コスモス 【 短編小説 】
- カテゴリ:自作小説
- 2014/01/02 01:21:38
コスモス 【 短編小説 】
貴方の姿はもうない───。
左右を見渡し、探し回ってもどこにも居ない。
いつもコーヒーを淹れて「おはよう」って言ってくれる彼も居ない。
…どこへ行ったの?
*****
ピ....ピ....ピピピピピピッ....!!!
今日も耳を壊す勢いで鳴り響く目覚まし時計。
うっとおしいと言うかのように私はスイッチを止める。
そして、ダブルベッドで一人…目を覚ます。いつも居るはずの貴方は居ない。
「 あれ?雄太…? 」
ベッドから飛び出し、彼探し。私は本気で彼を探した。
かくれんぼのような感覚ではなく、本当に誘拐された彼を探すかのように──。
順番に風呂場、台所、リビング……。
でも彼はどこにも居ない。彼の笑顔が見たいのにどこにもない。
リビングで膝から崩れ落ち、私は泣きじゃくる。
そして、リビングに飾られた一輪の花を見て思い出す。
──そうだ、彼はもういないんだ。
「 …また今日もやっちゃった 」
ポツリと呟いた独り言。
記憶を巡らせながら、ゆっくりコーヒーを淹れる。
そして、並べられた白いソファに腰を落とす。
木製の茶色いテーブルにコーヒーカップを置き、一段落つく。
ソファに靠れかかり、さっき流したばかりの涙を流す。
上を向いて天井を見上げたとしても、涙は止まらない。頬を伝うばかりだ。
どうして貴方は私を置いていってしまったの……?
*******
「 えぇ?じゃあ雄太また仕事なのぉ? 」
お風呂上りでビールを飲んでいる彼に尋ねる。
少し疲れている彼は曖昧な返事を返す。
「 明日はだって… 」
「 ごめんな、美恵 」
そう言ってまるで幼児を寝かしつけるかのように頭を撫でた。
これで癒されてる私も居るんだけど、これでは今日は絶対に引けない。
「 ヤダ!明日は早く帰って来てよぉ~! 」
甘い声で駄々をこねる。これこそ三歳児のようだ。
雄太はお手上げと言うかのように撫でていた手を上に上げた。
明日は特別な日。大事な私の生まれた日。
一年に一度しかないし、毎年きちんと祝えてないから……。
20歳のお祝いはしっかりとしてあげたい。
しかし、彼も遊びで遅くなるわけではない。
彼は溜息混じりにこう言った。
「 あのな、美恵…
俺だって遊んでる訳じゃないんだぞ? 」
それはまるで幼児に優しく教えるかのような言い方。おまけに呆れてる。
私はその態度にムッとしてしまい、頬を膨らましてこう反抗した。
「 もう雄太なんか知らない!もう帰ってこなきゃいいじゃん! 」
「 あ、美恵! 」
呼び止める彼の声を無視し、私は先にベッドに入った。
彼は気まずくて、中々部屋には入ってこなかった。
私も空気が重くて、落ち着かなくて、仲直りしたくって…
彼が入ってくるまで待っていた。…けど入ってこなかった───。
だって翌朝目を覚ますと、彼はソファで大量の空のビールと共に眠りについていたから。
思わず溜息を零し、眉をゆがめてしまう。
私のせいで彼は…と。
ただいまの時刻、5時半。
彼を起こして仲直りしようと思えばできる時間だ。
──でも、私はそんな素直で可愛い女なんかじゃない。
その日はお弁当だけ作ってテーブルに置き、再び眠りに入った。
彼の家を出る音と、微かに溜息は聞えたが聞えない振りをした。
何も受け止めたくないと喚く幼児のように。
毛布に包まり、誰もいない家で一人目を瞑る。
体は温もりに包まれて温かいと言うのに何も満たされない。
寂しさという名の波が私の心をどんどんと呑んでいく───。
チラリと毛布から見上げたカレンダー。
彼には気づかれないようにしてたけど、小さく赤い丸をしている。
また目から涙が零れ落ちる。
部屋で一人、孤独を抱えて眠る平日。
誕生日まで一緒にゆっくり居てくれない彼が憎い。
…でもそれ以上に、誕生日まで困らせてしまう自分が憎い。
──帰ってきたら謝ろう。
私はそう心に誓ってまた眠りについた。
…そして、数時間後彼は帰ってきた。
慌てて寝室から飛び出し、彼の元へ駆け寄る。
すると彼の顔はげっそりしており、鞄にはパンパンに詰まった書類があった。
「 雄太… 」
言葉も出なかった。ただ名前を呼ぶだけ。
そんな私を見て雄太はまた溜息を零した…。
そして何もなかったかのように私の隣を横切った。
