Nicotto Town


厨二病もここまでだ!!!←は


~争いの無い世界【番外編】~*物語と夢*

召喚族の里の近くにある小さな丘。
その丘には、大きな一本の木が生えている。
この木は――大木は、よくこの丘に来る玲達でも不思議に思っている。
恐らく、殺風景であったであろう小さな丘に、大ババ様が魔法で植えた――と仮定してみる。

暖かい日差しが差し込む真昼間。
大木の木陰に、うたた寝をしている少女――塑羅が居た。
彼女の趣味は何と言っても読書で、暇があれば本を読んでいる。
今日も茶色い表紙の分厚い本を、この木陰で読んでいたのだが、いつの間にか寝てしまったらしい。
膝の上に広げられた本のページを、風がパラパラとめくっていた。


…そして少女は夢を見た。

それは赤黒い風景。
真下は、赤い湖。
その上を歩くたびに、波紋が広がり消えていく。
そこには、その風景に似合うワインレッドのドレスを着ている女性がいた。
片手には、赤い液体が入ったワイングラスを持っていた。
そのワイングラスを掲げ、言う。

「―――甘い汁の海に溺れなさい」

そう言い、ワイングラスを傾け…中身を真下に垂らす。
こんな事を言う人は誰だろう。
私はこんな人知らない――と夢の中で思う。

「…!」

気がつくと、自分がその赤い湖の上に立っていて、真下を見て驚く。
塑羅が動くと、それに合わせて波紋も広がる。
不気味な場所…光が無く、闇が続く。

「…?」

後ろを振り向くと、赤い湖の上に浮かんでいる――いや、倒れている人物を見つける。
何処かで見たとこが…そんな気がして目を凝らす。

「――…玲!」

忘れもしない。
動くたびにきらきらと光る綺麗な髪。
感情がよく出るその幼げな顔。
名前を呼んでも、玲は動くことはなかった。
さらに辺りを見渡すと、信じられない光景を目の当たりにした。

「…星姫…?慧璃も…居る……?」

召喚族の里から初めて話しかけてもらった一番の友人。
何を考えているのかよく分からないが、その場の和み役であった一つ下の友人。
いつも共にしていた三人が、湖の上で――倒れていたのだ。
呼んでも反応はない。まるで屍のように。
塑羅は頭を抱えて声を絞り出しながらも言う。

「何…何なの、これは…!」

仲間が、友達が、親友が、湖の上に倒れている。
まるであの頃の兄貴のように。
広がる静寂に、胸が苦しく、掴むように抑える。
そして塑羅はワインレッドのドレスを着た女性の方を見た。
どう見ても怪しい。こんな光景の中、一人ワイングラスを片手に優雅に立っているのだから。
塑羅はジッと観察し続けると、その視線に気付いたのか、女性は振り向いた。
その女性の顔を見たとき、塑羅は驚愕する。


「――…私!?」


その女性は、塑羅だった。
茶色い髪をカールさせ、サファイア色の双眸。
雪の様な肌が、ドレスの影響なのか、より白く見える。
すると塑羅はある考えに浸ってしまう。

あの人が、私。
あの人からすれば、私があの人。
そうすれば、私であるあの人がこの三人に…手を掛けたのか。
私が…手掛けてしまったのか。

そんな考えが脳裏に浮かび、再び頭を抱える。
女性は、柔らかく、しかしどこか不気味な笑みを浮かべて塑羅を見る。

「あぁ……私が…わた、し…が……!」

目を瞑り、悲鳴をあげる。
こんな現実、信じたくない…と。

「―――羅」

突然聞こえた、塑羅以外の声。
聞いた事ある、声。
その声により、塑羅は心を落ち着かせる事が出来た。
それから、再び辺りを見渡して声の方を探す。
すると、再びあの声が聞こえた――――――――――――




「――塑羅!」
「…!」

名前を呼ばれ、目を覚ます。
さっきのは…夢だったのか。
そう自分を落ち着かせるが、先ほどの夢があまりにも悪夢過ぎて体が重い。
額に手を当てると、汗が付いていた。

「塑羅、大丈夫?うなされてたけど…」

目の前に――玲が、心配そうに顔を覗き込んで問う。
塑羅は微笑んで、言う。

「大丈夫よ。…ちょっと変な夢を見てしまっただけ」

…夢。
そう、夢なんだ。夢であるべきなんだ。
自分にそう言い聞かせる。あれは、現実であってはいけない。
ふと膝に乗せている本に視線を移し、文章を読む。


辺り赤黒い背景が広がる。
私はこの不気味な光景に、唖然とした。
目の前に居るこの人は…誰だろう。
私が叫ぶと、目の前に居る人はゆっくりと振り向いた…



そういう内容が、本に書かれていた。
この内容は…さっきの夢。
なぁんだ、こんな物語に私はうなされていたのか、と自分に苦笑する。

「…塑羅?」

玲がまだ心配そうな目で見ていたため、塑羅は頭を軽く叩いて言う。

「大丈夫よ。――里へ戻ろうか」

そう言って、立ち上がる。
夢の風景が風景だったため、今目の前に広がる緑が、とても綺麗に見えた。

そして思った。
ああならないためにも、ああいう夢のような現実にならないためにも。
私自身がしっかりして、もっと強くならなきゃと。
いつまでも過去に引きずり込まれてはならないんだと思った。

そんな事を思っている中、そよ風が自分の頬を撫でていったのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~終わり
*あとがき*

え、ちょ、怖いです((
自分でもこんなになるとは思ってませんでした^p^グロくてすいません

アリプロの「月蝕グランギニョル」を聞いていたら創作意欲?が高まってとんでもないことになってしまった←

一応イメージにして小説にしてみたけど…うん、これはヒデェ。
なんだかこれを見てると「Who Killed U.N.Owen」にも似てる気がしてきた。
あ、東方ヴォーカルアレンジのやつです←


…てか塑羅の過去編の前にこんなの練りこんじゃったけど過去に関わってんじゃん_(:3」∠)_ オォイ…

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