Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


恋の芽が出る頃に 【 第一章 】

第一章 『 芽 』


「 もう少しです、頑張って…! 」

母は夏の芽が出る頃…、つまり8月1日に私、今野夏芽を産んだ。
力み、周りに応援され、苦痛と激痛に耐えながらも母は諦めず私を産んだ。
父は優しさに満ち溢れており、母の手をただただ握って頑張れと応援してくれたそうだ。
この話は耳にたこができるほど母に聞かされた話でもある。

それからもう16年…。私は晴れて高校生となった。

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桜の花びらが窓に張り付くこの季節。
私、今野夏芽(16歳)は晴れて第一志望に合格しました。
血の吐くような努力をし、やっと県内No1の高校に入れた。
あれもこれも親友のおかげであり、そして自分の努力の結晶である。

制服も勿論可愛いし、名誉だって完璧だ。

「 髪良し、服良しっと! 」

鏡の前で全身チェック。慣れないネクタイを締め、いよいよ母にお披露目した。
母はハンカチで口を押さえ、涙を流してくれた。そこまで嬉しかったのかと思う。
次は勿論、大好きな父にお披露目しなければならない。
私は玄関へ向かい、父の写真に向かって制服をバーンッと効果音をつけてお披露目した。

「 どう?お父さん。 」

勿論、向こうは写真。答えてくれる訳でもない、表情を変える訳でもない。
でもそれでも私は何故か満足できた。似合ってるよと聞えたような気がしたから…。
写真の向こうで笑う父に触れ、私はお礼を囁いた。

隣にある時計はもう7時を挿している。

「 ヤバッ、初日から遅刻なんてしちゃいけない…! 」

慌てて鞄を背負い、ピカピカ輝いたローファーを履いてドアノブを捻った。
太股くらいの短いスカートが風に吹かれる。

そして、自覚する。 
もう今年で高校生なんだな…と。

すると、玄関の外には親友の掘北美由が待ってくれていた。
おさげのよく似合う女の子で、頭は少し光に照らされ茶色になっている。
制服は私と同じ高校の制服。一緒の所を志望し、見事二人共受かったのだ。

私は短い髪を靡かせ、美由の傍まで駆け寄る。
美由は笑顔で迎え、そして細くて長い指で手を振った。

「 おはよう、夏芽ちゃん。 」
「 おはよー!美由。 」

私達は幼馴染で、幼稚園の頃から仲が良い。
小学校も中学校も一緒で、おまけに家も近所だ。
何かの縁だろうと言わんばかり、私達は繋がっているのだ。

彼女は少々私と違って、控えめなタイプで大人しい感じの子なのだが…。
そんな美由は一部の男子にモテモテだった。…勉強もできるし。
美由が羨ましくて昔良くなんで私はってふてくされた事だってあるくらいだ。
…と、美由の説明はこれくらいにしておこう。

私は美由の肩をガシッと組み、ニッと八重歯を見せて笑った。

「 美由。今最高の気分だね。 」

そんな私のしたり笑いに少し引き気味の美由は、体を縮ませながら頷く。
引き気味だとわかっていながらも、私の八重歯は引っ込まない。
ニヤリとした笑顔で、こう続けた。

「 美由さぁ…。この高校生活で花咲かせるんでしょ? 」
「 …へっ? 」

”花咲かせる”、それはつまり「恋する」という事。
美由はモテるのだが、これまで一度も付き合った事ないし、全て断ってる。
きっと理由は「受験」だろう。中には美由の好きな子居たらしいが、
美由の家は厳しいから、絶対に受験中にそんな関係は一切遮断され、許されなかった。

だからこそ、受かった今。花を咲かせて欲しいという親友の祈りだ。

「 美由はさぁ、ほら。後悔ばっかしてるじゃん…?
  中学でも親の厳しさに負けて…、付き合いたくても無理だったじゃん? 」

美由は黙って頷き、相槌を打つ。

「 だからさ、高校でもう受験という縄から解き放たれたんだから付き合おうよ! 」
「 ……だ、誰と? 」

美由は顔を赤らめて、尋ねる。
私は八重歯を引っ込めないまま、答えた。

「 それは今から決めるんでしょー? 」
「 ……… 」

美由は顔をますます赤らめて行き、鞄の取ってを握ってる手に力を込める。
そんな美由が可愛く見えて、私はつい「プッ」と笑ってしまう。
からかわれたと実感する美由は、怒る。

そんな事をしてる初めての通学路…。
ヒラヒラ舞い散る桜が私の頬にピタリとくっついた。
桜の花びらはハート型のようでどこか恋を匂わせて、可愛い。

「 おぉ、なんかこれ本当にハート型みたい。 」

頬にくっ付いた桜を手に取り、呟く。
まるで覗き込むように見た美由も同じように呟く。
本当にハートのようでどうも私はこれを地面に落とす事はできなかった。

「 よし、これは記念だ。 」
「 ……どうするの? 」

定期入れの小さなポケットに桜の花びらを入れた。
そしてニカッと笑い、また八重歯を見せて美由に言った。

「 こうするのっ! 」

すると美由は「なるほど!」と閃いたような顔で、ポンッと掌に拳を落とした。
私は我ながらいいアイデアだなと満足気な顔で定期入れを鞄に直した。

そして、いよいよ駅のホームへと入っていった。
少し電車を乗っていけばすぐ着くのは大きな誰もが目指す高校。
美由と顔を見合わせ、「いっせーので!」、でホームへと足を踏み入れた。

