Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


ストロベリーラブ 【 第74章 】

第七十四章 『 違和感 』


─ピルルル....

突然鳴り響いた携帯の着信音...。
誰だ、こんな時にと思いながら携帯を取り出す。
画面に映ってたのは『 功 』という名前。

( なんだ、功か... )

俺は少しだけガッカリしながらも、ピッ、と電話に出た。

「 もしもし... 」
『 おぉー、一輝!!ありがとーな、香理奈の事。 』
「 あぁ...。 」

そうか、二人は仲良さそうに帰って行ってたんだったな....。
上手く行ってるんだったな、”二人は”

『 おかげで今デートできてるんだー。 』
「 へ、へぇー.... 」
『 お前も来る? 』
「 は、はあ?お前何言ってるんだよ。二人きりのデートだろ? 」

とか言いつつ呼ばれて少し嬉しかった。
俺は首に手を回し、ポリポリと掻く。

『 まぁな。でもなんか...一輝元気ないからさ。 』
「 え....。 」
『 声聞いてたら分かるぞ。いくら俺でもなっ 』
「 ....ハハハ、そんな事ねぇって。少し拗れただけだ。 」
『 拗れたァ...?  』
「 わりぃ、充電切れ。後で掛けなおすわ。 」
『 ちょっ....「 プッ 

功に嘘ついちまった。充電切れなんて嘘だ、本当は70%くらいある。
俺はため息を吐きながら、携帯を鞄に仕舞う。
まださほど苺華の家から離れていない。何度も振り返りながらトボトボ歩く。
なんか、こんな時はカラオケで歌いたい気分になるなぁ。

そんな事を思いながら、俺はひたすら足を進めて行った─。
すると....、苺華とよく来る公園に人影が見えた。

「 ....ん? 」

凄く細身のシルエットだ。ストレートの長い黒髪、長い足、綺麗な後姿。
しかも制服は俺と同じ高校の制服じゃないか。....あんな生徒いたっけ...。

「 ....? 」
「 わっ... 」

突然彼女がくるりと振り返り、こちらを向いた。
慌てて目を逸らすが、彼女の視界から俺は消えないようだ。
コツコツとローファーの音を鳴らし、俺のほうへ近寄ってくる....。

何見てるのよ!!って怒られそうだ。
俺は覚悟を決め、ギュッと目を瞑った。

「 ねえ、同じ高校よね? 」
「 ....え 」

透き通った声。第一声は意外な言葉で驚いた俺は、戸惑った。
そんな俺を見て、クスッと笑いながら彼女は「やっぱり」と呟いた。

「 私、竹川琴美って言います。君は何君? 」
「 あ、俺は...、日村一輝って言います。 」

俺は違和感を覚えた。彼女の容姿にではなく、名前に、だ...。
実は聞いたことある名前なのだ。

「 君はこの辺に詳しいの? 」
「 え、まあ地元ですからね。 」
「 そう...。できれば案内して欲しいな!!病院とかさ。 」

無邪気に笑った彼女は、俺の腕を掴んだ。

「 い、いいですよ。 」

あっさり答えた俺は、違和感を覚えつつ彼女を病院に案内する事にした。

( 竹川...琴美...か。 )


続く。




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