お題なので，高校の卒業式の日の思い出を書きます。


１　父のスピーチ

私が高３の時，父はＰＴＡ会長でした。

私が１２歳の時に母が他界したので，
高校の授業参観や保護者会に父が来て，
男だからという理由で役員を押し付けられ，
３年目は会長をやらされちゃっていました。

父は，私の卒業式でＰＴＡ会長の祝辞を言うことになり，
事前に原稿を書いてテープに録音して自分で聞いてみて，
何度も何度も練習していました。
出だしは，普通に静かに始めず，絶叫から始めるもので，
「みんなーっ！！　おめでとうっ！！
３年間いろいろなことがあっただろうけど，
ともかく今日は 『みんな おめでとう』 だ！！」
という，いかにも父らしいものでした。

卒業式本番，
進行役のボサ～ッとした感じの教頭先生が 「ＰＴＡ会長　祝辞」 と言うと，
舞台の脇の来賓席に座っていた父が立ち上がってマイクの前に立ちました。
父がスーッと息を吸って，「みんなーっ！！」 と大声で叫んだ瞬間，
教頭先生が 「礼！」

会場が凍り付いた後，生徒たちは戸惑いながら礼をし，
父も，「あ，そうか！　しまった！」 という顔をして 慌てて礼をして，
改めて 「んんんん…。みんな…」 と小声で言い直した後，
「おめでとうっ！！」 と叫びましたが，
なんとも締まらない出だしとなってしまいました。

そのせいでその後の祝辞もグズグズで，
私が 恥ずかしくて うつむいてニヤニヤしてしまったら，
壇上から 「ふみふみ。笑っているけどな，この３年間は…」 と，
マイクを通して私に話し掛けてくる始末。

もう，ぐじゃぐじゃになってしまって，参りました～。

でも，式が終わって教室に戻ったら，クラスメートが
「ふみふみの親父さんの挨拶，俺，感動したよ！」 と言ってくれました。

まあ，「よし」 としますか～。


２　学生服のボタン

卒業式の後，付き合っていた彼女に別れを告げられました。
まあ，ここのところちょっと，そんな空気が流れていたのですが。

ガックリしていると，後輩の女子が近付いてきて，小さな花束をくれました。
この子は，半年前から私のことを好きでいてくれて，
私は全然相手にしていなかったのに，
バレンタインデーにも手作りのチョコをくれた子でした。
その子が，花束をくれた後，
「あの…。学生服のボタン，もらってもいいですか？」
と聞いたので，何だか，ずっと想ってくれていたことがありがたく感じて，
「いいよ」 と言って第２ボタンを引き千切って渡したら，
その子にとっては 「まさかの第２ボタン」 だったので，
「いいんですか？！」 と目を丸くしていました。

この子と付き合った方がハッピーな学生生活だったんだろうな～。


３　見てはいけないもの

一旦家に帰り，私服に着替え，
夕方から居酒屋に集まり，クラスの皆でお別れ会でした。

慣れないお酒に皆が酔っ払いました。
私も，昼間にいろいろあったのでガンガン飲んで酔っ払いました。

トイレに行き，ドアをノックし，
中から返事が無いのをちゃんと確認してからドアを開けると，
「きゃあ！」 という叫び声。
そのトイレは，中に入ると向こう側を向いてしゃがむ和式トイレで，
中で用を足している時にドアをノックされても，
振り向いてドアにノックを返すことは不可能で，
彼女は返事をしたくても返事ができなかったんですね。

クラスではかなり可愛い方の子のお尻丸出しの姿を見てしまい，
マズイと思ってドアを閉めましたが，
彼女の悲鳴を聞きつけて，すぐにその子の彼氏が走って来ました。
ヤバイことになりそうでしたが，彼女もすぐにトイレから出てきて，
泣きながら 「私が鍵を締め忘れたの。ふみふみ君は悪くないの」
と説明してくれたので，トラブルにはならず，彼氏は私に抱き付いて，
「ふみふみ～！　今日は飲んでくれ～！
死ぬほど飲んで，今日見たことは全部忘れてくれ～！」 と言いました。

でもねえ…。

まだ，あの映像は覚えているんだよな～。

ごめんね～。