わかった　かずき君
愛に　逢ってくれるか？

はい　お願いします。

長い廊下の奥に　面会謝絶の文字の書かれた
部屋があった・・・


愛・・・かずきさんが・・・
来て・・・くれたわよ・・・

お母さんは、感情を抑えるのに
精一杯の様子だった



あぃちゃん・・・
どうして・・・

どうして　僕なんかの為に・・・
命を　削る薬まで・・・飲んで・・・


愛ちゃんは、無表情で意識のないように見える・・・


あぃちゃん・・・
今日はね　約束したよ
うみ・・・　海に行こうって・・・

あぃ・・・ちゃん
うみ・・・に・・・


僕は、涙で愛ちゃんがボヤけて見える・・・
思わず、手を握って　こう言った・・


あんなに　楽しみにしてたじゃないか！
あぃちゃん　行こう　海に・・・
約束・・・だろ・・・


すると　握ってた手が握り返してくる　感触が・・・


あぃ　ちゃん！


彼女は、うっすらと笑みを浮かべ・・・
か細い声で・・・


うん・・・
あたし・・・行きたい・・・


かずき君！愛の・・・
愛の願いを　叶えて　くれ・・・
たのむ・・・


わかりました！
あぃちゃん　行こう　海に！


僕は　あぃちゃんを背中に背負って
病院を後にした・・・


かずき・・・
ん？どうした　あぃちゃん
背中・・・大きいね・・・
それに・・・あったかい・・・
寒いかい？
ううん　こんなにあったかいの
はじめて・・・
あぃちゃん　もうすぐ　海だよ！
うん・・・しおの香りが・・・するね・・・
もう　すぐ　だから・・・
・・・う　ん


彼女の呼吸が荒くなってくるのがわかる・・・


かずき・・・ひとつ・・・願い・・・いい？
わかったから・・・もう　喋らないで・・・
か　ずきは　くじけずに・・・
生きて・・・ほ　しい・・・
わかった・・・から・・・もう・・・


背中が涙で濡れるのがわかる・・・


あぃちゃん　海に来たよ・・・

う・・・ん・・・
き　もち・・・いいね・・・

か・・・ずき

あり・・・が・とう・・・。


彼女の目には一杯の涙・・・
そして　笑ってるように見えた・・・


え！
あぃ　　ちゃん・・・
あぃちゃん・・・！
おれ・・・
まだ・・・なんにも　君に・・・
なんにも　気持ち伝えてない！
あぃ・・・ちゃん・・・。


かずき君！
今度は、我々に任せてくれないか！
彼女の主治医がそう言った
彼女はすぐさま　病院に戻って治療を開始した・・・

Rh-　の血液が・・・
彼女に適合する血液が無いんだよ・・・

え？

先生！
僕の　血液はRh-　です！
あぃちゃんに使ってください　お願いします。

それは本当か？
すぐ　準備をしてくれ！




その後・・・
僕は　あまり覚えていない
限界まで血液を彼女に輸血をして欲しいと
頼んだからだ。輸血をしたから彼女を救える保証もない・・・


あれから・・・数週間　だろうか・・・
あぃちゃんと逢っていない・・・
もちろん　逢いに行ったけど　面会謝絶で逢えない！
僕は　元の日々に戻りつつ　あった・・・




いつもの朝　いつもの風景
ダルイ＞＜
いつもの道を歩いている時・・・
道端でしゃがみこんでいる人がいる
彼女は女子高生らしい・・・？

あぃ　ちゃん？

待ってた　かずき＾＾

あぃちゃん　よかったー

かずき　ありがとう
命の恩人だね＾＾

ううん　当然だもん　あぃちゃんの為なら・・・

って、えぇ～　時計を見る
あぁ～～　もうこんな時間だ～＞＜
遅刻もいいところだー

じゃ～
このまま二人でデートしませんか？
はい　ぜひお願いしますm(_ _)m




僕は、心の底から思った言葉・・・
言えなかった　言葉・・・

あぃちゃん・・・　
僕の方こそ　いつも救ってくれて・・・

ありがとう。



　　　　　　　　　　　　　　神童　龍牙