Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


笑顔で 【 短編小説 】

笑顔で 【 短編小説 】


本当の本当に大好きな人に今、私は手を振る。
それは彼の目の前でなく、彼の見えない心の中で──。


別に見て欲しいと思ってるわけじゃない。むしろ見えないようにしてるのは私。
彼の気持ちに気づいてしまったから……。


「 …ねぇ、七海 いつまで耐えるの? 」

コンクリートで敷き詰められた壁に靠れかかりながら尋ねる親友。
そこは人気のない体育館裏だった──。


私は隣でその質問にただ頷き、微笑むだけ。
それを見た親友の綾乃は眉間にシワを寄せて言った。


「 もう私が無理!七海いい加減にしてよ! 」

突然両肩を鷲掴みし、正面に向かせた。
彼女の目がストレートに入ってくる…、そんな角度だ。


その瞳からは色んな感情が感じ取れた。
「 怒り 」「 悲しみ 」そして「 寂しさ 」……。
私は親友の綾乃を苦しめてるとまた実感させられた──。


「 ごめん、綾乃…… 」

つい出た謝罪の言葉。
その言葉を聞いた綾乃はつい肩に置いた手を外した。


唖然として立ち竦む…。ただただ複雑そうな顔を浮かべている。
まだ何か言いたそうな顔を浮かべてるが何も彼女は言わない。
ただただ拳を握り締めて、俯いてしまった。


私が悪いのに、彼女が苦しんでしまっている。
ここまで人に迷惑掛けるほどの価値は私には無い。



ここから私達は何もいえなくなって、違う話題で盛り上がって帰った。
二人ともあれからはもうあの話題を振り合う事はなかった──。


楽しく笑い合って話してるはずなのに、お互いの気持ちは隠しきれなかった。
私はきっと眉を歪めたまま笑ってた。綾乃はずっと目が笑ってなかった。
綾乃はたぶんずっと一日中気を遣ってたのだろう。


そしてもどかしいんだろう。私の出した答えが納得できないから。
でも仕方がないんだ。この答えしか…選択肢がないんだ。



──翌日。
空は快晴で、とてもいい気候を吹かせている。
しかし、私の心は梅雨のようにずっと雨が降り続けている。


今日も彼に会わなくてはいけない。


彼に会う事が楽しみだったはずの学校はいつの間にか苦痛に変わっていた。
するりとすり抜けていく彼の気持ちと気づいてしまった恋心……。
私はそれをしっかりと実感しながら、手を握り締める。


彼は私を見てない。
ひたすらそれを唱え続ける。
それが自分の首を絞める行動を知りながら──。


そして温かい気候に包まれながら私は学校へと向かう。
いつも一緒に登校している綾乃は日直で一足先に出ているとの事。
なんだか余計寂しさを感じさせられた。


甲高いローファーの音が鳴り響く。
学校の廊下を歩くと余計だ。


教室に着くと騒がしい声と、そして一番耳に付く“彼女”の声──。
ドアをスライドさせるとそこに立っていたのは予想通りの人。


「 あ、おはよ 七海 」

笑顔で私に挨拶を浴びせたのは、芽衣。
二つに髪を縛っている可愛い顔の子だ。


私とは正反対で何もかも完璧に見える───。


「 おはよ、芽衣 」

そしてそんな彼女を斜め後ろから見ているのは、私の大好きな人。
ガン見している訳ではないが、チラチラとしつこいくらい見ている。


…私でも、分かるくらいね。


「 …っ 」

もう耐えれそうもなかったからその場を一旦離れ、綾乃の元へ。
綾乃は日直の仕事を淡々とこなしている。


「 おはよ、綾乃 」

笑顔で語りかけてみる。


「 あ、おはよ…う 」

少し気まずそうに顔を引きつらせながら答えた。
すると綾乃はチラッと一瞬彼を見た──。


やっぱり今だに気を遣わせてるらしい。
私は「気にしないで」と言うかのように彼を見ずに、微笑んだ。
すると綾乃はまた複雑そうな顔を浮かべた。


「 …本当にいいの? 」

我慢できずつい口から零れた言葉。
私はそれにただ頷き、微笑みながら答えた。


「 いいんだ これで 」

そして窓に靠れかかり、景色を眺める。
そこは夢に向かって必死に練習をしている生徒達の姿が。


そしてこう続けた。


「 私はさ…、ここでこうやって祝福してあげるのっ 」

そう言ってまた彼女に微笑みかけた。
綾乃は呆れたように溜息を零し、笑った。


私は思う。
彼は手に入らなかったけど、ここで祝福できる。
手に入れることが私の目的であり目標であったけど…。
それが果たせなかったから、目標を少し変えるだけだ───。


…彼の幸せを、笑顔で見送るっていう目標に。

アバター
2013/12/23 14:32
いえ、めっちゃココロの支えになりました。

ありがとうございます。

まさか色んな人がコメくれるなんて思ってもみませんでした・・・。

きっと、リアで会うことなんてない。

だから、皆私のことただのネットの世界の人としか思ってないと思っていました。

今日、夜inできたら皆さんにブログ書きます。

ありがとうございました。
アバター
2013/12/23 14:26
ありがとうございます。
アバター
2013/12/22 22:01
まず、クラスや部活にいてもほとんど話しかけられることなんてありません。

自分から話しかけない限り。

毎日自分から話かけてる。話かけられはしない。

親も私のこと嫌いなんです。
アバター
2013/12/22 21:56
笑えなくなったんです。

「必要とされていない。」

それに気づいてしまったんです。

今まで気づかないように。気づかないふりをしてきました。

でももう限界になったんです。

もう気づくしかなくなってしまったんです。
アバター
2013/12/22 20:34
うん^^
アバター
2013/12/22 20:33
遅くなってごめんね、
きたよ^^
アバター
2013/12/22 19:43
ん、ありがとう、ただいま^^

そか、いってらっしゃい*
アバター
2013/12/22 18:18
こんばんは。
ここにごめんね

今帰ってきたよ^^
アバター
2013/12/21 22:21
こんばんは。短編小説、待ってました~(*゚▽゚*)
私は自分の恋が叶わなかったら、相手の恋を叶えてあげたいです。
アバター
2013/12/21 15:38
いえいえ!
すごいですね!!
私もかこうとしてるんですけど2話目で止まってて・・・
しかも、内容意味不明状態で・・・!
アバター
2013/12/21 15:26
ここに失礼します
訪問ありがとうございます
沢山小説書かれてるんですね!!



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