日本妖刀列伝:参
- カテゴリ:レシピ
- 2014/05/21 20:52:21
琉球には宝刀と呼ばれる三振の刀が存在する。
その内の1つが今回の妖刀:北谷菜切(ちゃたんなきり)である。
琉球風に呼べば北谷菜切(ちゃたんなーちりー)
妖刀「ナーチラー」とも言われるこの刀にも恐るべき伝承がある。
今回はその伝承を辿っていこう。
琉球のとある外れに農業を生業とする女がいた。
彼女は王朝に勤める男と結婚し、子供を授かった。
ある日、彼女は子供を伴い畑へと向かった。
すやすやと眠る子供を大きな木の木陰へと置き
作物の刈り取りを行っていた。
菜切包丁で刈り入れをしようと一振りすると
目の前の菜が全て切れた。
菜だけではない、その先にあった木の幹にも鋭利な切り傷が出来
その下で眠っていた赤ちゃんも絶命していた。
一瞬、何が起こったわからなかった女だが、
我が子の異変にすぐに気付くと夫へ報告した。
夫はひどく驚いた。
妻は自分が殺したのではないと言い張るが、
状況的には子供を殺したのは彼女以外にはありえない。
そしてとりみだした彼女の話には、とてもではないが信憑性がなかった。
「きっと、暑さにでもやられておかしくなってしまったのだろう」
役所勤めの夫は役人へと妻を差し出した。
一晩拘留された後、彼女への尋問が始まった。
「なぜ、自分の子を殺したのだね?」
「私は、殺してなどいません!
いや殺してしまったのかもしれませんが
それは不可抗力なのです」
「どういうことですか?」
「菜を切ろうと包丁を振ったら、菜も木も子供も切れてしまったのです」
役人は、大笑いをした。
「何を馬鹿な事を、暑さで脳をやられましたかな?」
「いえ本当なのです。どうか信じてください」
自分を信じるよう熱心にに懇願する彼女に対し、
役人も次第にそれを信じてみたい気持ちになってきた。
「わかりました。では私がそれを振って見て
あなたの言うようなことが起これば不可抗力を認め
あなたを無罪としましょう。 それでどうですか?」
「はい、お願いします」
こうして、例の菜切包丁は役人の下へ届けられた。
「一見するとただの菜切包丁だが…」
鈍い輝きの包丁は、とてもそんな魔法みたいなことができるようには見えなかった。
「よし、入れろ」
役人は部下に命じて、目の前に1匹の山羊を連れて来させた。
「こう…… だな」
少し離れた所から役人は山羊の首、目掛け包丁を振った。
包丁はピュンと空気が切れるような音を奏でると
いとも容易く山羊の首を切って見せた。
その場にいた誰もが自らの目を疑った。
こんなことが現実に起こりえるはずがない。
けれどそれは現実に起こってしまった。
こうあっては彼女の言い分を認めざるを得ない。
役人は、その場で女に無罪を言い渡した。
その後この包丁は刀へと鍛えなおされ、
北谷菜切という名を与えられた後、琉球王府に献上されたという。
元が菜切包丁だけあって、現状の刃長は23cm
刀身は使い込まれ大きく摩滅し、刃は切っ先部分にしか残っていない。
現在は国宝に指定され、那覇市に保管されている。
今回の妖刀はいかがだったでしょうか?
またしてもとんでもない切れ味ですね!
また次回、日本妖刀列伝でお会いしましょう~
日本妖刀列伝:参 『北谷菜切』
お役人もやたらめったら有罪には出来ませんからね~
まあ聞いてなかったら伝承として残ってませんw
現代でも、身内より裁判官のほうが親身だったりすることもあるようで
この夫婦のその後は伝わってないですね~
物語はそういうものなんでしょうね(*^_^*)
何でも切れるけど、鎧とかはやはり実剣部分で切ったのかな?
包丁から刀にしたとき切れ味落ちた可能性も・・。
人間ってこんなもんか…って思ってしまいました。
この夫婦どうなったんだろう(´・_・`)
危うく読み流してしまいましたが・・・
一振りで離れたところの物をも斬る刀が
「使い込まれ大きく摩滅し」は変じゃないですか?
と 連投御免でございます 気になっちゃってwてへ
読んで 赤ちゃんのくだり 胸が痛くなるね・・・これ 女性目線だと
「二度とそのような痛ましい事故が起こらないよう 菜切り包丁は溶かされたのでした」
となるのですが 刀に鍛え直して献上された・・・か なんだか・・・ねぇ