会いたい。 【 後編/短編小説 】
- カテゴリ:自作小説
- 2014/02/21 18:53:48
会いたい。 【 後編/短編小説 】
「 はぁ...はぁ.... 」
スーパーに向かって必死に走る。まるで逃げるかのように....。
振り返っても、もう私達の隠れ家はない。....何年も愛し合った場所が消えたような気持ち。
もう彼の心の中には私の住む所はない。手を伸ばしても彼のするりと通り抜けてしまう。
いつからだろう...、彼が私に関心を示さなくなったのは。
いつからだろう...、私がここまで彼を求めるようになったのは。
前は彼から私を求めてたはず....、前までは彼の愛のほうが大きかった...。
「 ...... 」
.....知ってる、言わなくても全部分かってる。
初めに愛しすぎたほうが先に飽きてしまうと言う事。
後から愛しすぎたほうが後悔してしまうと言う事.....。
そしてその者は....いくら彼の背中を追ってももう届かない場所にあると言う事.....
「 っ.... 」
暗い夜道のど真ん中で涙を流す。
人気は無いところだし、特には気にならなかったのだが.....、
「 あれ?美菜? 」
「 .....? 」
優しくてどこか懐かしい声....。
振り返ると、そこには一人のスーツの男性が立っていた。
「 やっぱり美菜だ、どうしたの?こんな所で.... 」
「 あなた....もしかして.... 」
彼の優しさに溢れた微笑が一気に私の記憶を蘇らせた。
小学校の頃の同級生で初めて私に告白してくれた人.....。
「 覚えてくれてたんだ? 」
嬉しそうにニコッと微笑む。その姿がまた輝かしい。
昔はもっと地味な感じだったのにとってもしっかりした雰囲気に変わってる。
名前は確か....入江愁斗君だったかな....。
「 ところでどうしてこんなとこに? 」
「 へっ? 」
「 いや、だからどうしてこんな夜に人気のないとこで.... 」
彼が何か発そうとした瞬間、突然肩に冷たい何かが落ちた。
それ共に私の乾いた頬が濡れた。
「 あぁ...、雨降ってきちゃったよ。
美菜、とりあえず俺の傘を───..... 」
空から私のほうへ視点を変えながら傘を差し出す。
だが、愁斗君は私を見ると同時に体が硬直状態に陥った。
彼の真っ黒いスーツと傘は雨に濡らされていく一方である.....。
「 愁斗君... 」
「 美菜、とりあえず俺の傘に入れ 」
そう言いながら傘を開き、差す。
彼に注がれる優しい瞳がどこか懐かしい。
でも....、私の体が言う事を聞かない。まだどこかで“翔君の彼女だし”って意地張ってる。
....もうそんなの通用しないって分かってるのに。もう彼は何も思ってくれないのに。
「 美菜 」
「 いいよ...悪いし.... 」
往生際が悪いとはこのことだと思う。
せっかく言ってくれてるのにこんな断り方もないだろう。
だが、言う事を聞かないのは彼も一緒だった。
「 あっ 」
「 え?何?
. .......きゃっ───!」
指差されたほうへ振り向くと、突然抱き寄せられた。
戸惑いが隠せない....一体何が起こってるのかわからない。
翔君より身長高いから彼の心臓の所に丁度耳がピタリとくっつく。
鼓動の速さは私をぶっちぎりで抜いていた。緊張しているってすぐ分かる。
吐息とともに、私の耳を擽りながら言った。
「 昔から無理する所あったよね、美菜は。
でも大丈夫....、俺はどんな美菜でも美菜の味方だから。 」
そう言って離し、「なっ?」と言ってまた優しく微笑んだ。
その微笑には懐かしさ以上のモノを感じていた。
「 ありがと...愁斗君.... 」
顔を合わせられないまま、そう呟く。
すると彼はポンポンと優しく頭を撫でながら言った。
「 俺、あの頃から何も変わってないから。 」
「 へっ? 」
そう言って私を置いていくかのように傘だけ差し出してずぶ濡れになりながら帰った。
そんなずぶ濡れの背中を見つめながらポツリと呟いた。
「 変わってるよ... 」
その時、具体的に何が変わってるかは言えなかったけど....感じたのは事実。
そして少しだけ....翔君の件が軽くなったのもまた事実だ。
──翌日。
あれから結局すぐに家に帰った。
晩御飯は適当にインスタントラーメンにしてやった。
ぶーぶー文句言っていたが、何故だか特に気にはならなかった。
それより昨日の愁斗君の言葉が耳に残ってる。その度顔が熱くなる。
家事してても、買い物してても....あの言葉が蘇る。
でもやっぱり愛してるのは.....
