彼。
捕まえておきたかったのにね…。
「本当は好きじゃなかったけど」が気になって。
切ない詩ですね。
私は煙草は苦手です。
煙草の味の残るキスは、苦い思い出…。
コメント、ありがとうございます。
そんな思い出があったのですね。
想いが伝わらないって、辛い過去になりそうですね。いい思い出として、持っていられたらいいのですが…。
若いころも大人になっても、悲しい思い出ってあるものですね。
なんか・・煙草が切れた時に、そーと渡す為に持参しているなんて・・・
なかなか出来る物ではないです。
ホント・・俺も過去のそういつた女性の気持ちがわからなかつた自分を考えると、胸が痛みます。
お俺の場合は、ふとベツトの横にノートが置いてあり・・
1ページだけ読んだのですが・・俺との愛が書かれてありました。