金狼の重圧 『エデン編』…11
- カテゴリ:自作小説
- 2013/11/30 14:59:41
『それにしても…あの男にそう簡単に会えるのか?』
シンはそう言っていた。
それもそう、ミカミは今や日本で有数のゲーム会社の一つである、ニココーポレーションの御曹司であった。ゲーム機、ソフトの開発だけではなく、いろいろな分野にも手を広げている一大企業。
それだから前回での精巧なゲーム機を開発できたのだ。
『俺は会えると踏んでいる…ウルフの名を出せばな』
そう言って、交番を後にしたユウジはメトロポリスの中心街、ニココーポレーション本社ビルへと向かった。
地上から見上げても目がくらむほどの高さのビル。ユウジは目を細めつつも、さも当然の如くビル内へと入って行った。
もちろん事前に約束などを取っていない。ユウジは名を名乗り、受付嬢との話し合いになった。
「すいません、ミカミさんに会いたいんだけど」
その突拍子もない言葉に受付嬢は首をかしげた。ユウジはスーツも着ておらず、企業サラリーマンには全く見えない。美容師ということもあって髪型も今時、容姿も端麗であるのでパッと見はどこかの俳優でもやってます?と言いたくなるほどだ。
実はかなりかっこいい男なのだ。
そんな男が来たものだから、受付嬢も少し表情が和らいだ。が、そこは仕事優先。
「あのー、ミカミと言いますと?」
「ああ、社長さんの方じゃないよ。息子さんの方」
「常務のミカミでございますね…それで、アポイントの方は?」
「アポ?そんなのないよ…一応知り合いなんだけど、それじゃダメ?」
受付嬢は端正な顔立ちのユウジに好感がある様子であったが、さすがに少し怪訝そうな顔をした、しかし思い切り優しい声を出す。
「申し訳ございません。アポイントがなければ…」
もちろんユウジはそう言われることが分かっていたので、すぐさま遮る。
「一つだけお願い。常務のミカミさんに、ウルフのことで話したい、ってだけ言ってみて。お願いだから」
満面の笑みと甘い声でお願いすると、仕事優先だった本当はまんざらでもない受付嬢の心を動かした。
「ウ、ウルフのこと?」
「そう、ウルフって言って」
「………分かりました。それでも断られたら、素直にお帰り下さい」
受付嬢の本心は帰ってほしくなかった。
「ありがとう、その時は素直に帰るから」
内線電話で今の旨を誰かに伝える。意外な応えだったらしく、受付嬢はハッとした顔をしユウジの顔を見た。会うと言う返事だったようだ。この人は何者?となおさらユウジに関心を持ったようだ。
「あの~…お会いになると…」
「そう、ありがとう」
当然だねって得意顔のユウジ。最後にユウジは営業も欠かさない。
「俺さ、美容師なんだよ。○○ってところで働いてるから、今度来てね」
「…は、はい」
暫くすると、秘書らしい美女が受付へユウジを迎えに来た。そして12階の応接室へと案内された。
応接室の扉が開く前、ユウジは寒気と共に緊張が走る。目つきも鋭さを増した。
実写で見れる変な癖がありますwなので、このシリーズも私の妄想の中で
実写のストーリーになっていて、本当に楽しませてもらっています。
金色の光の中に吸い込まれていくマシンの爆音やエンジンオイルの燃えた匂いとか
病んでいく魂の痛みとか・・・いろんな妄想を形に感じさせてくれる作者さんに感謝です。
この先のもしかしたら・・の展開を、期待しながら妄想し続けます^^v
どきどき・・・
つづきが気になります