手の中にあるのは 【 短編小説 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/12/07 11:35:48
手の中にあるのは 『 短編小説 』
温かい気候を浴びながら歩く桜の並木。
そんな春の初々しさを目の当たりする4月──。
僕は君と出会った……。
君は僕の前で優しく微笑んでくれた。
どんな時でも辛い顔は見せず、ただ笑って過ごしてた。
そんな君を僕は好きになった。
でも僕の前では無理してほしくなくて。
僕の前だけでも、無理せず涙を流して欲しくて。
夏の日差しが隠れる7月の夜。
僕は君を抱き締めて囁いた。
「 無理しなくていいんだよ 」
まるで優しく幼児に教えるかのように言った。
すると君は僕の胸で泣いてくれた。
今までの我慢が全て解き放たれるかのように───。
君は僕の肩に顔を埋めながら、泣いた。
それはまるで5歳の少女のようだった───。
どこか幼さを感じさせる、そんな泣きじゃくった彼女を僕は抱きしめ続けた。
そして、そんな事も薄れて行く記憶に流れ始めた…11月。
君は僕の前で泣かなくなった。
僕は変わらず君と接してきたつもりだ。
だが、もしかしたらどこかで傷つけてたのかもしれない。
……頭で何度も考える。
そしてまた夜空に星が散りばめられた綺麗な満月の日、君と話したね。
僕は君との事で悩んでずっと俯いてたよね。
すると、君は突然僕の手を握った。
ずっと被せていた手袋を外し、温かい生身の掌で僕の凍えた手を握ってくれた。
そして、君は小さく照れくさそうに言ったね。
「 ……次は私の番だよ 」
その瞬間、僕は君を抱き締めて泣いた。
それはまるで僕があの頃の君のような、5歳児の少年のように。
君は僕を温かく包み込むように、背中に手を回して摩ってくれたよね。
その細くて小さな掌は、どんな大きな手よりも温もりがあったよ。
……不思議だね。
そこから一年が過ぎ、また来た11月。
それでも僕はあの日に似た夜空を見上げると、思い出すんだ。
君がくれたあの日の手の温もり。
それだけは薄れて行く記憶に流されることはなかった───。
そして僕は夜空を見て微笑み、囁く。
「 愛してる 」と。
END
あんな小説とか...!
あんな、なんかじゃないですよ....!
プ、プロすぎて眩しいです(何
短編小説もいろいろかかれてるんですね*
なんで、こんな心打たれる言葉がかけるのか...尊敬します(´`)*
じゃぁ、いつでもみにきますねー!(p'v`q◆)
ということですねb
リアルは、どんな場所にでも自在に存在すると言えます。
そういう意味では、見ているものがすべてではないですし、
知覚できる世界がすべてではない、ということですね。
つまり、夜空にも愛がある、ということでしょうかb