Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


恋の芽が出る頃に 【 第四章 】

第四章 『 君の下の名前は? 』


結局、あの男子の名前は分からずに終わってしまった。

新入部員としてバスケ部に加入できたのは良かったのだが…。
あの男子の上の名前…『坂谷』しか分からなかった……。


下の名前、なんて言うんだろう。


今日はずっとこの事で頭がいっぱいになってる。
家に帰り、部屋に居てもそれは同じ。

明日から授業が始まるから、一応予習しているが……。
まったくシャーペンが動かせず、ずっと頬杖を着いて考え込んでいる。


あの体勢、そしてシュートを決める時のコントロール力。
全て見入ってしまうほど完璧なフォームだった。
明日……、部活行った時に聞いてみてもいいかもしれないな。


こうして明日聞こうと決めた私はノートやペンを仕舞い、寝る準備へと移った。



そして、翌日……。

いつも通り準備を済ませて飛び出した。
玄関の外にはいつも通り、美由が俯いて立っていた。

扉の開く音と共に、こちらを見る。


「 おはよっ、美由! 」
手をヒラヒラと振りながら、駆け寄る。
だが美由は少し元気がない様子だ……。


「 おはよう。夏芽ちゃん……。 」
私が近づくと、俯いてしまった。


鞄の取ってを力強く握り締め、唇を噛み締めている。


まさか、昨日のあの件で怒ってるのだろうか……?


私は美由の腕を掴んで、尋ねた。


「 昨日の事、怒ってる……? 」
尋ねると、美由は無言で首を左右に振った。
「じゃあ何で」と尋ねると、目に涙を浮かべながら答えた。


「 昨日ね……、美術部行ったの 」


「 うんうん 」


「 そこでね…あのね… 」
美由は恥ずかしくなったのか、突然口を耳に近づけ、
内緒話をするかのように小さな声で言った。


「 ……好きな子、できちゃった。 」


「 ………え。 」



───数秒間の沈黙を遂げ、私は目を丸くして叫んだ。

というかもう絶句した。私より先に好きな人できるとは……。


しかも出会いも数少ない昨日の入学式で好きな人できるなんて。
というか会って一日で好きになったのかよ!とツッコんでしまう……。


詳しい話は、美由に直接聞くことに決めた。


「 ────で、何で好きになったの? 」
腕を組みながら、俯き心を改めながら尋ねた。


駅のホームまではまだ時間がある。とりあえずこれ聞きたい。

美由は少し照れくさそうに細い人差し指で頬を掻き、囁くように言った。


「 実は…さ、美術部の子なんだけど…… 」
いつもと雰囲気が違う。本気なんだなと思わせられる。


私は何も言わず、黙ってその話を聞いた。


「 昨日凄く優しくしてもらって……。その時好きになっちゃった。 」


「 ……へ、へえ。 」
それだけで好きになったのか、もう少し考えたほうが……。


と心配するも、彼女の幸せそうな笑顔を見てたら言えない。
私は言葉を飲み込み、頷いて「良かったね」と答えた。


すると美由はまた満面の笑みで「うん」と答えた。
幸せ者ですな、と思いながら美由の笑みに釣られて自分も笑った。


美由の幸せは私の幸せでもある。
だから、今回の恋も応援してあげなきゃな。


「 よし、美由!薔薇色高校生活開始だね! 」


「 うん! 」


昨日引き気味だった美由も、今回は大きな声で返事をした。
今日から美由も花を咲かせる覚悟をしたようだ。


まだキラキラ輝いた汚れのないローファーを進ませ、学校へと進ませる。
美由の笑顔は学校に着くまで消える事はなかった───。


そして、大きな大きな門が私達を迎える。

美由と顔を見合わせて教室へ向かった。


「 ……あっ。 」
美由が突然廊下で足をピタリと止めた。


どうしたのと尋ねると、美由の視線の先には眼鏡の男子が。
黒髪ストレートの見るからに近寄りがたいクール男子っぽい奴。


まさか美由、こんなのがタイプだったのか。


「 み、美…「 見た!?あの人……! 」
言葉を被せるように尋ねられる。


美由は今まで見たこともないような輝いた目で取り乱す。
私の腕を力強く握り締め、眼鏡男子を小さく指差した。


「 あ、ああ。アレね。 」


「 アレって失礼だよっ…!あの人、だよっ! 」


「 ……えぇ。 」
美由のキャラが明らか崩壊させられてるような気がしてならない。


あれもこれもあの眼鏡男子のせいだな、と睨みを利かせる。


両腕を組み、キャアキャア言ってる美由の惚気を右から左へ受け流した。
つい、溜め息が零れてしまうほどだ。


「 はあ…… 」
ガクンと落とした視線の先には門を潜るあの男子の姿が見えた。
つい目を丸くして見入ってしまう。そして耳を澄ませる。


「 おはよー! ”勇”! 」


「 よぉ。 」
しっかり今この耳で聞いた。


「 ……勇って言うんだ。 」


「 え、なんか言った?夏芽ちゃん。 」


「 んーん。なんでもない。 」
彼の名前を知った今、モヤモヤが消えるはずなのに……。


何故か彼を見ると胸が温かくなって、モヤモヤする。


………コレ、なんだろ。


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第四章 『 君の下の名前は? 』 END
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~ あとがき ~
第四章いかがでしたでしょうか?
満足して帰って頂けるほどでしたか?
この回は、やっと彼との距離を縮めれたと思います。
感想等コメントなど頂けたら嬉しいし、成長へと導かせて頂きます。

では、また更新日にお会いいたしましょう。

アバター
2013/11/25 00:01
こんばんは*
しばらくINしていなかったので、
新しいストーリーの更新、今見させてもらいました*
青春いいですね*
私の学校は青春できないくらい
勉強勉強勉強なので、
こういう学校が羨ましいです*
アバター
2013/11/24 20:54
一行か二行、三行を
バランスよく使い分けるといいですねb

自分の裁量で決めるといいですよb
自分の感覚でやれば読みやすいのが

書けると思います^^
アバター
2013/11/24 20:49
いい感じですよb


空けすぎると不安定になったり、
狭すぎても読みづらいというだけの話なのでb
アバター
2013/11/24 20:44
そうですね、

二行か三行くらいで十分だと思います。


何行空けると読みやすくなるというより、
他のところとのバランスなのです。

なので無理に空ける必要はないと思いますよb
アバター
2013/11/24 20:37
間隔が空き過ぎても読みづらいかもしれませんね´・ω・)

もっとも、パソコンのスクロール機能に依存するものです。
一行の間隔でもよかったのではないですか?

一行と二行の間隔を使い分けると、
書きやすく縦に空き過ぎないので便利ですb

あと、あまり長すぎる間隔の空け方は
場合によっては読みづらいかもしれません。

時には効果的な空け方でもある場合もありますが、
縦に伸びすぎるとスクロールが面倒になって
結果的にパソコンでは読みづらいこともあります。

もっとも、その度合いはレイアウト依存なので
ニコタの場合は読みづらい、とか

そんな感じです。


あと、小説の場合は展開や場面が切り替わることは
よくあることなので、

無理に間隔を空ける必要はないかもしれません^^;

サークルにも書きましたが
間合いとは文字のある空間も含めての配置の話です。

ほどよくバランスを取ると読みやすくなる
というだけの話であって、

無理に空けたりくっつけたりすると
読みづらいというだけの話なのです。

一行と二行の間隔を使い分けるといいでしょうねb



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