もうひとつの夏へ (3)
- カテゴリ:自作小説
- 2009/08/22 01:27:50
当時は、判らなかった事だが、この@ニフィティ駅は広大で複雑に入り組んでいるまるでパラレルワールドのような駅だった。
なんでこんなとこで待ち合わせなんかしたのか・・・。今では少し後悔している。
当時は頭が真っ白で、何も考えられなかったが、今ならはっきりと判る。
そう、確信があった。佳代は来なかったんじゃない。会えなかったのだと・・・。
8月31日だというのに、駅は混んでいた。
(こんなに混んだいたっけ?)
8年前を思い出そうとしたが、まったく思い出すことは出来なかった。
淡い光が構内を照らし、行き交う人影を映し出している。
壁には、いくつもの広告が埋め込まれていて、その中から女優が微笑みかけていた。
(この女優、こないだ離婚したんだよな・・・)
そんな事を思いながら、時計に目をやる。
(8年前の僕が、駅から帰るまであと1時間か・・・)
それまでに2人を上手く会わせてやらなければいけない。
さてどうしたものかな? 天井の照明を見つめながら少し思考を巡らせる。
(8年前の僕を彼女の場所へと導くのがいいのか?)
最初に思いついたのはこんな作戦だった。だがすぐに打ち消す。
当時の僕が、素直に赤の他人の話を聞くタイプであっただろうか?
それに自分が自分に会うという事は危険な気がした。
SFでは、時間的矛盾が生じてしまいおかしなことが起こったするところだ。
もしドッペルゲンガーなら存在が消滅してしまいかねない。
そんなリスクを犯すよりは、彼女を8年前の僕のところに導く方がよほど良いような気がした。
(うん、そうだな)
素早く思考をまとめると、なんだか上手く行きそうな気がした。
少し足取りも軽く、8年前の佳代の姿を求め、広大な駅を駆け回った。
馬鹿みたいに広い駅を息を切らせながら走る。
そのおかげか程なくして、彼女を見つけることが出来た。
茶色いベンチの上にちょこんと腰掛けていた。
白いワンピースに白い帽子、大きな荷物を抱えていた。
(やっぱり、かわいいな)
8年後に死んでしまうなんてとても思えなかった。
そしてそこで、大きく安堵の息をつく。やっぱり佳代は、来てくれていたのだ。
再び時計を見やる、残り20分どうやら間に合ったようだ。
(まずは2人を繋ぐルートを算出しないとな・・・)
駅の全体図を素早く思い浮かべる。F5通路を使えば5分って所か、十分間に合うな。
そんな計算を終えるとゆっくりと佳代に話しかけた。だがこれが油断だった・・・。
「佳代、恭介ならこっちで待ってるよ」
途端に佳代の顔が曇りだす。僕のほうを怪訝な目つきで見つめている。
そして沈黙・・・。当然だ。
直後に、うっかりではすまない大きなミスを、やらかしてしまったと感じた。
名前を知っているだけで十分不審だ。
それなのに、こっちで待ってるよなんて言ってノコノコついてくる奴などいない。
家族、またはそれに順ずるものが、連れ戻しにきたと思ったのかもしれない。
警戒されるのは当然だ。
(どうする?このまま無言で居ても埒は明かないし、ますます怪しまれるぞ)
しかし、一度抱いた警戒心を解くことは、容易ではなかった。
あれこれ、話せば話すほど、あべこべに彼女は警戒レベルを上げって行った。
傍から見ても十分に怪しい、もちろん彼女は警戒を解こうとしない。当然だ・・・。
そのうち彼女は荷物に手を掛けじっと僕を見つめ足に力を入れた。
(・・・逃げる気か。)
もしここで逃げられでもしたら、完全に2人を合わせることは不可能になる。
(一度引くか、そのほうが賢明だろう)
ここは、一旦引くことにした。
「ゴメンゴメン、人違いだったみたいだ。それにしてもこの駅広いね」
くるりと佳代に背を向け、階段へ向かう。
何てことだ、此処に来て大きなポカをやらかしちまった。
焦るが、何もすることは出来ず遠目に彼女を眺めるだけで、時間だけが過ぎてゆく・・・。
(8年前の僕なら、こんな時どうするんだろうな)
そんなことを考えていると、ふと思い出した。
8年前の僕は帰る前に駅を一周していて、F5通路にも近づいていた。
これを使わない手は、ないな・・・。
(時間的にも、手段的にも最後の掛けになるな)
少々強引だが、彼女の腕を掴んで、そこまで引っ張っていってしまおう。
もはやこんな手しか思いつかない自分が情けないが・・・やるしかないな。
時間、3分前・・・。意を決して走り出した。
「佳代・・・ゴメン!」
佳代に届いたのかは、確認する間はなかった。
あっけに取られた彼女の腕を引っ張り、通路へと駆け出す。
抵抗もなく目を丸くしていた。きっと?で埋め尽くされた脳内を整理しているのだろう。
だが次の刹那、大声が駅へと響き渡る。
「キャーーー離して、誘拐犯!!、変態!!」
とんでもないボリュームでとんでもない悪口を言われている。
(悪いな、佳代あと少しの辛抱だ)
だが、そこを曲がればF5通路という所でバランスを崩して倒れこんでしまった。
(つづく)
そうですね~誘拐犯ですもんねw
うんうん そりゃ言われるわな~^^
楽しんでもらえてるようで、一安心です。ここが一番の山場かな?
楽しんで、頂けてますでしょうか?
半分読み終わっていますね。引き続きお楽しみください。
キチンと8月31日までには、完結させます。
続きますが、しばらくお休みです。
マトモな精神状態になったら再開しますね。
偶然でしたね。いきなり居なくなったからビックリしました。
ラッキーってほどのモノではありませんよw
ところで、さっきはすごい偶然だったね!w
うんざりされないよう、挨拶だけして離れたんだけどw
返って失礼だったとしたら、ゴメンネ!!(>_<)
今日も会えるとは思っていなかった☆ラッキー!!
この後の展開は、どうなるのでしょうか?
まだ完結してません。がんばって書きますね。
楽しんで頂けているみたいで、幸いです。
楽しく書かせていただいています。ステプありがとうございます。
すっとこどっこいってw久しぶりに聞きましたよ。
もうちょっとお待ちください。@1~2回で終わるはずです。
落ち着いてくださいw
一体どうなってしまうのか!?続きをお楽しみに・・・。
油断して、話しかけたのは完全なミスですね。
バランスを崩して倒れたのは理由があるのですが、文字数に掛かってしまいました。
何て展開でしょう(*・▽・*)
どうなっちゃうんでしょうねぇ✿
早く 続きを読みたいです♫
小説書く才能あったりして^^
今日もすてぷお届け★
なに、すっ転んでんのwww
いきなり名前呼んじゃったり、転んだり、すっとこどっこいだwww
変態って言われてるww
その手を振り払ってはいけない!
んで倒れこんでる場合じゃない!
あーっ次はどうなるんでしょう。
でも時間が無いのだからしょうがないか~
もう少しのところで倒れこんでどうしたの???
早く次読みたいwww