（今回も長文です。しかも昔話です。お休みの日にでもお読みください～。）


出会い系で知り合った男と会って殺される女の子がいると，
「なぜそんなに簡単に他人を信用するのだ？」 と悲しくなりますが，
若い頃は，正体が分からない他人の怖さより，
どんな人か知らないからこそ得られるトキメキに負けるのでしょうか。

ネットを通じて知り合う男なんて恐ろしいですよねえ。

あ！
私は大丈夫です。
紳士です。
皮を被ったオオカミではありません。

…。

あ！
「ヒツジの皮」 だった。
「ヒツジの」 が無いと，なんか意味が違っちゃう。（笑）


しかし，若い頃は，知らない人にトキメくものですよねえ…。

高校生の時，
ある科目は自分のクラスじゃない教室で授業を受けていたのですが，
ある日，机の隅に 「あ～あ　今日は雨かあ」 って書きました。

すると，二日後ぐらいの同じ授業でまたその席に座ると，
私の落書きの下に女の子の字で，
「今日は晴れですよ」 と書いてあって，
以来，お互い誰だか分からないまま，
机の隅での言葉のやり取りが続きました。

なんか，トキメいたっけな～。恥ずかしい～。


ちょっと脱線しますが，高校生でしたが上の話とは別の時期，
校内の別の女子と手紙のやり取りをしていました。
郵便を使うこともありましたが，
簡単な手紙は校内で渡し合っていました。
でも，皆の前では渡しにくいので，
使わなくなって校舎の隅に放置されていた古いロッカーの特定の場所を，
二人の秘密の手紙の置き場所にして，
そこでお互いに手紙を渡したり受け取ったりしていました。


さらに，また別の話に飛んで恐縮ですが，
高校を卒業して働き出してから，私は ある喫茶店に通うようになりました。

壁やカウンターは焦げ茶色の木材で，テーブルや椅子も焦げ茶色。
照明もちょっと暗めで，カウンターで一人で座っていると，
何だかオシャレなバーのカウンターでお酒を飲んでいるような，
オトナ～な気分になる店でした。

ふとカウンターの端を見ると，
３０センチぐらいの高さの人形が置いてありました。
キャラクターものではありません。
男の人が歩いているポーズで，古い外国のもののようでした。

腕と体の隙間に四角い箱を抱えていて，
「旅行鞄かな？」 と思いましたが，よく見ると違いました。
人形の大きさで考えると旅行鞄ぐらいですが，
実際にはちょっと厚めのマッチ箱で，
誰かがそこに差し込んだようでした。

このマッチ箱も，見たことがないもので，
外国の古いもののような感じで，
いい具合にこの人形と合っていました。

「誰がこの人形に持たせたのかな」 と思いながら マッチ箱を引き抜き，
「まさか中身は入っていないだろうな」 と思いながら箱を振ると，
カサカサと音がしました。

マッチ棒の音じゃない！　紙の音だ！

不思議に思って箱を開けると，
四角く畳んだ小さな紙片が入っていました。

手紙だ…。
誰が，いつ，誰宛てに書いたんだろう。
この箱は，誰かと誰かの秘密の手紙の交換場所なんだろうか。
それとも，誰かとの出会いを求めている人が，
偶然この手紙を見付けた人に読んでもらいたい何かが書いてあるのだろうか。
一体，なんて書いてあるんだろう。
なんて書いてあるんだろう～～～。

ワクワク，ドキドキしながら，紙を開くと…







「スカ」




死にたい！
何かを期待した自分を殺してしまいたい！！
この紙を仕込んだ奴が，今こっそり俺を見ているなら，
俺は本当に死にたい！！！

若いと，不必要にトキメくのね…。