失って気づく者 【 短編小説 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/12/02 17:06:21
失って気づく者 『 短編小説 』
私の目の前には頬を枯れた涙で濡らす一人の少年。
涙がこんなにもかと言うほど溢れている。
彼はそれを必死に擦って引っ込めている。
そんな事があった……、去年の12月。
今、私の心には大きな風穴が吹いています───。
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そろそろ寒さを感じさせる11月下旬──。
教材を抱えて歩く冷たい廊下。
隙間風が私の体をまるで突き刺すかのように浴びせる。
そのせいで私の心には罪悪感がこみ上げる。
そして目の前には、私を見ない一人の少年の姿………。
それと共に、風が私の耳に囁く。
「 全て、お前が悪いんだ 」、と……。
まともに彼を見れない。罪悪感がこみ上げて仕方が無いから。
彼への罪悪感は今、溜め息に隠した───。
この前、ある噂を耳にした。
彼が違う女子を好きだっていう……噂。
でも、勿論私ではない。
別のクラスの今井美羽という名の女の子だそうだ。
彼女は優しいし、美人だし、スレンダーで、彼を不幸にはしない。
彼女と仲良かった時期もあったからそれは私が一番よく知っている───。
……きっと、彼よりも。
「 ……… 」
切なくないよ。別に切なくないよ。
だってこれは私が選んだ道だから。君はただそれを受け入れただけだから。
鋭く尖ったナイフで彼の心や想いを抉ったのは……、私だから。
私が幸せに出来なかった分、幸せになってほしい。
彼にも、彼女にも、私は心底祝福してる。
……悪いのは私だから。
「 ……… 」
……なのに、どうして?
どうしてこんなにも涙がこみ上げて、仕方が無いの?
どうしてこんなにも、君が今更愛おしくなってるの……?
何で手放してから気づいてしまうの……?
「 ……ぅっ 」
凍てついた氷のような廊下に崩れ落ち、膝を着く。
両手で口を覆いながら、必死に泣きじゃくる声を押し殺す。
彼にだけは聞えて欲しくない、聞えないで、と願いながら───。
幸い、この願いだけは届いたようだった。
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それからまた寒さを増した12月。
丁度彼と別れた日がやってきた───。
そして、まるで当て付けのように彼は今井美羽と付き合った……。
本当に届かない存在になってしまった。
前まで合っていた目が一切合わなくなった……。
いつも追われていた側の私が、いつの間にか追う側になっていた……。
……でも、追わないよ。もう絶対に。
手を伸ばす事さえ許されなくなった今、私は声を嗄らして泣く。
無常にも感じさせられる自分の愚かさと、残酷さを噛み締めながら……。
凍てついた氷のような廊下はいつまでも温まる事なく、私を冷たい世界へ引っ張った。
胸に押さえる両手の中には、あったはずの彼の温もりがいつの間にか消えていた。
……あと少し泣かせて。
そしたら、私が振ったあの時と同じ感情に戻るから。
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失って気づく者 END
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~あとがき~
久々の短編なのでおかしいかもです……。
サークルのお題をテーマにしてみました(テーマは「失くしたもの」)
やっぱり大事な物って一番近くにあるものなんですよね。
それに気づけてない人に是非読んで欲しい小説にした限りでございます。
文章力はカスなので上手く伝えれてるかは定かではありませんが………^^;
ですが、満足して帰って頂けると嬉しいです。
では、また更新日にノ
最後の、
「……あと少し泣かせて。
そしたら、私が振ったあの時と同じ感情に戻るから。」
その意味を解読すると、
「振った時のようにあなたが居なくても平気で冷酷な私になりたい」
という意味になるのでしょうか。。
複雑な人間模様が描かれていて、つい前乗りになって読んでしまいました
切なくて胸が締め付けられるような感覚に落ちました
読者をそんな気持ちにさせてくれるaichaさんの小説はやっぱりすごいですね☆
昨日、T(好きな人)が彼女と帰っているのを見たんです。
その彼女はHといって、Hは部活も一緒で仲がいい人なんです。
昨日会った時には走ってこっちに来ました。
でもやっぱり嫌だったので無視をしました。
Tと並んで帰っていました。
楽しそうに。
私はそれを見て本当に悲しくて
泣きそうになりました。
今日も部活中にTの話をしたりしていました。
ほんとに悲しいです。私が好きなのを知ってて言うんです。
この先が持ちそうにないんですがどうしたらいいでしょうか。