Nicotto Town


信じる事から、叶うか叶わないか決まる。


マジで腹くくる5秒前 【 短編小説 】

マジで腹くくる5秒前...。

私は待ち合わせ場所の彼の家の前でスタンバイ。
彼は何も知らないだろう...、私が今から何を言うかなんて。
でも、腹をくくるって決めたから頑張るしかない...。

両手を握り締め、深く深呼吸。
目の前を見ればマンションの明かりが飾りつけをする─.....。

マジで腹くくる5秒前.....

*************

「 ─でね、こんな事が合って.... 」
「 うぅん...やっぱ脈はあるんじゃないかな? 」
「 でもさっ!!想ってないような態度も取るんだよ!?意味わかんないじゃん!! 」

私、宮武京香はただ今親友である前川莉奈に好きな人とあった行動を説明中。
身振り手振り、全てオーバーアクションで表しながらやってやった。
正直、これは全て私の気持ちでもある。

だが、莉奈の答えはいつも同じ。
「 脈はあるんじゃない? 」...はい、もうこれしか言わなくなった。

めんどくさいのはわかる...。でも、初めてここまで人を好きになった親友を支えて欲しい。
こっちはもう、彼の日替わり行動で悩みまくって頭がパンクしそうなのだから...。

私は半泣きで机に顔を伏せた。
それを上目遣いで見ながら、莉奈は顎に指を付ける。

「 んー、何度聞いても同じだよぉ? 」
「 莉奈は自分の事じゃないからそういうこと言えるんだよぉ....! 」
「 えぇぇえ... 」

そして、数秒の間を明け、莉奈が突然口火を切った。

「 ....もうさぁ、いっそ告白しちゃえばっ!? 」
「 ……は? 」

私の両目は点になった。一瞬、自分の耳を疑ったほどだ。
私は机に両手を組んだまま、目を丸くして莉奈を見上げる─。
莉奈はいつも通りの可愛いニッコリ笑顔で私を見下している。異様に苛立つ。

「 告白とか、他人事だから言えるんだろー!! 」
「 ち、違うって!! 」

必死に抵抗する莉奈。だがここでもうタイムアップ。

─キーンコーンカーンコーン♪

「 ぁ、チャイム。 」
「 クソッ...!またこんな中途半端なまま授業を... 」
「 はいはい、あとで聞くからぁ。 」
「 もういいよっ! 」

私はプンスカプンスカと怒りながら、席の方向へ歩いていった。

莉奈は何も分かってない。私と彼と、北山太輝との今の現状を─....。
近づけば逃げられ、目だって合わせてくれない見てくれない、背を向けてばっかり。
唯一しっかりコミュニケーション取れてるのはメールのみだ。

学校に居る時は彼を見てると逆に嫌われてると思う行動ばかりだ。
この現状で告白しろと?無理無理無理無理×1000
莉奈は何も分かってないなぁー。

「 オイ、宮武っ!!前見ろ!! 」
「 え、あ、すみませっ... 」

つい考え込んで、ボーッとしてた。
恋って、こんなところまで邪魔するからやだなー...。


***********

「 負けないで、もう少し!!ゴールは近づいてるっ♪ 」
「 ...莉奈、なめてる? 」

帰り道...、いつもと歩く道で莉奈が突然歌いだした。
もう顔からして私をなめているとしか思えない行為だ...。

私はギロリと莉奈を睨み、鋭く言った。
その言葉に莉奈は口を尖らし、すねたように言った。

「 慰めようと思っただけなのにぃ。 」
「 ....はあ。 」
「 大丈夫!!可能性はあるよ!!告白しちゃえ!! 」
「 うるさいなあっ、できないって言って....『ピロリロリンッ♪ピロリロリンッ♪

突然鳴り響いた着信音と共に、私達は黙り込んだ。
一斉に携帯を確認。私の携帯画面に『新着メール一件』と書かれていた。
一気に顔が明るくなり、慌ててメールを読んだ。

それは、あの人からだった。

『 今日ボーッとしてたみたいだなw 』

これだけの内容。これだけの内容だけどめっちゃテンション上がった。
ついニヤけが零れ、携帯を見入った。

「 ...ああ、北山からか。 」
「 ...えへへっ 」

こんなメール来るの初めてだからめっちゃテンションやばい。
もうこんなん...なんでもできちゃうよ...。血迷っちゃう。

「 告白か... 」
「 ぉ? 」

頑張っちゃおうかな...。
マジで腹くくってみようかな...ずっと混乱して取られるよりましだし...。

私は携帯をカチカチと操作し、メールを打った。

『 大丈夫!!それより、今日会える?北山の家行くからさ!! 』

思い切って送り、返事はOK。
マジで腹くくろう。結果はどうであれ、伝えたい。

好き、好き、大好き。これだけ伝えれば終わり。


***********

マジで腹くくる5秒前...。
私は待ち合わせ場所の彼の家の前でスタンバイ。
彼は何も知らないだろう...、私が今から何を言うかなんて。
でも、腹をくくるって決めたから頑張るしかない...。

両手を握り締め、深く深呼吸。
目の前を見ればマンションの明かりが飾りつけをする─.....。

マジで腹くくる5秒前.....

「 あ、北山!! 」
「 お、どうした?いきなり呼び出しって... 」
「 言いたいことが...あるの...。 」

今にも心臓が飛び出しそう。
でも、言う、言うって決めたんだから。

言え、言え、言えっ!!

「 あ、あのっ...!!私っ...! 」
「 ....? 」
「 北山の事、好き...なの。軽い気持ちじゃなくって、本気で。 」
「 ....えっ!? 」
「 本当に、好きなの。これ、伝えたかっただけ。 」
「 え?えぇ?ん、え? 」
「 じゃ!! 」

振り返り、急いで帰ろうとした瞬間、腕をつかまれた。
これはまさか、まさかと期待が高まる。
速くなる鼓動を隠しながら、また振り返る。

そこには赤面した北山の姿があった。

「 ま、待って...。お、俺の話も聞けよ。 」
「 へ...? 」
「 俺も、実は...お前の...事、好き...、だったりする... 」
「 .....嘘。 」
「 本当!!!はい、じゃあもうこの話は終わりなっ! 」

そう言って彼はマンションの中へ入っていってしまった。
私は混乱しながら、キョロキョロする。
だがその数分後、彼からメール。

『 これからもよろしく。カレカノとして。 』

素っ気無い彼らしいメール。
彼の家のベランダを見上げると、彼がニッコリ微笑んでいた。
携帯を片手に手を振っている。
私はそれを返しながら、ありがとうと呟いた。

腹くくると良い事があるんだな。
彼のメールを何度も読み返しながら、そう心で呟いたのだった。


*END*




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2013/11/11 00:19
この甘酸っぱい感すんごく好きです♡



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