陰陽師神楽とヴァンパイア、レミリー
- カテゴリ:自作小説
- 2014/06/01 23:01:04
運命を読み解く事など誰にもできはしない。命の音を聴き、憎しみにその身を委ねる事はあっても、その憎しみを愛する事から始める。
咲き誇る華は今夜、幻影館の二階の大広間で再び巡り合う。
「今度は符は効かないわよ」と、レミリーの赤い瞳は輝く。
「騙し合いで陰陽師に勝てるとでも」
「ここは私の古城。すでにおまえはレヴァンティンに囲まれて身動きすらできない事に気づいていないの?」
「ボクもレヴァンティンは使えるんだよ。っていうか・・・君はレヴァンティンを武器か何かと勘違いしているみたいだけど。ロンギヌスの槍でさえ壊すことのできない呪(しゅ)を完全に壊す事ができる理由もわかっていない。レヴァンティンをその気になって使えば、全ての存在を解析し、分解する事もたやすい。おじい様には神に愛されしモノ・・・そう教えてもらった」
「どういう意味よ」
「ボクと戦えばわかるさ。ボクは陰陽師・・・時間を止めないと君に勝ち目はないよ」
「おまえが先に止めろ」と、彼女は血を飛ばしてくる。彼女は血は意思をもっているのか、鋭い爪となってボクのいた空間を切り裂く。
「じゃあ、遠慮なく」と、時間を数秒止める符をばらまく。
「時間を止めた空間で自由に動けるのはおまえだけの特権じゃない?っておまえ、動けていないじゃないか。くくく、何だ、ハッタリか!愚かな奴め。そのまま気づく事なく消えてなくなるがいい」
彼女の容赦の無い一撃にボクの首はころりと落ちる。
<忘れたの?ボクは神に愛されしモノだよ。この程度じゃ死なないよ>
ボクの身体?は蜘蛛となりて千にも二千にも分解していく。
「はっ。蜘蛛に変化ができるからなんだ。それなら私と同じでは無いか」
<そう・・・ボクたちは誰にでもなれる。符に変化する事も、蜘蛛にも、鳥にも、君にもなれる・・・誰でもあって誰でもない。それがボクたちだろ?>