金狼の重圧 『エデン編』…14
- カテゴリ:自作小説
- 2014/01/23 22:17:37
「綺麗にカラーリングできましたね」
「ありがとう」
ユウジの美容院での仕事は丁寧でいて繊細、ユウジ自身の容姿も端麗なのでお客は引っ切り無しに付いていた。
仕事が休みだった日にミカミのところへ行ってから2日が経っていた。ユウジの予想から仕事が終わり夜に探しに行っても見つからないであろうと察し、その2日間はオアシスシティには行かなかった。
やはり目撃情報が多い時間帯、夕暮れ時がベスト。ウルフの好きな時間帯だ。その時間帯に行かなければ見つからない、意味が無いと思っていたのだ。
そんなもどかしい2日間、ユウジは夕方に近づくとそわそわし仕事に集中できないでいたため、その違和感は他の従業員にも簡単に感づかれていた。
そして3日目、たまらずユウジは早退を申し出た。オーナーである女性は快くとはいかなかったが許可を出した。申し訳なさそうに挨拶し急いで店を出た。
時間帯は17時、先ずはミカミの報告を兼ねてシンのところへ顔を出す。
「おい、仕事は?」
「たまらず早退してきた」
「だいじょうぶなのかよ?…たまらずってことは何か収穫あったのか?」
シンはかなり期待してたが、ユウジの顔を曇り顔。ミカミがウルフの居所を知らなかったこと、もう何年も会っていない事を話す。
「ミカミも知らなかっただぁ~?ほんとかよ?あぁ~あ、奴と会って収穫無しとはな……なら、メールで知らせてくれりゃ事足りたろ?」
「それが、そう捨てたもんじゃなんだ。あの男なりにウルフは探してたみたいでな、一つだけ手がかりをくれたんだ」
「なんだよそれ?」
「金色のEMが頻繁に目撃されている場所がある、オアシスシティの刈谷パーキングエリアだ。今からそこへ行ってみる」
短い報告が終わり、時間を惜しむユウジは颯爽と交番を後にする。
シンは厳しい顔を崩さず、ユウジを見送った。しかし、シンには予感があった、ユウジは必ずウルフを見つけるだろうと。時間帯は夕暮れ、最高のタイミングだった。
刈谷パーキングエリアにはシンがいる交番から30分ほどで到着した。時間は17時50分。日没は20分後、綺麗な夕焼けでそれは茜色に染まっていた。パーキングエリアに入る直前、ユウジは一瞬空に目をやった。茜色が黄金色にも見え、綺麗だと感じまた正面へ目を戻した時だった。
「!」
あった!金色のEM。
ウルフの姿は見えなかったが、駐車スペースに金色のEMが停車させてある。夕焼けがあたり白や銀色が金色に見えている訳じゃない。明かに金色だ。
見つけた。
ユウジは金色のEMのすぐとなりに自分のEMを停め、車体をまじまじと眺めた。やっとかとも思え、簡単にも感じるこの遭遇は、興奮、そして身震いを激しくかき乱した。
SF映画が、ゲームのなかの世界みたいな設定ですね^^