一話完結 陰陽師とヴァンパイア
- カテゴリ:自作小説
- 2014/05/28 19:26:42
命の音を聴きながら踊るワルツは黄金色なり。
符を地面に置きながらワタシは感謝という呪(しゅ)を込めて行く。
ワタシの後ろに咲き誇る花も竹林も全てワタシの創り出した罠だ。地面に咲く草花も全て。
符の数は軽く8000枚を超えた。
相手はヴァンパイア。それもヴァンパイアの王、魔王、王の中の王、時間を操り、ロンギヌスの槍(時空を超越した時の金属で創られた意思を持つ槍)の主にして神から与えられし、唯一の武器レヴァンティンの後継者。
「おじいさま・・・」安倍晴明の孫であるボク。
おじい様から頂いた名は、神楽(かぐら)。
「おじいさま・・・勝つのではなく、動きを誘い、円陣を完成させる。それでいいのですね」
ボクはそう、つぶやき天を見上げた。
やってくるとしたら上・・・。
紅い眼差し。
彼女だ。銀髪の短い髪。白い帽子と白いワンピース
揺れた。
「この身体に触れることもできずに引き裂いてあげるから、そこでじっとしていなさい」
彼女の動きについて行けるわけも無く、彼女は無造作にボクの前へ降り立つ。
「避けた?私の動きを予測しているの?」
「・・・」
「いいわ・・・もう一度攻撃を仕掛ければ分かる事」
ボクは左へ飛ぶ。
「また避けた・・・。ほんとに予測しているのね。それも当たっている。私に挑戦するだけはあるじゃない。でも、これはどうかしら?レヴァンティンを張り巡らせた後では身動きは取れなくてよ」
ボクは動かない。あとは彼女をボクのいる場所へ誘いこめば完成だ。
「観念したのかしら・・・レヴァンティンを使わせるなんて、なかなか楽しめたわ。今、その生血を貰ってあげる」と、彼女はボクの肩をつかみ、首筋から吸血しようとする。
呪(しゅ)は発動する。
「円陣?いつの間に。それに式神だったなんて・・・ちょっと本体はどこにいるのよ」
「あなたの見ている景色も地面も草花も空もボクさえも偽物・・・苦労しましたよ。符をどれだけ用意したと思っているんです。ほんとにね」
「そう・・・幻の外にいたわけね。やるじゃない、初めから私を幻の方へ誘いこむなんて。でも、まだ甘いわね。こんな円陣では私を止める事さえできないわよ」
「ええ、知っています。ボクは臆病でね。あなたがそこからロンギヌスの槍を使って、こちらへ来る事でボクの呪(しゅ)は完成するんです」
「おまえ・・・私の時空の理法を盗むつもりなの」
「ええ、そうしないとあなたに勝つ見込みなんて最初からありませんから」
「なかなかやるじゃない。私を閉じ込めてどうする気?私をガーディアンにでもするつもり?」
「いいえ・・・ただの暇つぶしですよ。レミリー」
「くくく、あははは、あーっはっはっは」
「名前を聞いておこう」
「神楽です。以後お見知りおきを」
ボクは一礼してその場を立ち去った。
ヴァンパイア、レミリーはロンギヌスの槍を使わずにレヴァンティンで呪(しゅ)ごと壊して出て行った。
完。
補足・・・この物語は続きませんw
あい
ひさしぶりの小説ですね^^
何だか、とても不思議なお話。情景が眼蓋に映ります。
続きがあるんじゃないかと期待しちゃいますね^^
続きが読みたいw