Nicotto Town


厨二病もここまでだ!!!←は


~争いの無い世界【番外編】~*天使と悪魔*

※悠香と麗夜の話です。
http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=371257&aid=54892114
↑ここから参照。




「……」

夕方。
大きな川に架かる橋の上で、海の向こう側に沈む夕日を眺める一つの影。
面白いとかそういう意味ではなく、「綺麗だな」と思って眺める訳でもない。
ただ、なんとなく。
一日の終わりには、いつもこうして橋の上で夕日を眺めている。

「主…」

ポツリと呟く。
その呟きは誰に聞かれる事もなく虚空へと消える。

と、そこに一つの影に近づくもう一つの影。
足音を殺し、ゆっくりと近づく影に、振り向き、驚愕する。

「…え」

黒髪で、肩にかかる位の長さの髪を、一部だけ上の方に結ってあり、全体的に黒い服を身に纏っていた。
黒と紫のオッドアイ。…忘れるはずもなかった。

「…麗夜…?」

少女は――悠香は、相手をそう呼んだ。
「麗夜」と呼ばれた少女は、悠香に呼ばれた瞬間パッと表情を明るくした。

「――久しぶりだね、悠香ちゃん」

麗夜は微笑んだまま悠香に近づく。
悠香は唖然として麗夜を見る。

「…悠香ちゃん?」
「…なんで…」
「え?」

一歩後ろに引き、続けた。

「なんで貴方が…」
「……」
「だって…だって…死んだはずじゃ…」

訳が分からない、とでも言うように悠香は続ける。
それを見た麗夜は少し表情を暗くした。

悠香が言うには、麗夜とはかつて人間としてこの世界に居た。
この世界と言うのは――人間界。
とある事件により、悠香と麗夜は巻き込まれ、そこで"人間として"の人生に幕を閉じてしまったのだ。
しかし、悠香は天界に居る神により、神に従う天使として、人間界に降り、数多の魔物を倒して平和を願う――と言う指名を与えられ、天使となった。
そしてそれを感づかれないように、人間として振舞い、過ごしてきた。

だか麗夜は、天界で姿は見当たらなかった。
もしかしたら一命を取り留めたのかもしれない。
だから、人間界に居れば会えると思っていた。

――しかし、その願いは儚く消えてしまった。

その事件が巻き込まれた後、悠香と麗夜の死体は教会の近くの墓に埋められたのだ。
悠香がその教会へ訪れたとき、自分と――麗夜の墓がその横にあった。
それを見た悠香は衝撃を受けた。暫く指名を果たせなくなる、と言うぐらいに。
だが不思議と涙は出なかった。
まるで生まれ変わるときに感情を捨ててきたかのように。

「…私だって転生したの。ある方の声によって…」
「ある方?」

悠香の問いに麗夜は再び歩き出し、悠香の真横まで来る。
悠香は横を向いて麗夜の答えを待つ。
麗夜は前を向いたまま答えた。

「魔界の主、可憐様によって――」








「――――…私は悪魔となった」






「…!?」

悠香は驚き、距離を置く。
ゆっくりと振り向く麗夜は微笑んでいた。何処か悲しげな、そんな微笑み。

「…悪魔なんて、笑っちゃうね。悠香ちゃんと…真逆なの」
「…麗夜」

悠香は麗夜の名前を呼んだ。
だが、麗夜は話を続ける。

「私は悪魔。悠香ちゃんは天使。だから私の事、嫌いになっちゃうのかな…?」
「……」

無言のまま、悠香は槍を取り出した。
槍先を麗夜に向けると、言葉を紡ぎ出す。

「私が天使で貴方が悪魔なら、例え親友だとしても敵――その運命は覆されない」
「…そっか」

そう言い、麗夜は悠香に背を向け、言う。

「じゃあその槍で私を貫いたらいいよ」
「……」

確かにその通り。
背中を向けている今、貫いてしまえば相手は死ぬ。

だが悠香は槍を構えたまま動かなかった。
いや、動けなかった。
槍を持つ両手は小刻みに震えていた。
そのまま、麗夜の事を見続けていたのだ。

「…悠香ちゃんは優しいね」
「私には…出来ない」
「でもね、いずれ私達は敵対しなきゃいけない」

振り向いて、続ける。


「――天使と悪魔だから」


そう言い、上着を脱いだ。
上着の下には、黒い悪魔の羽が隠されていて、それを広げて軽くパタパタと動かす。
羽をいつでも動かせる状態だと確認すると、今度はしっかりと悠香の目を見て麗夜は言った。

「じゃあね…悠香ちゃん。また会うその日まで…」
「待っ…!」

悠香が止めようとした瞬間、麗夜は羽を広げて飛んで行ってしまった。
遥か彼方、遠いところへ。
悠香の知らない場所へ。
引きとめようとした手は空を掴む。
その手を見て悠香はどうしたらいいか分からなかった。

折角再会出来たというのに、なんてことだろう。
どうして神は――主は、こうも意地悪なのだろう。
これも全て、私に与えられた使命なのか?―――と。

ぐっ、と握り拳を作る。
その拳を震わせていると、ある考えが頭をよぎる。

「――…主に…聞いてこよう」

きっと何か助言をしてくれるかもしれない。
もしも無理だったら…その時はその時考えよう、と。

悠香は麗夜と同じように上着を脱ぎ、白い天使の羽を出して誰も見ていない事を確認した後、天へと羽ばたいて行ったのだった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~終わり
オチが無い…だと!?
最初「よし書くぞー」って勢いで書いたのは良いけど段々オチが無くなって酷い事になった_(:3」∠)_

ホントはこういう話は後の方かなーと思ったけどなんだか続きそうにないから番外編にて((ry


てか番外編は「○○と○○」が多いな…
タイトルがワンパターン化してきたからそれもどうにかしないとね|ω・ )

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