恋の芽を出る頃に 【 第十一章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/12/18 22:07:44
第十一章 『 月の光 』
ファミレスの静かな女子トイレに篭る。
目の前に広がるのはやつれた私の顔……。
唇は荒れきっており、目にはクマがくっきりとできている。
整えたはずの前髪はボサボサになってしまっている。
──これが今の私か。
何かを分からされたような気がした。
「 酷い顔だな… 」
ついポツリと呟いた一言。
それは今さっき分からされた私の状況だ。
しかし、ずっとここに篭っていても仕方が無い。
この現状で今一番傷ついてるのは私じゃない。美由だ。
深いため息を零し、前髪をかきあげてトイレを出た。
重い足を美由のほうへと進めていく───。
──1歩、また1歩と近づく美由との距離。
そして私は一秒たりとも聞き漏らさなかった……美由の泣き声。
「 うぅっ…… 」
頑張って涙を堪えようとする彼女の背中。
そのきゃしゃな体は縮こまり、肩が上下に小刻みに揺れている。
どうすれば分からず、私はその場に立ち竦んだ。
ポケットに手を突っ込み、目を泳がす。
──どうしよう。
───どうすればいいんだろう?
いつの間にか迷った時の爪を噛む癖が出ていた。
「 どうすれば 」
爪を噛みながら、その場をウロウロと歩く──。
すると、突然美由が立ち上がった。
私の帰りが遅いから気になっていたみたいだ。
涙をハンカチで拭いてこちらに近づいてくる。
まずい、今にも逃げ出してしまいそうな気分だ──。
足が一歩下がってしまっている……。
──何もできない。
「 あ…、夏芽ちゃん 」
美由は腫れた目を隠すように擦りながら、私を見た。
少し気を遣ってるみたいにも見えた。
「 遅くなってごめんねぇ~…、ちょっと… 」
ちゃんとした言い訳をしようと思った。
でも、美由の目を見たら何も言えなくなった。
いつもは出てくるはずの言い訳だって今回は出てこなかった──。
頭がまったく回転しないし、口から言葉だって出せない。
首に置いた右手を震えさせながら、私は口を噤んだ。
だが美由は黙って微笑んだ。
「 早く会計済ませちゃおう もう話す事もないし 」
そう言って鞄を取りに向かった。
笑顔で何も思ってないかのように私の分まで……。
どうして美由は私を恨まない。
どうして美由は私の前で笑えるんだろう。
──私、なんでこんな普通に接してるんだろう?
「 ──美由! 」
私は重い手を伸ばし、美由の背中に向けた。
その刹那、ローファーの甲高い音が鳴り響いた──。
振り返ると共に靡く美由の髪。
美由の震えた体と腫れた目は感情を口より語っていた。
手を伸ばし、呼び止めたというのに何も言えない。
何を言えばいいのかまったくわからない。
伸ばした私の手は次第に落ちていく……。
そして美由には届かない距離になってしまった。
「 …行こう 」
美由は何かを察したのか、何も聞かずに清算に向かった。
私も何も言えず、清算を終わらせた。
自分が情けなくなった。
美由の凛とした姿勢を見てると胸が痛む。
そして共にファミレスから出た。
外は曇っており、真っ暗で見えるはずの月は雲に隠れている。
とうとう私は月の光にまで照らされなくなってしまった───……。
──こみ上げる思いと共に見上げる月。
それは今の感情と同じように薄暗くて光ってなかった。
「 …… 」
美由は何も言わない。私も何も言わない。
ただ異様な雰囲気だけは感じ取れる……。
明日は何も知らぬ顔でやってくる。
頭を必死に悩ませながら私達は並んで歩み始めた。
お互い最後まで何も言わずに───。
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第十一章 『 月の光 』
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~あとがき~
更新が遅くなってしまってすみません(´・ω・`)
勉強に本腰を入れなくてはならない時期になってしまいました。
とうとう懇談も始まってしまう…。また更新が遅れるかもしれません。
気長に読んでいただけたら幸せです(´・ω・`)ノ
気まずいよね...そりゃ....
これから友達としての関係も崩れちゃうんでしょうか...´;ω;`)
自分も勉強に力いれなくては...
お互いがんばりましょうねノ゛
勉強、頑張ってください!
気長に待ってます