恋の芽が出る頃に 【 第二十二章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2014/03/02 23:05:54
第二十二章 『 真実 』
「 ……。 」
月夜の光は浴びれないまま、私は独り暗い道を歩く。
この道中いつもは拓斗が傍に居てくれるから短く感じてたけど…今日は長く感じる。
なんだかこの闇のような道が永遠続くような気がして…つい涙が出そうになる。
坂谷君の事は忘れるって決めたのに。
もう何年も経つのに…。なんでこんなに悲しいの?
私の事好きな訳ないじゃない。いつまでも私の手元にある人じゃない。
美由だっていつまでも高校時代のままじゃないんだ。
──…皆変わっちゃうんだ。
「 なんで… 」
ポツリと零した瞬間、着信音が鳴り響いた。
慌てて手に取り、画面をスライドさせる。
「 拓斗ッ…! 」
『 おぉ、夏芽。珍しいなお前から電話っ… 』
「 なんで来てくれないのよ…! 」
自分が今何してるのかよく理解できなかった。
自分が何を言いたいのか、自分が彼に何を訴えたいのか…まだ整わなかった。
でも全て私の口から出た一文一文は本音だった。
「 寂しかった…こんな暗い道独りで歩かせないでよ!
なんで拓斗いないの?なんで最近会ってくれないのっ!?なんでっ… 」
『 ──…夏芽? 』
拓斗の不安の篭ったような声が私の耳を震わせる。
そして、今の感情を余計揺さぶるのだ。
薄っすらと開いた私の唇は、信じられない言葉を発す…
「 …会いたいよ…拓斗。 」
『 ッ…! 』
途端に切れた通話は私の心を不安に追いやった。
襲う心の波がまた私を孤独へと追い込む。
じゃあ私は甘えちゃ駄目なの?
私は永遠に孤独と戦わなくちゃいけないの?
坂谷君とも出会わなきゃよかった…。
初めから拓斗と出会ってればこんな思いせずに済んだのに──…。
「 教えてよ…パパ…。 」
小さくその場に蹲り、ポツリと呟く。
すると小さく震える私の背に突如投げ掛けられた。
「 夏芽…! 」
「 え? 」
振り返ると、そこに立っていたのは分厚いコートを羽織った拓斗の姿。
「 なんで…拓斗… 」
「 泣いてるのか?大丈夫かっ…!? 」
そう慌てて駆け寄り、優しく抱き締める。
その温もりに溶かされたかのように涙がジワッと溢れ出した。
溢れる涙が増す事に抱き締める力も増していく。
「 ありがと…拓斗。 」
優しい腕に頬を当て、首を傾げる。
ギュッと握り締める分厚いコートの素材はそっと私の涙を吸い取っていった。
今なら本音を言える。
「 あのね…拓斗… 」
真実を話せる。
「 ──…実は私っ! 」
◆続く◆
今回もおもしろかったです!
続き読みました^^
なんか、悲しいですね、
夏芽が最後に幸せになって欲しいですね☆彡