私達は二人とも満足気な顔で今にもスキップし出しそうな雰囲気で歩いた。
改札を抜け、電車に乗り、そして本当にすぐに着く。徒歩5分だ。

緊張で鼓動が速くなってる私達は学校の前に立って、唾を飲み込む。
そして、顔を見合わせて言葉が被った。

「「 いよいよ来たね…! 」」

おかげで緊張は解けたが、周りを見ればやっぱり固くなる。
もうすぐで入学式が始まる。ワクワクとドキドキを押さえ、美由と共に進んだ。


*********************************************************************

第一章、『芽』 END


…………………

皆さん、こんばんはそして初めまして♪
最近短編小説が書けるようになってきたaichaです(´`*
ようやく80近く行った小説を終える事ができ、ホッとしております。
無理矢理終わらした感もあったでしょうが、そこはご了承ください(´`;

そして、今回始まった『恋の芽が出る頃に』
この連載もいつまで続くのやら…、と思いながらも、
気楽に楽しく書かせていただいています(´∀`*

まだまだ弱輩者で、未熟ですが満足して帰ってくだされば光栄でございます。
もし、よろしければ無言で帰るのではなく、未熟な小説家のダメな部分や良い部分を
言ったりするような気持ちでコメントくだされば嬉しい限りでございます。

「あぁ、aichaはまだこの部分ができてないな。」や、
「この部分は前の小説と比べて良くなった。」などなど…。
なんでもいいです。そのコメントは必ず私を成長へと導いてくれます。

初回で、長文になってしまいましたがここで終わります。
小説&長文拝見誠にありがとうございました。
いつもありがとうございますの方も、初めましての方も、未熟な私ですが、
今後とも私の小説共に、aichaをよろしくお願いいたしますm(_ _)m

アバター
2014/04/01 18:26
のんさん>>
小説拝見ありがとうございました。
そしてコメントまで残してくださり、恐縮です。
この小説は急展開を見せますのでご注意を笑。
楽しんで頂けたら幸いです。
アバター
2014/03/31 22:34
読ませていただきました!!
続きも読ませていただきます♪
アバター
2014/03/18 19:33
椿さん>>
第一巻を読んでいただき感謝致します。
ここから高校生活を送って、話が一気に展開を変えます。
そこも見所なので是非読んでくださいませ^^*

ああ、そうなんですか…ドキドキしますね。
かっちこちになるだろうけどお互い頑張りましょうw
アバター
2014/03/18 19:29

記念すべき、第1巻読ませて頂きました\(^^)/

私もaichaさんと同じで、4月から高校生活がスタートします
第1巻は今野夏芽ちゃんと親友の美由ちゃんがいよいよ高校デビューするところで、、
見ている私もドキドキハラハラしました
私も入学式、かっちんこっちんなんだろうなぁ(笑)

アバター
2014/02/24 17:50
こんにちはー
おそばせながら第一話読ませていただきました。
主人公の出生から始めるのはやっぱり主人公の出生に何か秘密があるのでしょうか?
恋と主人公の出生が絡む秘密といえば「アレ」かなぁと予測しつつも、続き楽しみに拝読させていただきます!
アバター
2013/11/23 10:15
特有の味というのは、

たぶん小説のいいところですよね^^

もし、そこから切り離してしまったら、
誰が書いた小説か分からなくなってしまいます。


あと、読者が伸びないということですが
読者が寄って来やすい小説というのは

大抵万人ウケしやすい小説だったりするものです。

ということは、細かい点でいいポイントはありません。
読者ウケしやすいという甘い条件のもと、

自分の理想に妥協してしまっている状態です。

もし、自分の描きたい小説を描きたいのなら
読者ウケしやすいかどうかというのは

目先の事実でしかありません。

本当に自分の価値を見出すのなら、
誰にどう読まれてウケる、なんてことは
考える必要はないわけです。

自分の小説の価値は、自分の小説にしかない。

上手い下手で考えるよりも、
自分がどれだけおもしろがって書けるかが重要ですねb

自分のために書くということです。
他人はただそれを読んでいるだけですから^^
アバター
2013/11/23 10:00
自分でも実感できるのなら
相当上手くなっているんでしょうb

ただ、小説は上手ければいいというわけではありません´・ω・)
上手い、下手で小説の良し悪しが決まるわけではありませんからねb

それを含め、読者のうち一人でも上手いと実感させられる
小説が、

上手い小説となるのでしょうが

小説のいいところというのは
それぞれの小説にしかないものですから、

それを大事にしてほしいと思います^^
アバター
2013/11/23 07:11
だいぶ上手くなりましたねb^^



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