「 ....... 」
今日もスマホを弄っている馬鹿者です...。
なんで君の事を忘れられないのだろう?
私を愛してくてる人はいるのにどうして私は───.....
「 美菜、ちょっといい? 」
「 え? 」
突然立ち上がって、私のほうへ寄ってきた。
スマホはしっかりと握ったまま....まるでお守りかのように持っている。
彼が眉を歪めて近づく時は一度もいい事はなかった。....覚悟はしていた。
5年間繋がってたんだよ....?分からないことは何も無い。
「 .....だから、別れて欲しい。 」
彼は10分程度言い訳を続けて最後の最後に切り出した。
全て分かるって言ってるじゃない。どうしてそんなに目を泳がすの?
「 ごめん、俺から好き言ったのに... 」
本当だよ...。
「 三年も待たせたのに...ごめん。 」
ごめんで済ませるとでも思ってるの?許してあげるって笑うとでも?
そんなわけないでしょ?私はそこまでお人よしなんかじゃない。
それくらい分かってよ。5年間いつも一緒だったのに....貴方は何も理解してなかった。
久しぶりに見れた貴方の正面の顔は....ムカツクほど輝いて見えるよ。
でももう私へ微笑んでくれないんだね。せめて私に微笑んでよ....
ごめんねって泣いて抱き締めるんじゃなくって最後はせめて
あの頃に戻ったよう感じさせて....心を麻痺させて気づかないようにしてよ──....。
こんな時だけしっかり感じさせるなんてずるいよ....。
「 じゃあ、俺出るわ.... 」
そう言って彼は背を向け、鳴り響くスマホほ嬉しそうに見つめた。
よく見ると女の人の名前が映ってる。....ありがと、最後に微笑み見せてくれて。
私への微笑みじゃなかったけど、それだけで十分だよ。本当に。
「 .....バイバイ。 」
恨んでなんかない、恨んでなんかない....。
「 .......バカヤロー。 」
そう言ってまた泣きじゃくった。
心がおちつくまで、気の済むまで泣いて泣いて泣いた。
一年後。
あれからもう一年が経とうとしている。
もうアイツへの未練はない。むしろ別れて正解だって思ってる。
風の噂で聞いたけど、アイツはその子と幸せにやってるらしい。....別にいいけどね。
「 ふぅっ... 」
桜の花びらが舞い散るなか、一人溜息を零す。
忘れたわけじゃない。ただ....自分の心を支配しているだけ。
そんな塗り固められた心はもう消えないんだろうか?
「 美菜.... 」
「 愁斗君....? 」
....そんな事はない。
希望の光はどこからかいつしか差し込むだろう。
「 また一人?なんか暗いな。 」
「 .....ふふっ 」
その光は案外近くて....
「 何笑ってるんだ? 」
案外昔より輝いてる光なのかもしれない。
「 んーん、なんでもないっ! 」
◆END◆
また絡みましょうね!!
(=´ω`)ノおやすみだょぅ
うらやまです!!
私163センチなんです・・・・(;▽;)
愛されキャラなんですよー笑
はい、ありがとうございます。
aichaさん、大好きです(*´ω`*)
違いますよ笑
全然気にしてないんで大丈夫ですbb
もうちょっと、周り見てみようと思ってみました。
私は元彼のことばっかみてるけど、私のこと必要としてくれる人。
男女構わず、探してみそうかな?と思えました!
ありがとうございます!
これからも恋愛小説楽しみにしています♪
私の元彼みたい・・・。
今回も面白かったです
めっちゃ感動しました♪( ´▽`)