まるで私は見えていないようだった。今までこんな事一度もなかったのに。
今までだったら雄太から「まだ怒ってるの?」とか笑顔で尋ねてくれたのに。
「 ね、ねえ雄太… 」
初めて自分から声を掛ける。だが雄太は応答しようとしない。
ようやく口を開いたかと思えば、彼はうっすら開いた口でこう言った。
「 俺達さ、こんなんでいいの? 」
「 …え? 」
唖然としてしまった。口が開いたままで動かない。
なんと言えばいいのかわからず、頭だって回転しない。
ただ私は雄太の隣に腰を落とし、黙って膝に手を当てた。
雄太は何も聞かなくても話し始める。
「 なんか最近噛みあってないよね 俺等 」
淡々と私の事も気にせず話して行く。
「 最近ずっと考えてたんだ いいのかなぁって 」
返事だってできてないのに。
「 だから、お互い落ち着くまでさ…距離置かない? 」
「 …雄太 」
謝るって決めたのに、誓ったのに。
なのに私は…こんな時に限って言葉が出てこない。
ただ彼の服の袖を掴んで、渋々首を縦に振ることしかできない。
彼もそれを見て出て行く支度をすぐ始めた。なんのつっかえもなく……。
私の顔はもう一切見ない。写真は全て置いて行った。
でも一つだけ置いていってくれたモノがある。
「 …はい、美恵 」
「 ……? 」
見上げるとそこにはコスモスの花が添えられていた。
一輪のコスモス。それは大好きな花だった。
…これが貴方の最後の思い遣りなんだね。
そう心で呟いて私達の関係は終わった。
*****
そんなこんなで3年時は過ぎた。
彼を探し回って居た自分は薄っすら消えつつある。
突然の別れで起きたショックはようやく落ち着いてきたみたい。
コスモスの花も枯れてしまい、今では違う花を添えている。
彼の痕跡を消すかのように、思い出の写真は全て棚の中に仕舞いこんでいる。
でも…、心の思い出は消えない。一枚も消せないし燃やせない。
そんな自分が情けなくて窓の外を眺める。
空はどんな自分でも許してくれる気がして、飲み込んでくれる気がして…。
そして深呼吸したら洗われる気がするんだ。
そして明日も頑張れる。貴方が隣に居なくてもやっと笑えるようになったから。
ピーンポーン....
「 …ん? 」
平日の真昼間に突然鳴り響いたインターホン。
こんな珍しいことはない。
恐る恐る玄関の穴を見た。
「 ──え? 」
口に手を当て、ニ、三歩引いてしまう。
思わず体が震えてしまう。
扉の先に居たのはあの頃死ぬ気で愛した彼が立っていた。
大好きなコスモスの花束を抱えて…。
もう忘れるって決めたはずなのに、会わないって決めたはずなのに…。
私はドアの鍵を開けられずには居られなかった。
手を伸ばし、鍵を捻る。するとそこには少し大人っぽくなった彼が立っていた。
あの頃と変わらない笑顔で。
「 美恵、遅くなってごめん 」
そう言って差し出す。コスモスの香りに包まれながら彼との再会に浸る。
そして涙が頬を伝う。
「 雄太ぁ… 」
「 もう絶対離さないから、安心しろ 」
雄太。私ずっと雄太に会いたかったの。
気づかれないようにそう心で呟く。彼の胸に抱かれながら。
END
ば~いノ
文字数減らしたいときに言い換えで少なくできる。
あとは練習あるのみ。
時数無理やり減らして質を下げないでおくれ。
さっきので言うと
…これが貴方の最後の思い遣りなんだね。
そう心で呟いて私達の関係は終わった。
で次のブログで続きから的な。
それ質落ちそうだな。
何個かに分けて投稿するってのは?
そういう場合どうしてんの?
=お互いリンクしてない
=二人の距離を置くっていう意味のとらえ方が違う
=だから雄太は時間がかかったが帰ってきた
みたいな感じならありかな
時数はとりあえず気にせずやった方がいいんじゃね?
美恵「関係が終わった」
↑矛盾
雄太なんで戻ってきたの?って感じかな
そこがちょっとおざなり
普通だったら文句言ってもいいようなコメントだったのに
感謝されるとは思ってなかったわ\(◎o◎)/
人の意見を素直に受け止めれる人は伸びてくよ
頑張って!
インタンホン→インターホン
写真だって全て置いて行った。
でも一つだけ置いていってくれたモノがある。
↑どっち?
雄太の最後の発言が投げやりな感じ
マジレスすまん
でも非常によく出来てるからこそ直してほしい
次回の作品も期待