Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


恋の芽が出る頃に 【 第二十二章 】

第二十二章 『 真実 』



「 ……。 」


月夜の光は浴びれないまま、私は独り暗い道を歩く。
この道中いつもは拓斗が傍に居てくれるから短く感じてたけど…今日は長く感じる。
なんだかこの闇のような道が永遠続くような気がして…つい涙が出そうになる。


坂谷君の事は忘れるって決めたのに。
もう何年も経つのに…。なんでこんなに悲しいの?
私の事好きな訳ないじゃない。いつまでも私の手元にある人じゃない。
美由だっていつまでも高校時代のままじゃないんだ。


──…皆変わっちゃうんだ。


「 なんで… 」


ポツリと零した瞬間、着信音が鳴り響いた。
慌てて手に取り、画面をスライドさせる。


「 拓斗ッ…! 」


『 おぉ、夏芽。珍しいなお前から電話っ… 』


「 なんで来てくれないのよ…! 」


自分が今何してるのかよく理解できなかった。
自分が何を言いたいのか、自分が彼に何を訴えたいのか…まだ整わなかった。


でも全て私の口から出た一文一文は本音だった。


「 寂しかった…こんな暗い道独りで歩かせないでよ!

  なんで拓斗いないの?なんで最近会ってくれないのっ!?なんでっ… 」


『 ──…夏芽? 』


拓斗の不安の篭ったような声が私の耳を震わせる。
そして、今の感情を余計揺さぶるのだ。


薄っすらと開いた私の唇は、信じられない言葉を発す…


「 …会いたいよ…拓斗。 」


『 ッ…! 』


途端に切れた通話は私の心を不安に追いやった。
襲う心の波がまた私を孤独へと追い込む。


じゃあ私は甘えちゃ駄目なの?
私は永遠に孤独と戦わなくちゃいけないの?
坂谷君とも出会わなきゃよかった…。
初めから拓斗と出会ってればこんな思いせずに済んだのに──…。


「 教えてよ…パパ…。 」


小さくその場に蹲り、ポツリと呟く。


すると小さく震える私の背に突如投げ掛けられた。


「 夏芽…! 」


「 え? 」


振り返ると、そこに立っていたのは分厚いコートを羽織った拓斗の姿。


「 なんで…拓斗… 」


「 泣いてるのか?大丈夫かっ…!? 」


そう慌てて駆け寄り、優しく抱き締める。
その温もりに溶かされたかのように涙がジワッと溢れ出した。
溢れる涙が増す事に抱き締める力も増していく。


「 ありがと…拓斗。 」


優しい腕に頬を当て、首を傾げる。
ギュッと握り締める分厚いコートの素材はそっと私の涙を吸い取っていった。


今なら本音を言える。


「 あのね…拓斗… 」


真実を話せる。


「 ──…実は私っ! 」



◆続く◆

アバター
2014/03/03 18:53
本当のことを知った時の拓斗君が気になります!

今回もおもしろかったです!
アバター
2014/03/03 17:07
まえに読ませていただいていて、
続き読みました^^
なんか、悲しいですね、
夏芽が最後に幸せになって欲しいですね☆彡



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