「プログレ聴くならどれから聴けばいいっすか？」と四十男に尋ねられた。
こういうお尋ねって、様式・ジャンル・カテゴリーとしての『プログレ』を
ある程度網羅したいという希望をお持ちの場合が大半ですね。

いきなりヘンリー・カウとかオザンナとかマーブルシープ勧めるのも躊躇う。
そこで考えてみたが５枚では無理、入りきりません。
以下の１０枚ならどこかに引っかかると思うのですが、いかがなものでしょう？

１、クリムゾン・キングの宮殿　（キング・クリムゾン）

これ聴いてダメならプログレ自体聴かない方がよいですよね。
プログレのメルクマールとして現代でも有効な大名盤でしょう。
『スキゾイドマン』のドラムはマイケル・ジャイルズが一番だと思う。

２、ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン　（ピンク・フロイド）

トータルアルバムとして考えるとコレかな。
仰々しくないし名曲揃いだし、全曲流してもサラリと聴けるし。
技巧とプログレッシブ・ロックは無縁なことを示す名盤、感性のプログレ。

３、危機　（イエス）

大作組曲路線ならこの一枚でしょう。全３曲のバランスも絶妙だし。
一曲選ぶなら『シベリアン・カートゥル』。なぜシベリアなのか分からないけど。
イエスはあまり歌詞を知りたいとは思わない。サウンド構築型プログレ。

４、ファースト　（エマーソン・レイク・アンド・パーマー）

『タルカス』『展覧会』『頭脳改革』名盤メジロ押しですけど、
１曲目の『ナイフ・エッジ』の衝撃は当時大変なものだった。
当時のライブ映像見たら惚れるに決まってる。キーボードトリオの基底面。

５、幻の映像　（ＰＦＭ）

イタリアならまずこのバンドから聴くのがよかろう、抒情派テクニカルプログレ。
一曲目『人生は川のようなもの』にハマるヤツは枚挙に暇なし。
気に入ったら『甦る世界』かライブ盤の『クック』が宜しいのでは。

６、ヨーロッパ特急　（クラフトワーク）

ドイツでしたらまずここからだと思うのです。テクノ派プログレの傑作。
原始的コンピュータミュージックとミニマルの生み出したクールさが二重丸。
当時テクノを毛嫌いしていた私、痛切に反省しております。

７、ムーヴィング・ウェイブス　（フォーカス）

クラシックの影響が強いオランダの名バンド。メロトロンなくてもここまで出来る。
情緒たっぷりなメロディーを洪水のように溢れさせるメランコリックプログレ。
ライブ盤『フォーカス・アット・ザ・レインボー』も代表曲全て網羅した名作。

８、ライブ　（マグマ）

フランスからはこの人たちを挙げたい。これも後世への影響大。
とにかく熱すぎる。火傷する。マグマというバンド名に偽りなし。
この盤ではディディエ・ロックウッドのバイオリンが堪能できるのも宜しい。

９、収束　（ソフト・マシーン）

テクニカルフュージョンプログレ、この手のサウンドにもニーズはありますよね。
もう１枚、ゴングの『ゲイズユース』ってヤツもありますが、
どちらも巨匠アラン・ホールズワースがウネウネ、速弾きギターマニア必携盤。

１０、クラック　（アレア）

イタリア共産党大会で演奏したこともある左翼的ハイテクジャズロックバンド。
この１枚は代表曲揃い、イタリア語の美しい響きも堪能できると思います。
ロボトミー手術を電子音響で描写した『ロボトミア』の衝撃度は凄かった。

ああ……サムラ・ママス・マンナもカンも入れ忘れた。イギリス５枚は多すぎた……
「定番といったらコレだろこの野郎！」というご抗議・お叱りございましたら、
…………お知らせくださいませ（小声で）。善処いたします。